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マイリトルヒーロー  作者: 茶菓
3/4

奇跡?

 そうして月日は過ぎ、私たちは高校生になった。


「和葉見て…!クラス一緒だよ!!」


「ほ、ほんとだ…奇跡だ…」


 3クラスしかなかった中学の頃とは違い、高校では8クラス。


「休み時間遊びに行くね」なんて言いながらどんよりとした気持ちでクラス表を見たら一転、一気に色んな緊張が吹き飛んでしまった。


「これでもう高校生活は安泰だ…!!」


「大げさだなあ綾瀬は」


「人がせっかく素直になってるってのに!!」


 いつものように他愛もない会話を交わしながら、入学式の会場、体育館へと向かう。




「新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。今日のこの良き日に…」……





 入学式を終え、綾瀬と共に教室に入ると、知らない風景、知らない顔…当たり前だけど、そこは知らないもので溢れていた。


「和葉、席どこ?私あそこの前から3番目っぽい」


「…げ、一番前…」


 流石に席まで近く、というほど神様は甘くないようだ…。


 とりあえず席まで行って、荷物を置く。置いて、またすぐ綾瀬のところに行こうとすると、


「あ、ねえ、俺の席どこかわかる?飯岡潤なんだけど…」


 白くて綺麗な男子が話しかけてきた。


「座席表なら、黒板に貼ってあるよ。」


 と言って黒板の方を指差すと、


「えっうそ?…うわー、ごめん、ありがとう!」


 謝罪と感謝を同時に述べると、黒板の方へ行って、すぐ戻ってきて、


 ドンッ


 私の隣の机に荷物を置いた。


「まさかの出席番号1番…。…改めて、俺飯岡潤。よろしく!」


「私は笠井和葉。よろしくね、飯岡君。」


 もう友達(?)出来た〜!!とか考えていると、


「和葉どうしよう…全然知ってる人とかいない…」


 ちょうど綾瀬が来たので、


「飯岡君。これ私の友達!」


綾瀬の腕を引き、飯岡君に紹介する。


「これて和葉。水野綾瀬です。よろしく、いおかくん?」


「いいおか。飯岡潤。よろしく水野さん!」


 もう2人も友達できちゃったよ、と嬉しそうな飯岡君。いい人そうで、綾瀬と笑っていると、私の横を、見た事のある人が通り過ぎた。


「あれ…いまのって…」


 キーンコーンカーンコーン…


 思い出そうとしていると、チャイムが鳴った。鳴り終わると、ドアが開き、綺麗な女の先生が入ってきて、みんなそれぞれ席につく。


「私が1年間、この1年2組を担当する、日高紫(ひだかゆかり)です。よろしくね!」


 と簡単な挨拶をし、


「じゃあとりあえず…自己紹介、しよっか!」


 と、笑顔でいうと、


「「「えーーーー」」」


 小さな声が、たくさん聞こえた。


「はいはい。じゃあ1番飯岡君から。前に出てどうぞ!」


「だからやなんだよなぁ1番……。」


 そうぼやきながら教卓の前に立つと、


「南中出身、飯岡潤です。部活はバスケ部入ります!……えっと、よろしくお願いします。」


 何気にあっさりと自己紹介をこなす。


 パチパチパチ……


「一中出身、稲葉春香です。」………


 順番に自己紹介は終わっていき、いよいよ私の前の人の番になる。


 その人は私の横を通り過ぎて、教卓の前で止まり、振り返る。


 その顔は……


「西中出身、大山稜介です。趣味はバスケで、特技もバスケです。部活もバスケ入ろうと思ってます。よろしくお願いします!!」





 あの、『4番』だった。

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