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親族経営「警神隊」の日常  作者: そうさん
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警神隊の誕生

【1話 警神隊の誕生】


昔々、人々の多くが「神」というものの存在を身近に感じていたころ、日本の地には多くの神々が顕在していた。

有名どころの神々や土着信仰の対象となっているもの、果ては物に宿る神など挙げれば切りがない。

神々は人の姿をもって、時には物に宿り人と共に暮らし、神であることを知られず、慈悲深き母のような心で己が民を温かく見守っていた。

神と人との蜜月とも言えるような時代は物質的な豊かさは無くとも、「心の豊かな時代」であると言えた。


時は進み、現代。

人は神に頼ることをやめ、物質的な豊かさを求めるようになる。

蒸気の利用という革新が生まれ、電気、電波など生活を一変させる種々の発明がなされた。

高度化した文明は神と人との距離をより一層引き離し、いつしか参拝や遙拝などは信心深いとされる一部の人々が続けるのみとなり、本当の意味で神の御許を訪れるということは激減した。

一部、「パワースポット巡り」なる軽い文化があったが・・・。


人々の願いや祈りは神の源であり、その祈りが減じるということはその力が減じることと同意となる。

祈りの届くことが無くなった「小さき神々」は、その姿を維持すること出来ず、緩やかにではあるが確実に姿を隠していく。


ここで神々が祈りを聞き届けるほかに一体何をしているのかお知らせしよう。

神はその力の範囲でこの世の不浄を浄化していく。

不浄とは人々の邪な心から生まれるものである。

誰かがつく簡単な嘘、美しいものに対する嫉妬、そのような小さな不浄が寄り集まり、やがて人を凶行へと駆り立てる。

やがて巨大化した不浄は土地に染み付き災厄をもたらす。

心のうちに大きな不浄があるものがそこを通れば、窃盗、果ては殺人を犯す。

その不浄の地が「交通網」であれば事故を引き起こし、その事故で亡くなった人々が不浄をより強固なものへとする。


先にお伝えした通り、神々は緩やかにではあるがその姿を隠している。

そのため、不浄の地はその数を増やし、より一層強固な不浄と変化していく。

最早、魔の地とも呼べるほどにまで発達した不浄の地は、力弱き神では浄化することが叶わない。

犯罪の数は上昇し、犯罪に巻き込まれた人々は無念の思いから不浄へとその身を落とす。

まさに不浄の螺旋である。

近年になり犯罪件数、特に心の成長過程であり多感な「若人」の犯罪が凶悪化しているのにはこういった背景があった。


人の世に不浄はつきもの。 

光の傍に影があるように昔も今も人と不浄は寄り添って生きている。

世の常であると見逃すことも出来ようが、未来ある若人たちの現状に天照大神は心を痛めた。

人の世の為、神々と対策を練っていた天照は話し合いの合間に憂いを秘めた瞳で日本の首都「東京」を見下ろした。

その時、ふとあるものが目に入る。

今までも日常的に目にしていたものだが、見方を変えるとこうも違って見えるものか。

まさに、天啓。

いや、神に天啓とは・・・と天照は小さく微笑む。


天照の目に映ったもの。

それは、警察組織であった。



この日から神々が住まう高天原たかのあまはらを中心とした天の警察組織「警神隊」が発足した。



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