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もう辛抱たまらなかったんだ、と思われる件

エルフ娘さんを観察しちゃう視点です。

……あの時は本当に怖かった。

鬼気迫るっていうのはああいうことを言うんだろう。

脅されて色々手伝ったけれど、ホットラインまで知られなくて本当によかった。

あの娘にまで知られたら、何をやらされるか判ったモンじゃないしね。


さて、旦那くんはどうなったかな。

人払いの結界も僕には関係ないからね……

どれどれ~



☆ ☆ ☆



エルフの集落っていうと、緑茂る森の中にあるツリーハウスとか人間の住居と違って木製メインの小屋、っていうイメージが強そうだけどあながち間違いでもない。


そんな中でも明らかに真新しい小屋がある。どう見ても新築です、新居です、愛の巣です。

記憶が戻った旦那さんには針のムシロかもしれないけどね。



カメラさん、カメラさん。

針のムシロ、じゃなくて新婚夫婦の寝室に焦点を合わせて~。


朝陽が差し込む部屋で目を覚ましたはずの旦那さんが二度寝してる?

……あー、記憶が戻って情報処理が追いつかなくなったかな。

もしくは現実逃避かな。


隣でもぞもぞ動いてる。

新婚さんの布団だし、もう一人のお嫁さんだね。

長老の娘のエルフ娘さん、名前はリーンウッド。

何も身に着けていない細身を起こすと、愛おしそうに旦那さんの寝顔にキスを落として布団から出てくる。


あ、なろう版は不思議な光で首から下は見えませんのであしからず。


布団の傍らから取り出した大きなシーツを身体に巻き付けると、寝室を出てまだ暗い廊下を経て隣の部屋へ。

エルフの集落の住居には珍しい、本棚や傾いた台の付いているテーブル。

こちらはどうやらエルフ娘さんの私室だね。


テーブルの上にはペンや数枚の紙が並べてあったり、なんというかエルフっぽくない。

そんな部屋で彼女が無地の紙を手に取りテーブルに向かうと、恐ろしい勢いで何かを描きはじめた。


いや、知ってますけどね。

これでも人間側のお嫁ちゃんの件で、彼女たちがこの世界に生まれてからは念のため観察を続けていたわけだし。

10分ほど経ったころには、それはそれは見事な旦那くんの寝顔の写し絵が。

出来に満足したのか、うっとりとした表情で描いた紙を汚さないように端に避けると、今度は立ち上がり本棚から一冊の紐で閉じた冊子を手に取り開く。

ゆっくりと堪能するように見ている冊子の中身、それは美化0%実写顔負けの再現度を誇る旦那さんのイラスト。


それどころか、旦那くんの前世。日本人“柏木雄太”の姿絵まで。


ただね、最近の姿だけじゃないんですよ。

少年期はおろか、幼年期の姿絵までばっちり。

しかもその出来は今と比べても遜色がないです。


怖っ! 

ある程度知ってるつもりだったけど、ここまでとは思ってなかった!

もう見るの止めたい!


(ブツン)



あ、カメラさんありがとう、映像切ってくれたのね。

……さすがにそろそろお気づきの方もいるでしょうから、さっさとネタ晴らししちゃいますね。


エルフ娘ことリーンウッドさんも旦那くんの前世“柏木雄太”の関係者、転生者です。

やってる事はアレでも一応ストーカーではないんですよ?

双子の姉でしたからね、彼女。

変な事なんてしなくても子供の頃から私生活べったりだったみたいですよ?

おかげで彼の行動もきっちり把握してたみたいで。


彼が死ぬ直前に、三途の川通り越してこの世界のエルフに転生。

神側の管理案件もあっさり先回り……どういう事なんだろう、既におかしかった。

ストーカーどころの話ですらなかった。


僕なんて端っこも端っことはいえ、仮にも神の端くれなわけだけど、なんで彼女の情報来てないんだろう。

崖の細工とか、わざわざ上の方からの指示書まで来てたけど、どこからの圧力なわけ?


この娘は本当に人間? 今エルフだけど。

もう上の方の神様だったとか言われた方がすごく納得できる。




うん、深く考えるのは止そう。この件は突っ込んだら絶対ドツボに嵌る。

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