故事
予想もしないノーブルの発言。
「え…!?」
「なん…だと!?」
頭をよぎる可能性。実はもっと前から,様子をうかがっていたのではないか。要は全てを聞かれていたということ。我ながら迂闊さに呆れる。
「ど…どういうことだ,ノーブル?」
やっとのことでそれだけを言う。しかし,なぜ,と聞かなかったことが幸いした。
「先ほどのあの騎士の礼で確信いたしました」
「…なに?」
エリィと顔を見合わせて,またノーブルへ視線を戻す。
「私は,偶然は二つまでは見過ごすことにしているのですよ。流星殿。ですが…それが三つ重なったら,そこには何らかの必然がある」
「…偶然?」
「ええ。まず一つ…あなたが鎧を紅に染め,流星のデザインを入れた…そう,”宙疾る紅き流星”と全く同様の装備にしたこと」
ノーブルは指を立てながら説明する。
「二つ目は…先ほどの騎士の礼ですね。古式…はるか昔に廃れたはずの,竜騎兵団の礼を流星殿が知っていること」
「えーと…ノーブル?それ二本にしか見えないんだけど…」
「早合点はいけませんよ,姫。続きがあります。その竜騎兵団の最強にして最後の団長と称されたのが,当代を代表するエース,”宙疾る紅き流星”…シャルル=ナズルその人というわけです」
「な…」
「四本…。いっきに…」
しかしそこで,いっきに呆れ顔になるエリィ。
「胡散臭い話になったわね,また…」
「うむ…」
「ふ,二人ともっ,何を…!」
「だって…ねぇ?明らかに出来過ぎで,今作った話みたいに聞こえるのよ…ノーブルには悪いんだけど,どうも予言とか古文書とか信じられなくて…」
「うむ…」
「な,なんということを…」
天を仰ぎ嘆息するノーブル。
「まぁそれはおいといてだ,ノーブル。話の流れからすると,お前の知っているシャルル=ナズルは,龍戦士なんだな?で,俺が同一人物だと思ったから,俺も龍戦士だろうと推測した…」
「おかれるのは不本意ですが,その通りです」
(なるほど…細かい理屈は分からんが,そいつもシャルルを名乗ったのかもな…)
何となく親近感を覚える。
「もし良かったら,その,お前の知ってるシャルルの事をもう少し詳しく教えてくれないか?どうも,俺の知ってるシャルルと微妙に合わないんだよ」
「…合わない?」
「そうだ。まぁ…ちょっとだけ暴露すると,どうも俺は死にかける度に少しずつ記憶を思い出すらしい」
「えっ!?」
「…ほぅ」
「で…名の事に関してはちょっと思い出したんだが。俺は…自分の名が思い出せなかったために,昔何かで見たシャルルの名を借りたんだ」
微妙に濁す。あまり正直に言いすぎれば自分の記憶が異世界の物であることまでバレてしまうかもしれない。
「ところが。俺の知ってるシャルルは竜になんか乗った事は無いんだよ。そっちのシャルルは分からんが,魔法とも無縁だ」
確かに最後の機体は”紅龍”だったが,あれだって単なるコードネームで,全く機械的な型式番号の,可変翼を持つ機動兵器だ。そもそも生き物じゃない。儀礼装には小剣が吊られていたし騎士の礼もあったが,逆に言えばそのあたりにしか共通点を見つけられない。
「分かりました。お話ししましょう…」
ベッドにエリィと並んで座り,ノーブルに椅子を勧める。腰をかけるとノーブルは,コホン,と咳払いをして話し始める。
「はじめにお断りしておきますが…竜騎兵団と”紅き流星”に関して記された,現存するただ一つの古文書は,使われている言葉が古いために今もって完全に解読されておらず,破損もかなりあるものです」
「そこからしてなんか…もう…ねぇ…」
ノーブルに聞こえないようにぼそぼそとつぶやくエリィに苦笑する。
「ただ苦い経験でもあり悲劇でもあったことで,代々のアリシア王族には今も主だったところが口伝によって伝えられているようですね」
(フレイアじゃないが…ほんとに良く知ってるなそんなこと…)
「それらによりますと,当時は二つの王国があり,それなりに仲良くやっていました。アリシアは,今のエリティア領も版図に入っており,いまよりずっと…野心的でした」
「へぇ…意外。アリシアってずっとおとなしいのかと思ってた」
「まぁ当時は歴代の女王陛下も子だくさんでしたから…。女王からの距離が近い王族貴族が今よりもかなり多かったのですよ。男性が多いと,どうも攻撃的になるようです。もう一つは,古ハイアム王国。今のサナリア,ルトリア領を版図とした王国で,竜と人とが共存する国でした」
「あれ…?じゃぁそのシャルルは…龍戦士だけどアリシアの人じゃないって事?」
「そうなりますね。当時は今よりずっと距離が近かったので,アリシアに限らず龍戦士が受け入れられていた時代,とも言えます。嘘か真か竜騎兵団も,竜の子孫たちで編成された部隊と言われていました」
「まさか…」
「そうですね。もしかすると,龍戦士の子孫たちなのかも知れません。ただ,シャルル本人は間違いなく自身が龍戦士だったようです」
「ふむ…」
「事の発端は…アリシアに双子の姫が居た事です。詳細は省きますが…紆余曲折の末に妹姫のエレーナ様がハイアムへ嫁ぐ事となりました。ところが…」
「ところが?」
「嫁いだ直後から,ハイアムの王位継承権を持つ者たちが次々と,謎の死を遂げていったのです」
「えっ…それって…」
「と,ハイアム側は考えるでしょうね。しかし,アリシア側から見れば,誰にでも分け隔てなく接するお優しいエレーナ様がそんな謀略の片棒を担ぐなどあり得ないこと」
ノーブルは溜息をついて続ける。
「両国の関係が決定的になったのは…それでもアリシアとの平和の道を模索し続けていたハイアムの国王陛下…まぁエレーナ様の良人ですが…その方が暗殺されてしまったことがきっかけです。それによって…ハイアムの強硬派は,エレーナ様を幽閉してしまいました。それに怒ったアリシアがハイアムへ宣戦します」
「…」
「アリシアとハイアムの戦争は激しいものでした。竜騎兵団を筆頭に勇敢な騎兵団を擁するハイアムに対し,アリシアは魔操兵の大軍団を繰り出します。先に言っておきますと,この戦争の悲惨さを忘れないため,アリシアはその一部を魔操兵戦争として今も語り継いでいます」
(魔操兵戦争か…)
そこでなんとなく森で見たアラウドの姿を思い出してしまい,妙に穏やかな心境になってしまう。
「戦争は終始アリシアの優勢で進んでいました。まぁハイアム側の主だった指揮官…王族たちがすでに世を去っているから容易に予想はできました。しかしその中で唯一…絶大なる戦果を挙げ獅子奮迅の活躍を見せていたのが竜騎兵団と”紅き流星”です。隊長のシャルルはエレーナ様に捧げた剣に懸けて,激戦に次ぐ激戦に身を投じていきます」
「…」
「ところが…ここであらぬ噂が流れてしまいます。ハイアムの国王陛下には,エレーナ様がお産みになった忘れ形見が居て,その子が唯一の王位継承権保持者だったのですが…」
「まさか…」
「そうです。シャルルのあまりにも並外れた献身ぶりに…実は王の子ではないのではないかという噂が立ちます。そして…竜騎兵団が最後の戦いに出撃した隙に,母子ともども殺害されてしまったのです」
「ひ…酷い…そんな…」
「竜騎兵団も遂に壊滅。最後の一騎となって,エレーナ様だけでも守り抜こうと王城へ戻ってきたシャルルが見たものは,変わり果てた彼女の姿でした」
「…」
「そこで恐ろしい事が起こります」
「えっ?」
「生きる意味も価値も無くしたシャルルが,龍戦士の力の全てを開放してしまったのです。まぁ…実際は分かりませんが,そうとしか説明のつかないようなことが起こったわけですね」
「ど…どうなったの?」
「ハイアム王城を中心とした一定範囲に大いなる災厄が訪れました。付近に展開していたハイアム軍全軍とアリシア軍の遠征軍全二二軍が全て消滅。当時世界最高の威容と称されたハイアム王城も跡形も無く消滅して大きなすり鉢型のくぼみとなり,そこは数千年を経た今でも草木がほとんど生えない死の大地となってしまいました」
「な…龍戦士の力とは,それほどのものなのか…」
身体が震える。調子に乗ってエリィの側に居ることを約束してしまったが,そんな力を持つ龍戦士が敵として現れればひとたまりもない。
「ね…ねぇ…その後シャルルはどうなったの?」
「分かりません。両軍を道連れにその生を終えたとも,この世界に完全に失望して龍の国へ帰ったとも,今も魂だけが無念の思いとともに死の大地をさまよっているとも,いろいろに言われていたようですね…まぁ先の騎士の礼から行けば,生きて帰ったという説にはあまり信憑性はなさそうですが」
「シャルルも…エレーナ様も…かわいそう…」
「その反省も込めて,その戦いののちアリシアは己にさまざまな制約をかけます。例えば…本国防衛のために遠征には加わらず,結果として消滅を免れた三軍団,それを最大規模として軍備を縮小し,エリティア領も放棄。先ほども申し上げた通り魔操兵戦争として語り継ぎましたが,その一方で魔操兵自体は永久に封印しました。今の穏やかな国柄も,そこから培われてきたものです」
「そ,そうなんだ…」
「もし…件のエレーナ様やシャルル殿が再びこの世に生を受けたならば今度こそ幸せに生きてほしい。それを可能にする国にしよう…というのが先代たちの願いだったのです」
そこでがらりと調子を変えるノーブル。
「だというのに姫ぇ~?あなたはその数千年にも及ぶ先人たちの思いを,よりによって胡散臭いだの信じられないだのと…」
「ご,ごめんなさい!私が悪かったです。謝ります!エレーナ様,シャルル,ごめんなさい!」
慌てて平謝りするエリィ。しかしノーブルはまた調子を変えてぽつりとつぶやく。
「まぁ…それで結局帝国には好きにやられ,国の命運も風前の灯となってしまっていますがね…」
「ノーブル…」
すみません,と小さくつぶやきノーブルはまた声の調子を変える。
「とまぁ…私の話はだいたいここまでですが…いかがでしたかな?流星殿?」
「なるほど,実に興味深い話だった。だが…やはり俺の知っている”紅き流星”とは別人だな」
肩をすくめて見せる。
「さっきも言ったが…俺はあくまでシャルル=ナズルの名を借りているに過ぎない。しかも…俺の知っているシャルルとそのシャルルはやはり別人だ」
「…それはつまり…あなたはそのシャルルとも,ハイアムのシャルルとも別人である,と?」
「そういうことだな。まぁ…アリシア王家の方々にはいろいろな意味で残念なお知らせかも知れないが…」
「…むぅ。しかしそれでは,これだけ重なった偶然が説明できない…」
考え込む仕草を見せるノーブル。
「いや…俺にはだいたい理屈が分かったぞ」
「流星殿?それは?」
「…あくまで仮説として聞いてくれるか?俺も確かめたわけではないから自信は無い」
「…分かりました」
「どこが先かは分からないが…”紅き流星”なりシャルル=ナズルの名は,思っているよりも随分と普及しているのではないか?俺もそうだし…確か,アラウドもそんな事を言っていたよな?」
「確かに言っていましたね」
「で…こんなことを言うと失礼にあたるかも知れないが,例えばハイアムに現れたシャルル=ナズルも,本来はシャルルではなく,俺と同じようにシャルルを名乗っただけかもしれないな」
「それは…」
「心の師とか,憧れとかを以てシャルルを名乗ったと仮定すれば…多かれ少なかれその生き方なりを真似てみたい,と思うような気がするんだ。装備しかり,生き様しかり。それでそれなりに成功した者たちが新しい伝説となって,いくつか種類の違う”紅き流星”が生まれてもおかしくないと思う」
「なるほど確かに…それならば,部分的に重なりつつも細部が微妙に異なるという現象にも説明がつきますね…」
そこで,残念そうにふぅと溜息をつくノーブル。
「ノーブル?どうしたの?」
「…俺のせいだよ」
苦笑する。
「え?どうして?」
「ノーブルは俺が,超のつく龍戦士のシャルル本人だと思っていたんだよ。だから,君が世界すら敵に回せるほどの頼れる剣を手に入れたと喜んだ」
そこで肩をすくめて,ため息交じりに続ける。
「ところが,俺がまがい物だと分かった。つまり,手に入れた剣が実は紙に描いた絵だったと分かってがっかりしてるのさ」
「な…ノーブル!?」
「いやはや…たいへん失礼ながら仰る通りですよ,流星殿。貴殿には申し訳ないが…やはり落差は大きいと言わざるを得ません。これでいよいよ私もお役御免,あとは姫の幸せを願いながら…などと夢を見てしまった分だけ衝撃もかなりのものがありました…」
「ノーブルっ!…いくら何でもそれは…!」
(ん?待てよ…)
ふと,可能性に気づく。騎士の礼の縛りを熟知しているはずのノーブルが,エリィへのそれを止めなかった理由は何だ?ハイアムのシャルルが超のつく龍戦士で,それが何らかの原因でここへ現れたとするなら,それが伝説の龍戦士にもっとも近い,と考えるのが普通ではないか?予言にある「結ばれる」の意味は分からないが,別の人間に剣を捧げたままでも可能なものなのか?
(…確かめてみる必要があるか…?)
危険な賭になるかもしれないが,うまくいけば一つ余裕ができるかも知れない。仮に自分が龍戦士であるとばれても,身代わりにされる可能性は消えるのではないか…。
「ちょっと,シャルルも何か言ってよ!」
エリィの言葉で意識を現実に戻す。
「ん?あ,ああ…?」
「明らかに失礼過ぎるでしょ!?怒らないっておかしいわよ!」
「いや…結局俺はトカゲにもやられるなんちゃってシャルルだし…」
思わず本音を言ってしまう。
「うぐ…」
そこでそれを蒸し返すのか,と悲しそうな怒ったような表情のエリィ。
「あぁ…すまん。俺の事でそんなに怒ってくれるのは嬉しいよ。もっと頑張るからさ…とりあえず今はそれで勘弁してくれ」
「うー…」
「しかし…ノーブル?」
「何です…?」
「あり得ない仮定になってしまって申し訳ないんだが…仮に俺がその,ハイアムのシャルルだったとして。超がつくほどの龍戦士だとすれば,今回現れる筈だった伝説の龍戦士の可能性も高かったのではないか?その俺がエリィに騎士の礼をしてしまうことは,予言の成就という観点から問題はないのか?」
「あ…」
エリィがハッとする。しばらく沈黙していたノーブルはしかし,にやりと笑って口を開く。
「その時は…姫にアリシアの女王となって頂けば万事解決です」
「え!?」
「幸い姫もお姫様をやる覚悟を決めるとの事ですし…なぁに伝説の龍戦士の力を以てすれば国の一つや二つどうとでもなります。…予言なども後からどうとでもご都合解釈できますしね。私も微力ながらお手伝いいたしましょう」
「ちょ,ちょっとちょっとノーブル…?日頃のあなたの言動,全否定!?」
「おいおい…いくらあり得ない仮定だからって…返しまで荒唐無稽にされると聞いた意味が無いんだが…」
「おや…つまらないですね,もうちょっと真剣に慌ててもらえるかと思ったのですが…やはり冗談に聞こえない冗談のコツをエルフ殿に学んでおく必要がありますか…」
残念そうに不穏な事を言うノーブル。そしてまたちょっと調子を変える。
「まぁ…比較的まともな答えを返すとすれば…」
(…比較的?)
「私は極論,姫の幸せにさえベストを尽くせれば世界の命運などどうでもいいのですよ」
「ノーブル!?」
(なに…?)
どこかで聞いたような言葉,再びよぎる不安。しかしノーブルはさらりと続ける。
「姫,何を今更…”風”のメンバーは多かれ少なかれ皆そう思っておりますよ?」
(…あー…)
言われてみれば確かにそうだ。あんなことやあんなことまで見聞きされていたのかとも思ったが,杞憂ということか。
「それが…姫に良い人が現れるまではと頑張ってきて,これで!と思った矢先のこれですから…」
「ちょ…そこでサラッと繰り返すの止めなさい!」
「…で,どうするんだノーブル?」
それをサラッと流して尋ねる。
「…どうする,とは?」
「頼れる男が現れたと思ったらまがい物だった。そこで,エリィの幸せを最優先するノーブルとしてはどう動く?って事だよ」
「ちょ…シャルルまで…」
「ははは…ご心配には及びませんよ流星殿。伝説の龍戦士に比べれば見劣りすると言っても,現状では貴殿が間違いなくベストです。貴殿以上の存在が現れない限りは,成り行きに任せていても全く問題ないでしょう?」
「…まぁ…今のところはな…いやしかし…それでいいのかという…」
「誤解の無いように申し上げておきますが,これで私は,結構貴殿を買っているのですよ?姫に対する思いの強さだけなら,ハイアムのシャルルにもひけは取らないかと…」
「…持ち上げすぎ…だと思うが?」
なかなか安心させてくれないものだ,と内心ヒヤヒヤしながら慎重に言葉を選ぶ。
「まぁ将来性にも多分に期待はしておりますがね…」
しかしそこでがらりと口調が変わり,ぽつりと独り言めいたつぶやきを漏らすノーブル。
「…少なくとも,私よりかは姫に相応しいですよ」
「…なぜ自分が相応しくないと?」
他人事と思えず,その口調の落差とも相まってひっかかり,思わず尋ねる。
「…ま,いい歳のおっさん…というほど年も食っていませんが…の,夢ですよ」
めずらしく素のまま言葉を発しているような調子。
「…夢?」
「そうです。まぁ本人を前にして言うのも少々気恥ずかしいところがありますが…姫にはなるべく,しがらみと無縁のところで幸せになって欲しいですからね。その意味では流星殿の方が,まだ謎の部分に不安はあるにしても,姫の側には相応しいということですよ。何せ私は,しがらみが服着て歩いているような者でして…側に居続ければいずれ姫に災いをもたらす可能性も高…」
「ちょっとノーブル?それどういう…」
「おっと…」
そこでノーブルはハッと我に返り,慌てて口を押さえる。そしてまたがらりと口調を変える。
「この先を聞いたら,泣いちゃいますよ…姫?騎士の礼みたいなのは,あまり…少なくとも短期に立て続けに重ねるべきでは無いと思いますが?」
「う…」
「その為の”風”の流儀です。過去の詮索は無し。…と言いながら結構喋っちゃいましたがね…」
(しまった,勢いに任せて聞いてしまった…)
「まぁ…聞いた分は責任取って頂けますよね?流星殿?」
にやり,と笑うノーブル。
(…わざと…聞かせた…のか…?)
その疑問を飲み込んで,代わりの言葉を発する。
「そうだな…理由の部分はさておいて,考え方と身の処し方はかなり共感できた。ベストは尽くすさ」
「その共感って,なんか納得できないんだけど…」
「それでこそ,見込んだ私の目にも狂いは無かったと言えようもの。これからも姫のことよろしくお願いしますよ,流星殿」
「あ,ああ…」
(…それにしても…いつの間に,見込まれたんだろう…)
騎士の礼をとったことは内密に頼む,と念押ししながら,シャルルは心の中で首を傾げた。




