異世界転移してしまったようです-1
読んでくださりありがとうございます。今回から異世界です。では続きどうぞ。
「お父様!成功しました!」
10代ぐらいの幼い声が聞こえてきた。周りを包んでいた白い光は消え、見えたのはクラスメイト達と見知らぬ人たち。洋風の金属鎧を着込んでいて槍を持った者と貴族の様な格好をしている者がいた。少し暗く他に判るのは火のついた松明と石レンガ造りの壁だけだった。
クラスメイトたちはアウフから勇者に選ばれた事を聴かされているがまだ現実を受け止められないらしく固まったままだ。
「おぉー!よくやった!さすが我が娘。」
今度は40 50代ぐらいの男の低い声が聞こえた。俺がその音の方向を向くと小さな女の子を抱き締めている貴族風のおじさんが見えた。その時、俺は肩を叩かれ後ろを振り向いた。するとそこにはユウがいて俺の頬を人差し指で押していた。
「引っかかったな。」
彼はこんな状況にも関わらず、おどけた様子で言ってきた。多分、彼なりに気遣ったのだろう。
「よう、ユウちゃん。さっきぶりだな。」
俺がそんな事を言っているとあんももとすいかも集まってきた。
「みんな大丈夫?」
あんももが聞く。
「この通り元気だ。」
ユウが言う。
「すいか。大丈夫か?何か顔色悪いけど。」
俺が聞く。
「大丈夫。ただ今日発売の漫画が買えないと気付いてしまっただけ。」
すいかが言う。
世界が変わっても変わらない話の内容に少し微笑みながら今の状況を話し合う。
「やっぱ、これ異世界転移だよね?」
あんももが聞く。
「だろうな。」
ユウが言う。
「みんな女神とは会った?」
俺が聞く。
「うん。勇者に選ばれたって。」
すいかが言う。
俺らがそんな事を喋っていると周りのクラスメイトたちも話し始めていた。
少し場が騒ついているとパン!と手を叩く音が聞こえさっきのおじさんが「事情を説明する。」と言ってついてくるよう指示した。
俺は彼を先頭にさっきまでいた石レンガに囲まれた薄暗い部屋を出て階段を登り大きな部屋へ案内された。部屋の中はさっきと打って変わって明るく、中央には縦に長く大きなテーブルとたくさんのイスが並んでいた。俺ら4人は入ってすぐの右側のイスに座った。
「では説明させていただく…」
ついさっきまで緩みきった顔が嘘のように真剣な表情に変わった。
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