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元魔王の異世界冒険譚  作者: Undo
7/10

神の戯言 参

「あまりウチの若いのを苛めてやらないでくれないかなぁ」

若い神を戒めている最中、ふと声がかかる。

顔だけを向けると、1人の若い男が立っていた。


年の頃は20代ぐらいだろうか、美男子の類であろう、燃えるような金の長髪に凛と輝くルビーを思わせるような朱い切れ長の瞳、透明感のある陶器が如くの肌がそれらを一層と強調させている。


「お前は誰だ」

「ん?神さまだよ。そいつらとは格が違うけどね」


神である。それはわかっているが、言葉通り、ここいらに鎮座する若神ではないが、奥に座る三つ目の神とも毛色が違うように思える。

飄々として軽くて薄い、そんな印象であるが底が見えない、それに…


「殺気を纏って人の背後に回るのが神の御業か?」


俺様の言葉に金髪の神は子供のような満面の笑みで応えた。

そう、先刻から何度か殺気と共に俺様に話しかける声と同じだった。

つまり、声の主は眼前のこいつのものであったのだ。


「…ンフフっ!バレちゃったかぁ…残念残念」


口にた言葉とは裏腹に全く落胆した様子はない。

むしろ楽しんでいる様子だ。

…気持ち悪いヤツだ。


「はじめまして転生者くん。俺はギルベルト。一応神々の遊戯(ラグナフェス)の裁定を任されているチョット偉い部類の神様だよ」

「ちょっとねぇ」


改めて観察してみるも、底が見えない。

周りの神のプレッシャーが多いせいか、こいつ自身の実力が計り知れない。

ニヤニヤと嘲笑を浮かべながら、こちらの様子を観察している。


「んんふふっっ。さてさて、君のことは一旦置いておいて…ヘスティア」

「ひゃい」


土下座が板についていた女神様は突然上司に声をかけられて変な返事で答える。


「んー残念だったねぇ…代理人集まんなかったみたいだねえ」

「ギ、ギルベルト様」

「俺も悔しいよ〜推薦した身としてはさ、ホントに心苦しいけどねぇ…でも約束は約束だからね…」


顔を上げギルベルトと目が合うと、ヘスティアは全身を震わせる。

その顔に恐怖の色を帯びながら。


「バイバイ」


スッと右手をヘスティアの顔に近づけてるギルベルト。

手に青白い光が灯りその光が徐々に強くなる。


「イヤ、嫌だぁぁっっ」


ヘスティアの顔が光に包まれ、絶叫と共に光が全身を包みこまんとする、その寸前で光が霧散した。


「んーどういう事かな。転生者くん?」


光が消えた理由、簡単だ俺様がギルベルトの手を掴み反魔の波動を流して、光を霧散させた。

手段は簡単だ。

しかし、この軽薄神サマが聞いているのはそんなことではないだろう。


「どういう事だと?そいつはまだ、俺様の質問に答えていないではないか。それなのに」


そう、まだ聞いていないことがある。

勝手に転生させようとしていた、はた迷惑な女神がこだわる理由をまだ、聞いていないのに、


「貴様、こいつを滅神しようとしたな」


神を殺すことは不可能。

依代や信仰心などを糧にする、存在自体が超常的存在の神魔に生殺の概念はない。

存在を消すとなれば、精神体か核、魂などを破壊することになるが、それが可能なのは、より上位の存在か、そういう物質、概念を具象した武具が必要となる。

この、ギルベルトと名乗る神がいままさに行うとしていたのは、ヘスティアの滅神。

俺様が感じた、強い滅びの波動を帯びた光。

おおよそ冗談で向けていい代物ではない。


「そうだよ」


あっけらかんと答えるギルベルト。


「此方としても胸が痛いんだよーでも、神聖な儀式である神々の遊戯(ラグナフェス)の遅延。彼女の力量不足でかれこれ500年程儀式が滞っているんだからね」


言葉とは裏腹に、全く笑っていない。

神たち(こいつら)にすれば、大事な行事ごとを散々遅らされているわけである。

その、原因であるヘスティアは役立たずと言われても仕方ないと言うことか…しかし……


「何故こいつに人が集まらない?神の頂とかの関係かそもそも、神の頂とはなんだ?」


俺様の問いが的を射たのか、ヘェっと感嘆の息を漏らしギルベルトが言葉を続ける。


「そもそも神々の遊戯(ラグナフェス)は、第一に神と人の絆が必要。つまり、信仰だね。

なんせ、代理戦争なんだから、最悪また死んでしまうんだからね。ちゃんと同意を得た上での契約を行わないと神としての奇跡は与えられないわけさ。

信仰は神の求める理想に対する共感、リスペクトが重要になってくる。」

「つまり、この儀式の頂点に立つという事は、他の神々の理想を打ち砕き、自身の理想とする世界の構築を意味する。つまり、神の頂とは、向こう100年の世界の指針を決めるものとなるわけだよ。」

よく回る舌だな。

しかしこれで疑問が解決した、のか?

向こう100年の世界の指針の決定、そんなことが可能なのか…

「……人の意思も思うままだと言うことなのか」

「ん?何か言ったかい?」


ギルベルトを無視し、固まって動かなくなった残念な神に近寄り声をかける。


「おい」

「………」


動かない、気を失っているようだ。

まあ、この世から消え失せようとした直後だったしな。

だが、俺様はそんなに優しくない、


「フンっ!」

「ギャァ!」


俺様の放った水球が直撃して、キリモミしながら吹っ飛ばされるヘスティア。


「鼻、ハナに水!てかイタイ。痛冷たいなんで!?」

「起きたか」

起きて早々騒がしい奴だ。静寂を尊ぶことを知らんのか、全く。

では、本題である。


「おい」

「…な、何んだよ…」

「貴様の神の頂はなんだ?」

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