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第四話

 そして俺が教会で神子であることがわかってから一年が経過し、俺は四歳になり少し背が伸び少し筋肉質になりました

 そうそうダル神父はまだ教会で働いている、引き継ぎと神父を辞職する手続きが面倒で時間が掛かるらしい

 そんな今、俺は地獄の日々を送っています

 誰か助けてください。わぁ〜ん


(ダメじゃ、ヨハもっと姿勢を正して剣を振るのじゃ!)

「ひぃ!ひぃ!」

(もっと力強く!鋭く!一回一回、目の前の敵を倒す

 ことを想定しながら振るんじゃ!!)

「はい〜〜!!」


 俺が神子であることがわかってから爺ちゃんが剣の練習するように言われた結果、地獄の日々を過ごしている

 俺も最初はこんなファンタジーな世界だし剣の鍛錬をしたいと思ったよ、父さんに鍛錬用の剣を頂戴とねだったら嬉しそうだった

 そこまでは良かった、しかし待っていたのは爺ちゃんとの朝から日が暮れるまでの地獄の個別指導であった

 今も屋敷の少し広い庭で木を削って作られた練習用の剣を使って手にマメができるまで素振りをしているし、体力づくりのために庭の周りを走らさせたりしている

 爺ちゃんには毎日、朝から晩まで振ったりずっと走っているこっちの身になって欲しいぐらいだ

 あと俺の魔法属性の適性もわかった、教会でひと騒ぎがあった後に教えてもらった結果【無属性】であった

 まぁ〜詳しいことはまだ教えてもらってないけど、そのうち魔法の先生が就いて俺に魔法を教えてくれると父さんが言っていた


(よし!それまで。少し休憩してからまた再開する

 ぞ)

「ハァハァ!」


 爺ちゃんから休憩の言葉とともに俺は土の上に倒れた

 すると一人の青年が近づいてきた


「坊ちゃん」

「ハァハァ、どうしたのラグ」

「いや〜、いつも坊ちゃんがよく頑張っているのでね。それで声を掛けただけですよ」


 この茶髪のイケメン男は名前をラグといい、父さんの副官みたい人で数が少ないがソルダート男爵家の兵士のまとめ役でみんなからは隊長と呼ばれている

 父さんの副官でいえばもう一人、シルバという白髪の爺さん執事がいる

 シルバは特に父さんの政務のお手伝いをしている、俺ともあまり会ったことがないし話したのも少ししかない


「しかし、坊ちゃんはまだ子供なのに立派ですよ。俺なんて坊ちゃんぐらいの時は家にいるか、村の中を走ったり遊んだりしていたんですがね」

「そうだ、そうだ。隊長の言うとおりだ」

「オラも遊んでたわ。それに比べてヨハネス様は偉い」


 ラグが俺に話しかけてからどんどんとラグの部下達が集まってきて会話に入ってきた

 俺が剣の鍛錬をしている時、その周りでラグ達も練習している

 俺が鍛錬している姿を見た、ラグ達は俺が休憩に入ると積極的に喋ってくるようになり仲良くなったのだ


「しかし、坊ちゃんはすごい剣の才能をお持ちですよ。いつも素振りをみていて思います、誰にも教えてもらっていないのに自然と正しい姿勢で素振りをしてらっしゃる」

「そ、そうですかね〜」


 いえ、がっつり爺ちゃんに教えてもらっています

 それとラグから教えてもらったけど、父さんは戦場では周りからは【豪剣】と呼ばれているらしい

 それだったら父さんに教えてもらいたいと思ったけど、父さんは政務で忙しくてあまり会話をする機会が少ない

 少しだけ悲しいけど、しょうがないとも思う


「これだったら、シバルト様にも負けない剣士になりますよ」

「そうかな〜」

「そうだ!坊ちゃんにはちゃんとした師匠をつけてもらえるようにシバルト様に言っておきますね」

「おー、それは嬉しい」

(おい、そろそろ始めるぞ。アクト)

(えーもう少し休憩してもいいじゃない、爺ちゃん)

(ダメじゃ!)

(そんな〜)

「坊ちゃま〜」


 爺ちゃんからの死刑宣告がされた、すぐ後から誰か遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてくる

 誰だろうと、周りを見渡すとメリーが屋敷から庭に行くための扉の前で俺の事を呼んでいた


「どうしたの〜、メリー」

「それが坊ちゃまに面会したい人が来てますよ〜」

「まじ!」(爺ちゃん、今日はここまでいいよね!)

(しょうがない、今日ここまでじゃな)

(よっしゃ!)


 爺ちゃんからの許可がおりた俺はメリーからタオルをもらって汗を軽く拭き、汗でベトベトの服も全部変えた


「メリー、それで俺に会いたい人ってどこにいるの?」

「応接室で待っていますよ。お父様が今、対応していると思います」

「そうなの!急いで行った方がいいね、そういえば応接室に行ったことがないや。メリー案内できる?」

「そういえば、坊ちゃまにはまだ応接室の場所をお教えしてませんでしたね。わかりました、私が先導しますのでついて来てください」


 メリーに案内され応接室の扉の前に立つと中から父さんと何処かで聞いたことがあるような声が会話している、音が聞こえて来た

 俺は扉越しに入ることを伝えると中から「入れ」という父さんの声が聞こえた、中に入ると一年前に教会であったダル神父と父さんがいた


「あれ、ダル神父」

「ヨハネス様久しぶりでございます。この一年で身長が伸びましたね」

「そうかな、嬉しいよ。それにしても今日はどうしたの」

「ヨハ、話は座ってからでもいいだろう。メリー、ヨハにも飲み物を頼む」

「畏まりました」


 俺は父さんの横に座り、目の前のテーブルにメリーが紅茶を用意してくれた

 最初見たときは紅茶ぽいなとは思っていたけど本当に紅茶とは思わなかったな、初めて聞いたときは驚いた

 前世でも俺は紅茶を飲んでいたので素直に嬉しかったでも砂糖がなかったのが残念だった、

 それはなぜか簡単にいうと砂糖や香辛料は高価な物で貧乏男爵家にはないのだ

もう慣れてきて、普通に砂糖なしの紅茶もうまいと思うようになってきた


「それで今日はどうしたんですか、ダル神父」

「実は、遂にこちらの都合がついたので本日より正式にヨハネス様の教育係を務めたいと思います」

「本当ですか!」

「ええこの度、男爵さまのおかげで教会から脱出することできました。本当に男爵さまには感謝しかありません」

「いやいや、丁度アクトの教育係が欲しいところだったし。アクトの秘密を知る人が近くにいれば何かとアクト自身のためになると思ったからだよ。そんなに気にするな、ダル神父。いやダル先生」

「そうですね、これからはアクト様のために頑張っていきたいと思います。改めてよろしくお願いしますね。ヨハネス様」

「こちらこそよろしくお願いします」

「ビシバシ教えていきますから覚悟してください。将来は私が通っていた学院の生徒と比べても遜色ないぐらいまでになってもらいますね」

「は、ははは。お手柔らかにお願いします」

(よい先生じゃ、これは儂も負けてられん!明日からはこれまで以上の鍛錬を組んでいこう、楽しみじゃの〜!)

(あれ以上のことをこれからやるの!死んじゃうよ俺、まじで!ってもう自分世界に入ちゃってるし、明日から地獄がグレードアップしちゃうよ…………)

「はぁー」

「どうした、ヨハ。急にため息して」

「いえ、これから大変だなぁ〜と思って」

「ま、まぁ〜たしかにな。しかし、先生としては優秀だと思う。なんせ、ダル先生は国内で最高峰のサーングラン学院の出身だからな。俺も安心してヨハを任せられる」


なんで、そんなことを言えるのか不安でならないが頑張っていこ。どうせ明日からは地獄よりも恐ろしいものが待っているのだから

こうして、ダル先生が正式に教育係として働くようになった



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