表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

部活②

部活編はちょい長くなるかも…

「それじゃハル、次の部活に行こっか」

「ん、よろしく頼むよ」



安曇への粛清を終え、次見学する部活へと向かう晴一と秋穂。

安曇は、まあ御愁傷様ということで。

あれはもはや惨劇だった。

秋穂の筋力はすごいとは思っていた晴一であったが、ゴリラとも呼ばれていた安曇を軽々と投げ飛ばしている様を見てしまったらやはり夏希先生の妹なんだな、と改めて思った次第である。

安曇と柔道部員達のあの絶望的な顔は忘れない。



「ちなみに次はどこへ行くんだ?」

「次は剣道部だよ!あそこにはウチの友達がいるから!後ついでに若鳥と松永もいるよ」

「時雨と吹雪は剣道部だったのか…」



どうやら割と個人的な理由で部活案内をされている。

悪い気はしないし武装国家となったこの時代、剣道はとても人気のある部活だから見ておきたいというのはあった。

剣道部は日本古来からある日本刀に加え、外国由来の長剣を使うことも視野に入れて活動している。

どちらを使うかは個人の自由だし戦い方も人それぞれ。

型に囚われなくなった、という意味では時代の進歩とも言えるだろう。

ちなみに俺個人としては日本刀の方が好きだ。



そして秋穂と話しているうちに剣道部のあるとこ、剣道場にたどり着く。

秋穂が「お邪魔しまーす!」と言いながら遠慮なしに扉を開ける。

まあなんというか、広い。

さすが剣道に力を入れているだけある。



「さっ、くやーん!来たよー!」

「なんだ秋穂ではないか。今日は空手は休みか?」

「うん!ハルの部活案内ついでに天堂投げてきた!」

「ついでで投げてくるようなやつじゃないだろうに…。んで、転入生の草薙だな?」



さくや、と呼ばれた彼女が秋穂の言葉に呆れている。

なんていうかその気持ちはよくわかる。

俺も数分前までは安曇がああも歯が立たないとは思わなかったからな。



「うん、草薙晴一だ。俺の名前知ってるってことは…」

「ああ、剣道部部長の柊咲夜(ひいらぎさくや)だ。これでも一応同じクラスなんだが、自己紹介もしてなかったし知らないのも無理はない」

「俺って実はクラスのみんなにそんなに関わっていなかった…?」

「ハル、気にしたら負けだよ」



幸先いいとは思っていたから余計にショックを隠しきれない。

そんなことを思いながら彼女、柊咲夜の姿を改めて確認する。

黒髪ポニーテールの彼女は目がキリッとしていて威風堂々としている。

剣道着もすごく様になっており、ポニーテールにとてもマッチしている。

まさに大和撫子ともいえる彼女は少し汗をかいていて、なんというかとてもエロい。

防具は外しているからわかるのだが、その、とても大きい。



「ハル、なんか変なこと考えてない?」

「気のせいだと思います秋穂様」

「敬語になってるあたりが怪しい…」

「まあゆっくりしていくといい。ちょうど君のお友達も来たみたいだしな」

「お友達?ああ、時雨と吹雪か」

「おーい、晴一!ここでなにして…」



咲夜の後ろを見てみるとちょうどこちらに向かってきている時雨と吹雪。

声をかけてきたところでいきなり二人が固まったように動かなくなってしまったんだけど、どうしたんだろうか。

そして正気に戻ったかと思えばすごい勢いで肩を揺さぶられる。



「時雨?吹雪?固まってどうしたんだ?」

「…おい晴一、なんで六道がここにいるんだ!?」

「お、おい?どうしたんだ急に?」

「晴一くん、これは非常事態なんだよ!どうして君が六道さんと一緒にここに来たのか事細かく説明してくれないか!事と次第によっては僕は一生君を恨むことになる!」

「だからどうしたんだよ!?説明してくれ!」

「…はっ!?そうだったね、僕としたことがつい…」



そして時雨と吹雪に隅っこに連れてこられたと思いきやこそっと話しかけてくる。

安曇もそうだけどこの二人も怯え方が異常だ。



「…俺達はな、六道のことがちょっと苦手なんだ」

「へえ、それはまたどういう理由で?」

「勘違いしないで欲しいんだけど、別に嫌いなわけではないんだ。人柄としてはむしろいい印象なんだけど…ちょっと、ね」

「俺達剣道部は部長の柊を除いて、誰も六道に勝てたことがないんだ」

「勝てたことがないって、お前達も交流試合みたいなことしてんの?」

「まあそうなんだけど、六道さんは武器を一切使わないのに僕達は勝てないんだ」

「…はい?」

「しかも試合終わってんのにめっちゃ追撃くるし防具越しなのにめっちゃ衝撃きて痛いししかも防具まで破壊されたとなっちゃそりゃ恐怖しかないわな」

「…さっき安曇が戦意喪失したのも頷ける」



徒手空拳でそこまでできるのはもはや達人レベルなのでは?

秋穂がそこまで恐れられてる理由がわかった。

でも笑ったり時折照れたりする秋穂が可愛いのを、俺は知っている。

元々恐怖を植え付けられていないだけかもしれないけど、一緒にいて嫌な気がしないのは確かだ。



「だから晴一が六道と仲良さそうにしてるのが驚きでやばい」

「一体どんな手を使って懐柔したのさ?」

「俺は特に何かしたわけじゃないんだけど」

「…若鳥と松永?ハルになにを吹き込んでいるのかな?」

「「ひっ!?殺気!?」」



俺達が長々と話しているといつの間にか秋穂が近くに来ていた。

おかしい、秋穂がここにくるまで気配を感じなかった。

秋穂はいいスパイになれるかもしれない。



「あれ、柊は?」

「咲夜なら練習に戻ったよー。あとそこの二人も練習に戻れって言ってた」

「もうそんな時間か…しゃあねえ」

「それじゃ晴一くん、また後でね。少し練習見てくでしょ?」

「おう、そうするつもり」

「それじゃ晴一にいいとこ見せねえとな!」



根は真面目なのだろう、二人はやる気を見せながら練習に戻っていく。

…ただ単に苦手な秋穂と早く離れたかったのかもしれないが。

二人と入れ替わるようにして隣に座る秋穂。

秋穂から説明を受けながら練習を見ていくことにしよう。




面白い!と思ったら★、もしくはブクマお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ