表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様と村人D  作者: 十束万里
11/23

二次試験開始。

 メテオと王子が手を離すとほぼ同時に、ノック音と共に扉が開く。

 入ってきたのは、試験官と思しき長い白髭を生やした初老の男性だった。


 「これから二次試験を行うにあたって、説明をさせていただきます。皆さんにはこれからお配りする指輪(リング)を装備してもらいます。これは装備する事によって、擬似魔法を使う事が出来る代物です。使用できる魔法は皆さんの持つ魔力と比例したもの、つまり魔力が高ければ高い程、より強力な魔法を発動する事が出来ます。そして今回は受験生の皆さん平等に、火属性の指輪(リング)を配ります。場所は第一訓練場。安全の為に結界を張ってあるので、安心して下さい。試験は一人一回の魔法攻撃、合否の有無は相手に与えたダメージ数が基準値を上回っているか否か。皆さんの相手は私です。ではこれから第一訓練場に移動します。付いて来て下さい」


 一方的に喋り、相手に質問の隙を与えず、話終われば(きびす)を返して扉の方へ歩いて行く。

 逆らう理由は無いので、四人で大人しく付いて行く。

 待合室となっていた教室を出て、螺旋階段を降り、入って来た所とは別の所から校舎の外へ出る。しばらく校舎の壁沿いを歩いて行くと、円形状の石造りの建物が現れる。

 校舎の様に絢爛豪華な造りでは無く、出来る限りの無駄を省いたもの。よく見ると壁には幾つもの傷があった。

 廊下を突っ切って外へ出る。建物の内側はコロッセオの様な形になっていた。ただ、観客席は無く、そこに土があるだけ。前世の学校で例えるならば、だだっ広い校庭の様な感じだ。


 試験官は建物の真ん中まで来ると、振り返って指示を出す。


 「ではこれから指輪(リング)を渡します。しかし、自分の試験の順番が回って来るまでは決して装備しない様、注意して下さい。注意を聞かずに勝手に装備をして、万が一魔力が暴走して魔法が暴発しても、我々は一切の責任を負いません。何故なら貴女方はまだ我が校の生徒では無いからです。では、どうぞ」


 結界を見てくるから少し待っているよう指示されたので、その場から動かずに、手渡された赤い石の付いた指輪(リング)を見ていると、メテオが話し始める。


 「あの試験官さん、怖かったねー。返事する暇も無かったよね?」

「そうですね」

「ここの先生って皆あんな感じなのかな?だとしたらちょっとやだなー。リズもそう思うよね?」

「…そうだね。でもああいう、自己中心的な人ってどこにでも居るよね」

「…ジコチュウシンテキって何?ノア」

「さぁ?しかし、質問をしなくても済む説明はありがたいと思いますよ」

「ノアもリズも本当に同い年?ねぇ、レオンハルトもなんか言ってやってよー!」

「………、来た」


 レオンハルトの目線の先を見ると、試験官が水晶玉の様な物を片手にこちらへ戻って来た。

 一度四人の顔を見渡し、口を開いた。


 「これより、私が一人ずつ名を呼びます。呼ばれた者は前へ。その他の者はあちらの結界の中へ。私が試験開始、と言ったら今持っている指輪(リング)を装備して私の張った結界に攻撃して下さい。結界が負ったダメージ数はこの水晶玉に私だけが見えるように表示されます。攻撃方法は、装備した方の手を前に出すだけです。説明は以上です。では最初の試験者、ノア・アーノルド、前へ」

「…はい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ