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新米吸血鬼カミラちゃんの挑戦!

作者: ぽてふら
掲載日:2018/07/11

 最近吸血鬼になったカミラちゃん。

 今日も友達のロラ子ちゃんの家へ、遊びにでかけます。

 でも、家の外には危険がいっぱい。

 吸血鬼の体は丈夫だけど、そのぶん吸血鬼には弱点がいっぱい。

 果たしてカミラちゃんは無事にロラ子ちゃんの家へ、たどり着けるのでしょうか。



 まずカミラちゃんは出かけるために、ハンカチ・ティッシュをポシェットに入れました。

 ハンカチ・ティッシュを持ち歩くのは淑女のたしなみです。絶対です。


 そうしたら後は、家を出る前の確認作業。

 ガスの元栓は閉めたかな?

 電気はちゃんと消したかな?

 ちゃんと鍵を持って戸締まりできるかな?

 大丈夫なら早速出発です。

 ……おや?


 カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因は流水。

 カミラちゃんの家にはちゃんと水道が通っているので、壁や床の中に水道管が通っています。

 吸血鬼は流れる水の上を通ると死んでしまいます。

 カミラちゃんは家を出る支度中に水道管の上を歩いたので、水道管の中を流れる水の上を通ったことになり、死んでしまったのです。


 これではカミラちゃんがロラ子ちゃんの家にたどり着けません。

 カミラちゃんを可哀想に思った神様が、カミラちゃんの吸血鬼としての弱点を一つ消して、ついでに生き返らせてあげました。

 そう、カミラちゃんは流れる水の上を歩いても死ななくなりました。

 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。



 朝日がサンサンと降りそそぐ中、カミラちゃんは家を出発しました。

 吸血鬼は日の光を浴びると死んでしまいます。

 カミラちゃんの場合だと、日光を三分以上浴びていると体が燃えて、死んでしまいます。

 なのでカミラちゃんは、木や家の影を飛び飛びに通っていきます。

 体が燃えだしたりしないように、木の陰に入っては一休み、家の影に入っては一休み。

 慎重に慎重に、カミラちゃんはロラ子ちゃんの家を目指して進みます。


 住宅街を通って、商店街を通って、飲食街を通ります。

 ……おや?


 カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因はニンニク。

 飲食街にはラーメン屋がたくさんあります。

 そしてちょうどカミラちゃんが飲食街を通った時に、ニンニクチョモランマヤサイマシマシアブラマシカラメマシマシという呪文でラーメンが注文されたのです。

 吸血鬼は聖なるものに触れると死んでしまいます。

 そしてニンニクは、古代エジプト時代から伝わる悪を払う力を持った聖なる球根です。

 カミラちゃんは、ニンニクがチョモランマと呼ばれるぐらいに入るラーメンの香りに込められた凄まじい聖なる力によって、死んでしまいました。


 これではカミラちゃんがロラ子ちゃんの家にたどり着けません。

 カミラちゃんを可哀想に思った神様が、カミラちゃんの吸血鬼としての弱点を一つ消して、ついでに生き返らせてあげました。

 そう、カミラちゃんはニンニクの臭いを嗅いでも死ななくなりました。

 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。



 カミラちゃんは家を出て、考えながらロラ子ちゃんの家へ向かいます。

 カミラちゃんは死んだ理由を考えて、ラーメン屋の前なんかを通ったから死んでしまったんだと思いました。

 更に考えて、だったらちょっと遠回りだけど住宅街から郊外を通ってロラ子ちゃんの家へ行けば、死なずにたどり着けるだろうと思いました。

 慎重に慎重に、カミラちゃんはロラ子ちゃんの家へちょっと遠回りで進みます。

 ところで郊外に住む人達は、イケてるファッションや可愛い洋服に目がなかったりします。

 カミラちゃんの洋服は、とってもイケてるエロカワイイフリフリの大胆なゴスロリファッションです。


 カミラちゃんは郊外に住む人達に囲まれてしまいました。

 叫べどわめけど、カミラちゃんを取り囲んだ郊外に住む人達は、カミラちゃんの透けるような白い肌や真っ赤な眼やおしゃれな洋服に夢中です。

 大勢の人達に囲まれると、どんどん暑くなって喉が渇きます。

 ……おや?


 カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因は渇き。

 吸血鬼は人間の血を飲まなければ生きて行けず、体内の吸血タンクが空になると死んでしまいます。

 カミラちゃんは、吸血鬼になったばかりなのであまり吸血をしておらず、大勢の人達に囲まれたため早く吸血タンクが減っていき、死んでしまいました。


 これではカミラちゃんがロラ子ちゃんの家にたどり着けません。

 カミラちゃんを可哀想に思った神様が、カミラちゃんの吸血鬼としての弱点を一つ消して、ついでに生き返らせてあげました。

 そう、カミラちゃんは吸血タンクが空になっても死ななくなりました。

 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。



 カミラちゃんは家を出て、考えながらロラ子ちゃんの家へ向かいます。

 カミラちゃんは神様にいくつか弱点を消してもらったことを知らないので、郊外を通ると大勢の人達に囲まれて死に、飲食街を通っるとニンニクの臭いで死んでしまうと考えています。

 郊外も飲食街も通らない道のりで、ロラ子ちゃんの家へ行かねばなりません。

 カミラちゃんは商店街から街外れに出れば、ロラ子ちゃんの家へ行けると思いました。


 そうして商店街を通っている最中に、豆を売っている店を見かけました。

 吸血鬼は豆のように細かいものを見ると数えたくなるので、もちろんカミラちゃんも豆を数えたくなります。

 カミラちゃんのお小遣いでは満足できる数の豆を買うことができないので、お店の人に頼んで店先に並んでいる豆の数を数えさせてもらいます。

 ……おや?


 カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因は、日光。

 豆を数えることに夢中になったカミラちゃん。

 吸血鬼は日の光を浴びると、体が燃えて死んでしまいます。

 カミラちゃんは、夕方になって日にあたっていることにも気が付かずに豆を数え続けて、体が燃えて死んでしまいました。


 これではカミラちゃんがロラ子ちゃんの家にたどり着けません。

 カミラちゃんを可哀想に思った神様が、カミラちゃんの吸血鬼としての弱点を一つ消して、ついでに生き返らせてあげました。

 そう、カミラちゃんは豆のように細かいものを見ても数えたくなくなりました。

 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。



 カミラちゃんは家の前で、怒っていました。

 せっかく朝早くからロラ子ちゃんの家へ遊びに行こうとしているのに、夕方になってもまだ着きません。

 一生懸命出かけているのに、まったくロラ子ちゃんの家が見えてきません。


 腹が立ったカミラちゃんは、オオコウモリに変身して空からロラ子ちゃんの家へ向かいます。

 ……おや?


 カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因は、感電。

 カミラちゃんの住む街にも電線が通っていて、それは電柱で空に張り巡らされています。

 いくら体の丈夫な吸血鬼でも、街中で使われる量の電気には敵わなかったのでしょう。

 カミラちゃんは街の電力によって、死んでしまいました。


 これではカミラちゃんがロラ子ちゃんの家にたどり着けません。

 カミラちゃんを可哀想に思った神様が、カミラちゃんの吸血鬼としての弱点を……吸血鬼としての体を強くして、ついでに生き返らせてあげました。

 そう、カミラちゃんは大量の電気を浴びても死ななくなりました。

 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。



 カミラちゃんは家の前で、しゃがみこんでいました。

 飲食街を通っても死んで、郊外を通っても死んで、商店街を通っても死んで、空を飛んでも死にました。

 もうカミラちゃんには、どうすれば死なずにロラ子ちゃんの家へ行けるのかわかりません。


 そうやって自分の家の前で泣いていると、そこに神父様が通り掛かりました。

 神父様はカミラちゃんの話を聞いて、どれだけ頑張っても一向に友達の家にたどり着けないことを憐れに思い、十字架を使って神様へお祈りをしました。

 カミラちゃんが無事に友達の家にたどり着けますように。

 ……おや?


カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因は、十字架。

 吸血鬼は聖なるものに触れると死んでしまいます。

 それは、神父様が吸血鬼のカミラちゃんのためにしたお祈りであっても、吸血鬼である以上絶対に死んでしまいます。

 カミラちゃんは神父様がお祈りに使った十字架によって、死んでしまいました。


 これではカミラちゃんがロラ子ちゃんの家にたどり着けません。

 カミラちゃんを可哀想に思った神様が、カミラちゃんの吸血鬼としての弱点を一つ消して、ついでに生き返らせてあげました。

 そう、カミラちゃんは十字架やお祈りをされても死ななくなりました。

 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。



 カミラちゃんは家を出てロラ子ちゃんの家へ、走って向かいます。

 もう日が落ちて、時刻は夜。

 夜は太陽が沈んで吸血鬼がのびのびと力を振るえる時間です。

 それに。

 神父様がカミラちゃんのために祈ってくれました。

 きっと神様も、ロラ子ちゃんの家に向かうために力を貸してくれることでしょう。

 住宅街を通って、商店街を通って、飲食街を通って。

 ……ついに。


 ついに、カミラちゃんはロラ子ちゃんの家にたどり着きました。

 朝から頑張って、何度も死んで、もう夜になってしまったけれど、なんとかロラ子ちゃんの家に着きました。

 カミラちゃんは心臓がドキドキとするので深呼吸をして、心を落ち着けてからドアをノックします。

 コンコンコン。……。

 普段ならロラ子ちゃんが出迎えてくれるのですが、今は誰も返事をしません。

 カミラちゃんはもう一度、ドアをノックします。

 コンコンコン。……。

 やっぱり誰も返事をしません。

 それもそのはず、人間は夜は眠るものです。

 いい子なロラ子ちゃんは、夜になったのですでに眠ってしまったのです。

 仕方がないのでカミラちゃんは、家の前でロラ子ちゃんが起きるのを待つようです。

 ……おや?


カミラちゃんは死んでしまいました。


 死因は、夜明け。

 吸血鬼は日の光を浴びると、体が燃えて死んでしまいます。

 カミラちゃんは体が燃えないようにロラ子ちゃんの家の中へ避難したかったのですが、吸血鬼は招かれた家にしか入れません。

 つまり、吸血鬼になってから初めてロラ子ちゃんの家に行ったカミラちゃんは、勝手にロラ子ちゃんの家に入ることができません。

 カミラちゃんは、ロラ子ちゃんの家に入れなかったので夜明けの太陽を浴びて、死にました。



 カミラちゃんを可哀想に思った神様は、カミラちゃんを生き返らせてあげました。


 次はうまくいくといいですね、カミラちゃん。


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