表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運び屋ショウカと奴隷少女  作者: 不眠蝶
8/10

2-4 小雨に陽気に姦しく

レイラは不機嫌だった。またしてもショウカに置いて行かれたのだ。「お姫様には危険だ」との一言で問答無用で置いて行かれた。結局レイクと遊んで過ごすしかなかったのだ。それももちろん、ガンの所で。

「一体何日置いてくつもりだよ!あの野郎!」

レイクとガンは鬼ごっこをしていた。レイラは二人の身体能力について行けないので一人、見守る事にした。これまで、異世界に旅できた事は一度もない。ずっと25番地に置いて行かれている。もっと広い世界を見てみたり、その土を踏んでみたい。知見を広める為に奴隷となったのだ、このままではずっと25番地で遊び続ける事になってしまう。もっと、もっと、この多元異世界群は広いはずなのに。25番地で閉じ込められている様な気がしたのだ。それは確かに、知らない事の連続で、メモ帳は日々埋まっていくのだけれど。それで良いわけがない。自分のやりたい事ではないのだから。

季節はまだまだ春。陽気に眠たくなる日もあるが、今日は少し曇っていた。レイクが見てるテレビを覗き込んだら、今日は橋の上で小雨が降るらしい。折角ならもう一度、橋の上へ。そうも思っていたがどうにも上手くは行かない。今回はちゃんと大人同伴で行けるかと思ったのだが、どうやらそれも敵わなそうだ。何せ、そういう事を提案した所で玩具を渡されるだけだ。ガンの玩具はよく出来ているのだが、レイラの興味を惹くものは中々ないのだ。子供の玩具で遊んでいる訳にはいかない、そのプライドが無意識に働いているのかもしれない。

レイクが逃げ回っていると、何か嗅いだことのある匂いを感じた。それで、つい、止まってしまうとガンに捕まった。息を切らしながらガンは俯いていたから分からなかったが、面倒の元が来ていたのだ。

「レイクちゃん。お久しぶりです」

「……シバさんだー!久しぶり!」

レイラにとってはテレビでしか見た事のない存在だが、レイクにとっては会った事のあるテレビでも見られる憧れの存在。すらっとした体型に長い脚、レイクからみたら典型的な大人のお姉さんなのだ。憧れる要素はいくらでもある。一方レイラにとってはテレビでよく見る綺麗な人、程度の認識だ。聡明そうなのは見て取れるが、それ以上の存在ではないのである。

「あら?…いつの間にもう一人…」

「は、初めまして。レイラ・シャル…」

ここで考えた。今までフルネームで名乗っていたが、それはショウカの関係者ばかりだったからだ。報道に勤めるものならば20番地の自分の名前を事前に知られていてもおかしくない。名前がバレては大変な事になる。それを広められたら、20番地からお迎えが来るかもしれないのだ。相手は報道関係者だ、20番地のお姫様がこんな所に奴隷として勤めている事がバレたら絶対悪い事になる。次の言葉に迷っているとレイクが後ろから、肩から顔を出して言葉を出した。

「レイラ・シャルロッテ!私のいもうとなんだ!」

「レイラ・シャルロッテ…。何処かで聞いた事がありますね…」

番地が近い事もあり、知っている可能性は低くはない。慌ててレイクの口を塞ごうとすると、シバは手を合わせて思い出した様に言葉を出した。

「20番地のお姫様でしたね!『幸運の虹色の瞳』を持つと言われている…」

そこまで知られていたら、もうお手上げだ。諦めるしかない、そう思っていると。

「同じ名前だなんて奇遇ですね。それに、同じくらい可愛らしくって…。別人とは思えませんね!」

どうやら別人、という扱いにしてくれているようだ。意図は分からないが、そこまで知っていて別人と扱ってくれるのは白々しい。しかし、それは他には言いませんよ、と言ってくれている証のような気もしてそのまま受け入れるのが一番のようだ。

「…?レイラちゃんはお姫様だよ!」

「いえいえ、そんなお人が奴隷の服を着ている訳がないじゃありませんか。今は行方不明らしいですし」

そういう扱いになっているようだ。それもそうか、脱走してから帰ってないのだから行方不明という事になるのは必須だ。申し訳なさを感じながらも、これも姫として一つ勉強の為に必要な事なのだ。だから、湧き上がる感情は無視して目の前の人に対して純粋な疑問を問いかける事にした。

「あの…どうしてこのような所に…」

「レイクに用があんだろ?そいつの面倒を見てくれるなら助かる。さっさとどっか行ってくれ」

ガンは突き放す様に言葉を発した。それは恐らく本心からの言葉でもあり、疲れ切った体から出た休息を求める心から出た言葉なのだろう。

「お話が早くて助かります。どうせなら橋の上へ行きませんか?」

「シバさんと…橋の上!?」

その言葉にレイクは眼を輝かせた。それは何よりのお誘いで、一度行きたかった場所なのだ。

「おい、そんな遠くまで…」

「大丈夫ですよ。夕暮れまでにはお返しします。テレビの撮影という訳でもなく、ただの散策をしたいので」

ただの散策をしたい、という言葉に少し違和感を覚えるものはあったが、相手はちゃんとした大人だ。そういった約束はしっかり守る類の人間であることは知っている。少なくとも、ガンの知る人間の中では信ずるに値する人間の一人である事は分かっていた。

「…そのまま一晩、預かってくれても助かるけどな」

「それじゃあショウカさんに申し訳がないです。お二人も、家の方が安心するでしょう?」

お二人も、との言葉に迷いを覚えた。レイラは自分が含まれているのではないか、という考えに至った。

「え?私も…ですか?レイクちゃんだけじゃ…」

「私はショウカさんが雇う奴隷という部分に興味を持ちました。あなたも含め、取材させて貰えませんか?」

確かにあの偏屈運び屋が雇う奴隷というのは興味を持つのに相応しい相手だろう。それに自分も含まれている。ジャーナリストとしてなのか個人的になのかは分からないが、この場合、個人的な興味の方が強いような気がした。彼女は好奇心だけで取材をしている、レイラにはそう察する事が出来た。

「私なんかで良ければ…」

「良かった!それでは決まりですね!鉄道代は私が持ちますからご安心を」

そういえば、この世界に来てからちゃんとした列車に乗った事はなかった。橋の上へ行くときはいつものルートだ。無賃乗車で済ませていたからちゃんとした列車に乗るのは初めてだ。

「橋の上については私がいちばん詳しいからね!シバさんも何でも聞いていいよ!」

「あら、それは頼もしい限りです。それなら…、私は私しか知らない場所にお連れしましょうか?」

その言葉はとても魅力的で、好奇心をくすぐられるものだった。シバは25番地の、アイドル的存在だ。その権限を持ってして案内をしてくれるのなら楽しみにもなる。何より彼女はジャーナリストだ、橋の上の事はレイク以上に詳しいだろう。

「それではお二人、行きましょう。今日は雨が降るので傘を用意して…」

自分が手がけたニュースの情報を元に、傘をそれぞれ用意して鉄道へ向かった。曇った空だが、足取りは何故だか軽かった。駅の構内にちゃんと入るのは初めてだ、待っている時間も何だかワクワクさせる。何故ならそこは未知の領域だからだ。まだ25番地にも知らない所がある、それは何よりの景色だ。

構内に人はまばら程度しかいなかった。ここから橋の上へ行く人は少ないのだ。何よりここは観光地、行く人より来る人の方が多い。列車が来る音が聞こえてくると、レイラは眼を丸くした。それは想像以上に巨大で、圧があった。漆黒の色をした6、7mはありそうな車高は間違い無く圧巻の一言だ。ほんの少しの風を感じさせて、ゆっくりと目の前に止まってきた。扉が開くと、その先に待っていたのは豪華な旅客列車だ。シャンデリアで飾られた室内に、食堂も付いている、無数のテーブルは綺麗にセットされ客を待っている。所々金色で彩られた室内は如何にも豪華絢爛と言わせるに相応しい。こんな所に案内されて本当にいいのだろうか?その疑問は何よりレイクが持っていたようだ。

「す…すごい!こんな豪華なの見た事ない!」

「朝ご飯がまだならここで食べていけますよ。食べ終わったら二階に行きましょう」

確かに朝ご飯は食べたのだが、それでもここで何か食べたいと思わせる程の雰囲気があった。何より食堂からする良い匂いは食欲をそそる、レイクはいち早く空いたテーブルに着いた。レイラも恐る恐る空いた椅子に座った。シバはこなれた所作でメニューを開くと、それを中央において二人にも見える様にした。

「い…いいんですか?これも…その…」

何から何まで用意されるのはしばらくぶりだ。元は品位の高い身分にいたからそれが当たり前になっていたが。それだけではダメだと感じて家出をしたのだ。それでも今は甘えてしまっている、そんな自分が少し許せなくなったのだ。

「構いませんよ。その分、お話は聞かせて貰いますからね。シャルロッテ嬢様」

冗談で言ったのか、本気で言ったのか分からないがその言葉には強みがあった。従えという力より構いませんか?という力。あくまで判断を相手に委ねているのだ。どちらが強いかの駆け引きをするような感じではない、その言葉はやはりあくまで好奇心から来ているのだと確信させるものだ。

頼んで出てきたサンドイッチはとても美味しいもので、膨れてた腹にもすんなりと入ってきた。そのままシバに案内されるがままに二階に案内されると個室が幾つも並んだ廊下に出た。どうやら好きに入っていいようで空いた個室に促されるままに入った。そこから見える景色は、今まで見てきたものと同じ筈なのに違う様に見えるのだ。二階という高さから来る物か、鉄橋のアーチが半分程しか見えない所から空を飛んでいるように見えるのだ。あの無賃乗車の時に感じた事の更に上を行った。これが25番地の旅客列車だと言わしめんとばかりに圧巻の景色だ。ゆっくりと流れる景色が、今更ながらに列車が動いているのだと気付かせる。それ程に静かなのだ。

「少し退屈な景色かしら。これでも25番地のウリなのよ」

「あっ、いえ。新鮮で…良い景色です」

「こんな豪華なの久しぶりに見たなー。流石はシバさん!」

「レイクちゃんは乗った事あるの?」

「レイラちゃんを送り届ける時に乗ったよ?大型の荷物も載せてくれるから。奴隷っていう荷物も」

大型の荷物とはリヤカーの事だろう。普通の列車では取り扱えないようなものも載せてくれるような大きさがあるためにそういう事業も兼ねているのだろう。普通に行き来するだけでは少し豪華過ぎる気がするのだが。

「橋の上までは時間がかかるのでこういった飲食を兼ねた列車に乗るのが普通なの。お値段もそんなに高くないのよ」

それはシバ基準で高くないのか、聞こうと思ったが口に出すのはやめた。レイクが無賃乗車する理由に繋がると思ったからだ。自分達の基準で高くないのならレイクも普通乗るだろう。少なくともお小遣いよりは高く、社会人の基準では高くないのだ。

「それにしても『幸運の虹色の瞳』は本当だったのね。あなたを見てると退屈しないわ」

「えっ!?えっ、っと、何の事でしょうかね…」

「そうでしょ!?すごいでしょー。私のいもうとなの!」

「隠したいんだから大きい声で言わないで」

レイクにとっては自慢の妹でも世間一般からは家出娘なのだ。自分の事がどう見えているのかは分からないが、レイラ・シャルロッテの名前は出来るだけ隠したい。それが本名で、手放せない名前なのは分かっているのだが、出来るだけ穏便に済ませたい。これが表に出たら絶対に騒ぎになる。

「でも自慢のいもうとなのは変わらないし…」

「そうですか、妹分、というよりは妹なのですね」

そういえばそうだ、妹分という扱いのつもりでいたのだがまるで本物の妹のように扱ってくれている。個室に入る時に自然と先を譲った、レイラを窓際にして景色がよく見えるように。あまりに自然な事ばかりで自分でもちゃんと妹扱いされている事に気付かなかったくらいにその所作は仕上がっていた。

「あ、でもレイクちゃん。そんな無理しないでいいからね」

「無理?してないよ!私はいもうとが欲しかったからそれでいいの!」

欲しいからそれでいい、そう言われてしまうと何も言い返せない。推定ではあるが年下であるために、その辺りは自分も受け入れなければいけない。そうも思っていた。

「さて、これから先向かうのは通称、橋の上。シーオンタウンです」

突然、シバは声色を変えて語り始めた。まるで旅番組のナレーションのようだ。

「こちらの名物はどこまでも広がる海の上、まるで孤島のように広がる街はターミナルも兼ねています」

「それが橋の上、と呼ばれるゆえんともなっているんですねぇ」

レイクがまるで解説役の様に茶々を入れてきた。お互いよく知ってるもの同士、知識を披露したいようだ。対抗する理由はないのだが、それはレイラにとって知識を得られるいい機会だ。

「海の上に出来るターミナルは非情に珍しく、出てからすぐに潮風を感じられるのが観光として最適、と評価されていますね」

レイラは眠っていたせいでそれを感じられなかったのだが、駅から階段を登り切った時の涼しい風は休暇に来る時にいいかもしれない。

「他の世界のターミナルでは地上が多く、そこからはってんする事も多いんですよねぇ」

「はい、それは25番地も例外ではなく。でなければ海の上に街が出来る事も無かったでしょう」

通常、ターミナルというのは他の異世界番地から飛んで最初に到着した場所に出来る。ターミナルの設置は、そのまま違う世界から対象の異世界にワープさせる形で設置される。だが、どこに出来るのかは完全にランダムである。ランダム、という言い方よりは不規則、の方が正しいかもしれない。通常は地上のどこかに出来て、そこから異世界開発、交流、発展が始まって多元異世界群の一部となるのだが、何の因果かこの25番地では海の上にターミナルが出来てしまった。その特異性から多くの出資者が現れて下位の番地から一気に25番の上位にまで名を連ねたのだ。

「これ程までに急速に発展した世界は他に類を見ず、未だに開発当初から住んでいる人からいる、との噂があるほどです」

「…シバさんは流石に違うよね?」

「私は正真正銘、ここ産まれのここ育ちですよ。ずーっと25番地です」

「その、原住民の方々は…」

この方法でターミナルを繋いでいくと、予め人という種族がいる可能性が多分にある。25番地にも原住民がいるに違いないのだ。元々この世界で命を繋いできた人達が。

「良い質問ですね。予めこの世界に住んでいた原住民の方々は我々開拓民に配慮して自らの国を作ったのです」

「ん~、なんかテレビて見てた事あるような…なんだっけ…?」

「遙か南西に彼らが身を寄せ合った国があるのです。彼らは争いを嫌い、常に融和を唱えていました。ですからこの世界には資源も豊富なのです」

ストーンピークが鉱山街として活用されているのもその理由の一つだ。原住民は常に争わず、必要以上を求めなかった為に資源が豊富に残されているのだ。あちこちに開発の余地が残されている、まだまだ伸びると評価されている世界なのだ。25という数字はそれを表すのに十分な数字だろう。

「我々がこれから向かうのは橋の上。それを構築したのもこの世界の豊富な資源からですね」

「凄いですね…。20番地にもそれは古い歴史があって…あっ」

つい、自分が20番地出身である事を漏らしてしまう所だった。話に乗らないように気を付けなくてはならない。特に取材に慣れたこういった人からは。

「白で統一されているのも潮風に耐えられる特殊な素材で出来ているからで、嵐が来ても大丈夫な、頑丈な作りになっています」

「へーそーだったんだー。なんで白ばっかりなのかなーって思ってた」

すっかり解説役を放棄したレイクは頭の後ろに手を回して聞き役に徹していた。やはりこういう時に上手なのは専門職なのだ。

「そして、それぞれの駅に着いたらまず見るべき所があります。駅に着いたらまず見上げてみてください」

橋の上へは不正な手段を使ってしか来てなかったので、後ろめたさから伏せて駆け抜けていたのだが、まず見上げろとはどういう事なのだろうか。そこに何か名物があるのだろうか。

「大きな音を立てているので、嫌でも目に付きますよ?見た事が無かったでしょうか」

眼の色を見られたのか、見た事がないのがバレていた。恥ずかしさに目を伏せると、そろそろ着く頃合いのようだ。少しずつ、減速していくのが分かる。そこまで計算してこの話をしていたのだろうか、底知れ無さを感じながらも個室から出る準備をする。出るには一階に降りる必要がある。

「大丈夫ですよ。足を止める人は多いですからゆっくり見ていきましょう」

完全に減速して、停止した車両の中では多くの人が扉の前に立っていた。扉がゆっくりと開くと人は流れ出るように動き、三人はお互い手を繋ぎながらゆっくりと歩いて外へ出た。構内にはこの列車に乗るために待つ人で溢れている。そこから少し動いた所で試しに見上げてみた。

そこにあったのは巨大な換気扇。列車の音と喧噪の中に、確かにあった回転する羽根の音。意識するまでまったく気付かなかった。この駅構内を全て覆わんとするばかりに大きいのに、今まで見た事がなかった。

「この駅ではまず見上げる人が多い、名物の換気扇です。まだ蒸気で動いている列車もありますからね」

「こんなでかいのが上で回ってたのかー。気にした事なかったなー」

「すごいですね…。外の世界はこんな巨大なものが…」

まず、回っている事が凄かった。それを感じさせるくらいの巨大さだ。目測では直径は測れない、それでも何とか目に収るか収らないかくらいのでかさだ。ちゃんと換気の効果が出てるのかも不安になるが、高速で回っているそれはまず見上げるに相応しいインパクトだった。

「本当に…すごい…」

「ご満足頂けましたか?それでは次に参りましょう」

シバが歩き出すと慌ててそれを追いかける。その道は今まで歩いてきた道とは違い、構内をそのまま歩き出した。いつもは橋の上を堪能する為に上ばかり向いていたが、中に入るのは初めてだ。

「こちら、橋の中と呼ばれる商店街通りです。橋の上も素晴らしいですが、中にもちゃんとした施設が揃っているんですよ」

構内から少し外れた所にその入り口はあった。ほんのり明るい、暖かみのある白い光り。そこへ入っていくと細長い道の両脇に数え切れないくらいの商店が建ち並んでいた。ここが観光地として有名だからこそ土産屋も多くあるし、食事処も多くあるようで匂いがほんのり立ちこめている。

「ここ、橋の中ではちょっとした秘密があるようです。歩きながら探していきましょう」

秘密、は気になるがそれよりもあちこちのお店に目移りしてしまう。外は雨が降っているのか、上から何か水音がする。気のせいか、人も多く見える。外の天気が悪いとここに買い物に来る人が多いのだろうか。肌寒さからか、上着を着ている人も多いようだ。橋の中だというのに。

「橋の中はあんまり見たことないなー。橋の下はあるけど」

「橋の下は行ってはいけませんよ?危ないですからね」

レイラにはまだ未体験だが、どうやら橋の下は危ないらしい。というか下が存在するのも今、知った。これ以上、人が住む場所、住める場所は存在しない様な気がするが。

「橋の下には何があるんですか?」

「その…上には住めない人が住んでるんです。本来は人が住む場所ではなく、潮の満ち引きで領域が変動するので住んではいけない、という規律があるのですが…」

リポーターとして、何度か取材した事はあるのだろうか。どうやら、そういう人達が住む場所らしい。レイクなら怪力があるので怪しい連中相手でも何とかなるからほっつき歩けるのだろうが、一般人のレイラには為す術がない。レイクと共に行動でもしない限りは橋の下には興味を示さない方が良さそうだ。幸いにも行くべき手段や方法は分からない。いつかは行かなければ、という使命の様な物は感じているのだが。

「それよりも、橋の中です。予め聞いておいたのでレイクちゃんの好きなコロッケ屋もありますよ」

「コロッケ!?食べる!」

上手い感じに話を逸らされた。こういう手段はお手の物なのだろう、橋の下についてはレイクに聞けばいいのでシバにはこれ以上聞かない事にした。誘導されるようにコロッケ屋…もとい揚げ物専門店に連れて行かれたのだが、美味しい匂いは店の外からでも香ってくる。橋の上で食べた物も美味しかったが、メディア関係のシバが紹介するからには相当な味がするのだろう。そう想像するとレイラでもお腹が空いてくる感覚を覚えるのだった。

店の中に入ると、小綺麗でちょっぴりシックな装いで、とても揚げ物を扱うお店には見えなかった。カフェの様な感覚だったが、ちゃんと食べられるイートインスペースが十分に広く、このおしゃれ感覚な所が映えるのだろう。揚げ物専門店と言っても、スイーツもあるようだ。美味しい匂いと甘い匂いの両方が嗅覚を襲う。それによって引き出されるのはやはり食欲で、朝食に列車でのサンドイッチにと食べたのにまだまだ食べたくなる。

「すいません、テイクアウトでコロッケ三つくださいな」

テイクアウト、というのは気になったが先程言っていた橋の中の秘密に繋がるのだろう。そこへ足を運びそこで食べようという事だろう。レイクは不思議そうな顔をしていたが、テイクアウトの意味が分からないのか、それともコロッケ三つが足りないと感じているのか、何も言わなかったので分からなかった。

「これから、橋の中の秘密の場所へ向かいます。そこで食べながら面白い物を見ましょう」

もったいぶる言い方ではあるが、余程の自信があるのだろう。そこに人を惹き付ける程の何かがあると。

「面白いもの?そんなのがあるの!見たいみたい!」

「食べながら…ってゆっくり出来る場所なんですよね?」

「もちろん!私のようなメディア関係者やガイドツアーなど一部の人しか入れない場所なんですが…」

コロッケ三つをレイクが率先して持って袋の中に入れた。店を出ると、すぐに奥の方へ行き、行き止まりの場所まで辿り着いた。そこには物言いたげなドアが一つ、ポツンとあった。すぐ横にはこれ見よがしに何かを認識する機械が付いている。

「この25番地では上空の特殊な大気…もとい魔力のせいで空路が使えません」

「はい、一定高度を上回ると不安定になるんですよね。それが短所だとガイドブックにも」

「で・す・が、海路は使えます。地上も海上も安定しているからこそ鉄道がメインになっているのですから」

シバはタグを機械にかざすと、確かに鍵が開く音がした。ドアを開けると、中へと促されそのまま入っていく、階段を降りていくと、そこには見た事もない景色が広がっていた。

船が吊されていた、それも何百人も、何千人と乗れそうな豪華客船が。それが何個もある、下を覗けばそこから今まさに上げられている船があった。そこには人が乗っていて、楽しそうにはしゃいでいて、何人かはこちらに向かって手を振っていた。思わず振り返してしまったが、今はその身分ではない事を思い出して手を後ろに回した。ここには船が何個もある、整備中の物も幾つかあるようだが、その作業現場を見られるのはとても貴重だ。何より、この何処にそんなスペースがあったのかと思わせるような景観に思わず見とれてしまった。上がりきった客船から、人々が下りていく。またしてもこちらに手を振っている人達がいたが、今度は我慢出来た。

「この船は南西の『シルク・ディーネ』と呼ばれるリゾート地に向かう為の船です。貨物用じゃないんですよ?」

この世界が観光地として完成している証拠だ。船を使えるのなら船で運んだ方が効率はいい、だがそれを全て陸路の鉄道で賄っている。そして更にその鉄道さえも客車として完成されている。どこから何処まで観光を活かした、特化した異世界なのだ。レイラは感動を覚えると共に、違和感を感じていた。

ここに来て、知らない景色ばっかり見てきた。だけどそれは、自分の求めるものではない。観光気分でここに遊びに来た訳ではない、もっと、もっと別の事を知らなければいけないのだ。この景色はこの景色で書き留めておく、それにしても果たしてこの景色は自分に何かを得る物であっただろうか?もっと、別の景色が見たい。ここじゃない、外の世界を。

考え込んでいると、その顔をシバに覗き込まれた。そして、レイクからコロッケを一つ受け取ると、それを目の前に差し出した。

「いかがされました、シャルロッテ嬢様。何かご不満な点でも?」

「…いえ、別に…」

自分の眼の色に出ているのだろう。今、不満を抱いていると。この『幸運の虹色の瞳』は一度も幸運をもたらした事が無い。こんなものが何の役に立つというのか、ただ人を不快にさせるだけだ。今もこうして人に気を遣わせてしまった。こんな物が無ければいいのに、そうも思ってしまった。

「結構すごいとおもうけどなー、この景色。レイラちゃんが描けばなおさらだよ!」

「描く…?そのような才能をお持ちで?」

確かに描くのは間違いないが、それによって得られる物は何か違うのだろうか。メモ帳にはストーンピークの街並み、橋の上の景観、ついこの間行った田園風景。全部25番地のものだ。観光地の。

「…はい、お恥ずかしながらこの程度ですが」

レイラはメモ帳をそのまま渡した。なんなら受け取って、そのまま持って帰ってしまっても構わないと思ったからだ。シバはそれを一通り見ていくと感心した様子で眺めていった。

「まさか、これらをご自身の手で?いやはや、このような才能をお持ちとは」

「習い事の一環で…たまたまそれが上手かっただけなんです」

「いえ、これは才能ですよ。活かさないなんて勿体ない!是非とも目の前で見てみたいです!」

シバはメモ帳をそのまま返した。やはり、それは自分が持つべきものなのか。そうも思いながらメモ帳を受け取った。はね除ける程、子供ではないと思っていたから。自分で描いたものなのだから、自分で持つべきだ。

「見てても面白いものではないですよ…?」

「ジャーナリストとは目の前で見た事を大事にする物なのです。見せて頂ける事に価値があります」

「そうだよ!私はレイラちゃんが描いてるのまるで魔法みたいだって思ったよ!」

魔法みたい、その言葉は魔法を使えないレイラの胸にちくりと刺さった。今の自分が使える最大の魔法。それが絵を描く事ならば、やってみせよう。他の誰かが感動してくれるのなら、そう思いペンを取り出した。瞬く間に船の一隻を描いてみせた。これでどうだ、そう言わんばかりに。

「やっぱり上手いなぁ…。でも何だか足りないような…」

「あら、レイクちゃんもそう思います?それでは足りないモノを探しに行きましょう」

そう言うと、シバは二人の手を取り駆け出した。まだ手に持ったコロッケを一囓りもしてないのに、そう言おうと思ったが、シバの勢いに引っ張られてついつい走ってしまった。何処へ行くかも分からないのに。誰かに引っ張られて進めば知らない所に連れて行ってくれる。そんな好奇心が邪魔をしたのかもしれない。

だが、その先は大した事はない、橋の上だった。小雨が降る中、傘を差してどこへともなく歩いて行く。一体どこへ行くつもりなのだろう、ここまで考えあっての事で案内をしてくれたのだ、何か知らない所へ連れて行ってくれるに違いない。そう思ったが、何処へ辿り着く間もなくシバから出た言葉は。

「…迷っちゃいました」

その言葉は思わず、こけそうになるくらい滑稽な言葉で、何の為にここに連れ出したのかと怒りたくなるくらいの言葉だった。

「ここら辺については私の方が詳しいよ!あっちへ行けば広場にもどれるけど…」

「いえ、迷ってていいんです。もっと迷いましょう」

笑いながら言うシバの意図は読めない。迷おうとはどういう事なのか。そこにレイラの、自分の求める答えがあるというのだろうか。今まさに迷っているレイラにとっての。

「でも、こんな雨の降る中で…」

「なら傘をしまいましょう。小雨ですし、私一人の傘でも皆入れるかもしれませんよ?」

可笑しな事を言う人だ。素直にそう思った。レイクはそれに同調したのか、傘を閉じて腕に引っかけた。シバの隣に寄り添い、幸せそうに寄りかかっている。レイラは少し迷った後、傘を閉じて同じ様に腕に引っかけた。そしてシバに近寄り、遠慮がちに寄りかかった。それでも少し濡れてしまっているが。

「ほら、皆で入れました。どうですか?そこに腰掛けても」

そう言って視線を送ったのは道端にある、何て事は無い木箱だった。中に何が入ってるかも分からないし所有者も分からない。勝手に使っていいものかも分からないが、シバに促されるがままに丁度三つ並んだ木箱の一つに座った。もちろん、中央はシバだ。

「少し歩いて疲れてしまいましたからね。休憩は必要です」

「うんうん。よく分かるよ。きゅうけいは大事だよね!ショウカにもよく言っておく!」

レイクとシバは会話に滞りがない。レイクのは憧れ故に何でも言う事を聞く癖でも付いているのだろうか。それにしたってレイラとは違う。この人達は引っ張ってくれる人だ、本来なら自分が、レイラが成るべき姿だ。『幸運の虹色の瞳』は伏せたままだ。誰を見ても自分には足りないと思ってしまう。

「それで…答えは見つかりましたか?」

「え…?私ですか?」

ハッキリと、レイラの眼を見て言ってきた。答えなんて見つかってない、どこにそんなものがあるのか、手がかりだけでもいいから教えて貰いたいくらいだ。自分は誰も幸せに出来てない、その思いが強く出てならない。もし、魔法が使えたのならと思っても何も出来ないただの人間であるのが自分だ。答えはそれしかない。それ以外に、ない。

「あなたの迷いに合わせて、私も迷ってみました。その結果、私は楽しかったです。あなたは?」

変な事を聞く人だ、率直にそう思った。自分は楽しかっただろうか、レイラにはどうにも答えが出なかった。まだ迷っている、この世界に留まっていいのかどうか。この奴隷の地位は、本当に求めたものなのかどうか。

「どうでしょう…。楽しい事は楽しかったですが」

「その眼を見れば分かりますよ。あなたの言いたい事は」

やはり、眼に出てしまうのか。嘘で取り繕う事すら出来ない、自分のこの体質が憎い。これの性で魔法が使えないのだと思っていた。魔法世界では眼の色でその人の属性を表す事が多い。青であれば水、黄であれば金といったように大まかに五行で表される。虹色というのは黒とも白とも違う、何も持って無い色だ。自分の色を持っていない、その時によって変わる何も変えられない色だ。だから誰に見られても分かってしまう。そんな自分を変えられると思ったのに。

眼を伏せていると、シバはレイラとレイクをそれぞれ片腕で、ぎゅっと抱きしめた。傘は手放して、丁度良く背中に乗っていた。

「まだ楽しみ足りないのでしょう?こんなヘンテコな絵面を見られてもまだ、楽しくないと」

「えっ、そんな。ヘンテコだなんて」

「ほら、コロッケもこんなに湿気っちゃって」

まだ手を付けてなかったコロッケ。随分長い間、食べずに取り出したままだったから本当に湿気ってしまっていた。

「コロッケはしけっても美味しいよ!不味くはならないんだから!」

「あら、そう言います?では実際に食べてみましょう」

シバもレイクも、それぞれ一口と食べ始める。それは何だか、冷めたコロッケなのに何だか暖かい物があるようで、二人は笑っていた。レイラも迷いながら、一口食べてみた。確かに味は落ちてる気がする、でも、この距離はなんだか暖かい気がした。

「本当ですね。それほど味も落ちず、流石は有名店の味…」

「でしょ?じゃがいもはばんのうしょくざいなんだから!」

ヘンテコな絵面、という言葉を思い出す。確かに、これ以上ない絵面だろう。すっかり冷め切ったコロッケを小雨が降る中かじる、二人の奴隷と一人のアナウンサー。まったく繋がりなんて無いはずなのに、この距離でいられる事が暖かく感じた。それがシバという人の魅力なのだろう。

「あなたは何か変わろうとなされているようですね」

シバは迷いなく切り込んだ、その瞳は全てを見透かしているかのように。観察眼は人並み外れた物があるのだろう、優しい瞳の中には凄まじい強みを感じる。隠している事を全て暴こうとせんとばかりに、それが彼女なりのジャーナリズムなのだろう。暴いた情報は、何処に行くのか分からないが。

「急いで何かをしようとしなくとも良いのですよ。大事なのは自分を持つ事です」

その言葉は、ショウカにかけられた言葉と何か似ているような気がした。大人は同じ事しか言わない、でも、だからこそ大人なのかもしれない。あれをしなければならない、こうでなければならない、そうやって自分の道を変えてばかりなのは彼女の言葉から反した行為だ。自分が今すべき事、一個を決められずにいる。全部をやろうとしている事を諫められて、たしなめられている。

「自分を…」

ずっと姫として生きていこうと考えていた。だが、それは果たして本当に自分なのだろうか。自分を持つ、という言葉の重みを少しだけ感じた。

「私はこんな天気でも、貴女達といられるだけで楽しいですよ?」

「私も!シバさんとレイラちゃんといられるだけで楽しい!」

小雨は未だに降り続いている、湿気った空気は春の日差しを遮って不快感を味あわせる。それでも、預けた背中と抱かれた手はとても温かかったのだ。それがいられるだけで楽しい、という言葉の意味なのだろうか。この光景は、描くべきか。

「…そうですね。私も楽しいです」

誰かと出会った事は間違いが無いはず。同じ世界にいても、毎日の様に違う人と出会う事が出来る。自分はその事に楽しみを抱いていた。それは間違いがない、ならそれを描くのは何の問題もないじゃないか。そう考え直したレイラはシバに背中をより強く預けて冷め切ったコロッケを食べ始めた。

「どうせなら傘なしで走ったりしてみません?新しい事が見つかるかもしれませんよ」

「えー、濡れるのやだ!これはいくらシバさんの頼みでも聞けないなぁ」

ふふふ、と笑うシバと頬を膨らますレイクは絵になると思った。やはり描き残しておこう、これは自分にとって大事な経験だ。これを旅の一筋として残して置くのは意味がない事かもしれない、でも描きたいから描く。そう自分で思った。濡れたまま放置された姿見が自分達を映していた。丁度良い、ぼやけてるくらいが、丁度良い。


「ショウカさんと出会えればもうちょっとお話を聞きたかったんですけどねぇ」

「なんか最近忙しいみたいでアブナイ仕事ばっかしてるらしいよ」

旅客列車に乗ってストーンピークに戻ってきたばかりの二人は雑談していた。その後をレイラは付いていった。まだ、二人の様に立派にはなれないけれどメモ帳に描き残してきた事は無駄ではないはず。みんなの幸せを探す旅はまだ始まったばかりだ。急いで何かをするべき機会でもない。

「レイラちゃんはショウカさんの事、よく知ってますか?」

「え?私は…全然知らないかなぁ…。レイクちゃんの方が知ってると…」

「私も全然知らないよ?へんくつでいじわるでなまいきな事くらいしか」

こうして三人、誰も知らない事に気が付いた。ショウカの事を。

「レイクちゃんも知らないの?じゃあガンさんとか…」

「ガンちゃんもあんま知らないって言ってた。自分の事を喋らない奴だって」

今回も危険だからと自分達を置いていってくれた。それなりの優しさはあるのかもしれない、匿っても貰ったし、奴隷としても雇ってくれた。食事はインスタントだが、ちゃんと生活出来るだけの金は残してくれるし、生活環境だって掃除さえすれば好きにしていいと言ってくれた。悪い人ではないが良い人とは言い切れない。そんな人だ。

「もしかしたらショウカさんが答えを持ってるかもしれませんね」

「…答え?」

レイラは思わず聞き返した。そう言えばショウカとはそれ程、話した事はない。最初の出逢いこそ言葉を幾つか交わしたが、日常でする会話と言えばほとんど無かった。ショウカに何かを求める事など考えも付かなかった。

「はい。これは私の直感でしかないのですが…。あの人は間違った事は言わない人だと思います」

「それは何を根拠に…」

「レイクちゃんを見れば分かります。喋った事もない私でも、それだけは分かりますよ」

レイクの方を見ると、頭にはてなを浮かべた様な顔でさっぱり分からない、といった様子だ。確かに、レイクは間違った事はしない子だ。記憶喪失で、根が良い子だったとしても、あの保護者の元にいたままで曲がった方向に育った様子は一切ない。本人も出て行こうとしない辺りにショウカの人柄を窺える。だが、そこまでだ。ショウカという人の底はまったく見えてこない。運び屋ショウカの正体は、一体何者なのだろう。

「もうすぐそこの公園で春の祭りが始まりますね」

「あれかー!私も楽しみ!」

事務所の前の公園に視線を送り、レイクの頭を撫でる。レイラには何の事だか分からない。

「今年は私達も取材に来るんですよ。収穫祈願のお祭りですね」

「本当!?じゃあここで合流ね!」

約束を交わしたレイクとシバを余所に、レイラは公園をただ、ぼうっと眺めていた。ここで起こる祭りは初めて、というより祭り自体が初めてだ。どんな風景が待っているのだろう、そう思いながら見ていると、何か風を感じた。誰か小さな子供が走り抜けるような、そんな小さな風を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ