落ちて来た。
戦場のど真ん中に転移(?)してしまった俺。
そこで、この戦争の理由などを聞いてみたら、なんか凄くしょうもないし。
なんか、落ちてくるし。
え、待って。
あれって・・・
プロローグに引き続き、わからないことだらけでしょうが、どうか許して頂けると光栄です。
現在進行形で、ピンチである。
状況を確認しよう。
前からは、鋼鉄の鎧を装備した人間の軍勢が。
後ろからは、どう見ても魔族であろうと思われる軍勢が。
それぞれ俺のいる方に向けて進軍中。
さあ、一体この戦争はどうなるか!?
いや、じゃなくてどうすればいいんだ!?
さっきから魔法がボコスカ飛んでくるし、後数分で俺のいる場所についてしまう。
さて、どうしようか。
横に逃げる?いや、もう完全に手遅れ。
戦う?いや、戦闘経験は皆無だ。
上に逃げるとか?いや、それこそ絶対無理。
・・・生きれる気がしない。
これは俗に言う「詰んだ」という状況なのでは?
うーん、とりあえず生存できそうなのは、人間の軍勢の中に突入するとか。
突入したと同時に飛ばされかねない。
だが、最も良い手段のような気がする。
よし、当たって砕けろだ。
人間の軍勢に突入する。
「た・す・け・て・く・だ・さ・い!!!!」
こんな感じで叫びながら。
あと約1〜2キロ。
すると、突然軍勢の中から1人の人間が飛んでくる。
・・・ん!?飛んでくる!?
ギリギリで横に避ける。
「あっぶな!?」
「な、なんで避けるんですかぁぁぁぁぁぁ!?」
女性の声。
「当たったら死ぬ気がして・・・。」
「貧弱ですか・・・。」
飛んで来たのは、髪はライトグリーンのロングで、軍勢の中でもかなり身軽そうな軽装備。
目の色が赤で、見た目だけだと凄く怖そう。
でも、さっきの声からして怖いわけではないだろう。・・・多分。
「どうしていきなりこんなところに?」
「俺がき・・・じゃなくてちょっと・・・。」
あ、どうやって言い訳すれば良い?
「もしかして転移魔法で失敗したとか?」
「あー、はい。そのとうりです。少し友人の魔法が失敗してしまい。」
ナイスだ俺!
俺が転移魔法持ってない設定に出来た!
「それは災難でしたね。しかもよりにもよってこことは・・・。」
「本当飛んだ災難でしたよ。」
ちなみに軍勢達は綺麗に俺たちを避けている。
いやーすごいなぁ。
「ところで、何があったんですか?」
「あ、じつは魔族達と正式に戦争になってしまったんです。」
てことは・・・魔王とかかな?
「こちら側の女神様と、あちら側の魔王の対立でして・・・。」
「やはり、ですか。魔王と女神・・・ですか。」
「なんでもかなり深刻な事情があったそうで。そのせいでここまでとは・・・。」
あれ?もしかして、戦争に対して良い思いしてないのか。
「この戦争が、出来る限り早く終わってくれるといいのですが・・・。」
あ、ビンゴ。
やっぱり、戦争嫌いの人だ、この人。
「何度もやめた方がいいですと言ったのですが・・・。仕方ないのかな・・・。」
ご愁傷様です。というか・・・
「軽いですね。その様子だと話し合ってもいないのでは?」
すると、凄い勢いで迫って来て
「ですよね!!話し合いもせずこんなことしてるんですよ!?正気だとは思えません!!」
相当なんだな。
でも、なんだかかわいそうだな。
きっと大切な人がいるんだろうな・・・。
てか、この子戦闘に参加しなくていいのか?
「しかもですよ!!その理由を聞いてみたらなんと、この世界は俺のものだからだ、とかって言い始めて・・・。」
「そ、それは最悪だな・・・。」
大丈夫なのかよ、この世界。
あと、この子戦闘に参加する気ないな。
「と言うか、よく魔王とか女神とかになれましたね。どうやって決まるんですか?」
「こればかりはどうしようもなく、簡単に言うと雑なんですよ。先代の魔王と女神が死ぬと自動的に、かつ強制的に決まってしまうんです。」
それは・・・本当かわいそうに。
そのせいでこんなことになってるのか。
あ、なんかちょっとイライラしてきた。
「はぁ・・・。メリドゥス様とバァリメル様が魔王と女神になってから、ずっとこんな感じですよ。もうウンザリです・・・。」
「へー、メリドゥスとバァリメルか・・・。」
どっちがどっちかは置いといてろくなやつじゃないだろうなぁ。
隕石が落ちて来た。
おー、なんか落ちて来たなー。
いや、ファ!?ワッツ!?
なぜに隕石落ちて来た!?
「んな!?何で隕石なんかが!?」
彼女ですら仰天してる。
ドーン。
大地が揺れるって、こんな感じなのか。
いや、てか、立ってられないわ!?
轟音とともに地震が発生。
さらにとんでもない衝撃が身体にかかる。
「うぐっ!?」
「ひゃあ!?」
咄嗟に彼女の腕を掴む。
この際小さいことは気にしないでほしい。
なんとか耐えられる程度だが、ちょっと気をぬくと飛ばされかねない。
全神経を腕と足腰に集中させる。
「っ・・・!?」
苦しい。
つーか、息が出来ない。
でも、足を上げたら終わり。
ついでに手を離すことも、プライドが許さない。
「だ、大丈夫、ですか!!」
「うぐっ・・・くぅ・・・。」
大丈夫じゃないね、はい、よく分かった。
わかったが、我慢してくれ・・・!
俺も一応死にそうなの!!
「あ・・・。」
細い腕が俺の手から離れる。
さらにそれを掴もうとして体制を崩してしまう。
「やば・・・!!」
そう思った時には既に時遅し。
足が離れてしまい、爆風に逆らえなくなり、身体が吹っ飛ぶ。
そう、吹っ飛ぶ。
比喩でもなんでもなしに。
何度も地面に身体を打ち付けて止まった頃には、もう俺の意識はなくなっていた。
のちに知ることになるが、この戦争でのこの事件(?)は、裁きの流星と呼ばれることになる。