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俺の異世界一週間戦記 召喚勇者は期間限定  作者: 神井千曲
8-俺の異世界蛇足戦記 召喚勇者は期間延長
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2

――自室

「……そう。だからそっちに帰るのは来週にするよ。分かってる。もう大丈夫だって……。うん。それじゃあまた電話するよ。元気でね」


 通話を切ると、俺はスマホを置いた。

 通話相手は俺の祖母である。

 本来なら明日の土曜日、祖母の家に帰る約束をしていたんだが、用事が出来たので来週へと延期する事にしたのだ。



 そう……明日。

 俺は再び、あの世界(アストラン)を訪れることになった。

 まだいろいろ片付けねばならないこともあるからだ。それに、異世界に迷い込んだ地球人の捜索と救助も手伝うことになっている。

 幸か不幸か、まだまだ向こうとは縁が切れないらしい。

 いや……俺にとっては幸運だな。

 エルリアともまた逢う事が出来るんだ。それだけでも、万難を排して向こうへ行く価値がある。

 ちなみに俺の転移が可能になっていたという事実は、こちらに戻ってから数日後に判明した。

 先生が向こうの世界の管理システムを調査したところ、俺も管理者として登録されていた事が判明したのだ。本来は12人の管理者が存在し、あの世界をコントロールする訳だが、実情はアルジェダートとアゼリア二人しかいなかった。

 しかしどういう訳か、俺もその資格を得てしまったのだ。

 おそらく巨人像の魔導石に接触した際、俺もあの世界の管理者として登録されてしまったということらしい。

 管理者であれば、ある程度自由に転移が可能となるという話だ。それは、向こうの世界内部だけでなく、こちらと向こうを行き来する事もできる。無論、それ相応に“魔力”を食うために、こちらから向こうへ行くにはそれ相応に制限がかかる訳だがな。

 とりあえず日程としては、一泊二日。日曜日の夜にはこっちに戻る予定だ。

 短い様だが、転移能力を得られたから何とかなるだろう。向こうの仲間も動いているしな。

 それに、今回は準備を整える時間もある。

 この間は突然転移したために着の身着のままだったが、今回は事前に準備する時間があった。

 とりあえず、向こうで役に立ちそうなモノは幾らか調達してある。

 スマホ用の手回しやソーラー式の充電器、そしてバッテリーとケーブルも。

 そして動きやすい靴と服。一泊分の着替えやシリアル類も。あとは懐中電灯やカッパなど。

 キャンプかハイキングにでも行く様な感じだな。それらを縦長のザックに詰める。

 両親への土産としては、幾らかの調味料などを調達した。ついでに、向こうでも役に立ちそうな工具や調理道具も。

 それに、役に立ちそうな本を数冊。それと、幾つかのサイトをプリントしたものも。

 ついでに父さんが昔読んでた漫画も数冊買っておいた。無論、数冊で終わる短いやつだ。

 ちなみに父さんが一番気にしていた漫画は、開始から何十年経ったが未だに終わっていなかったりする。現時点で何十巻もあるので、持ってくとしても次の機会だな……。



 さて……荷物はまとめたし、明日を待つだけ、と。

 俺はごろりとベッドに横になった。

 明日からはまた戦いの日々が待っているだろう。

 とりあえず、日課のトレーニングとストレッチでもやっておくか。

 トレーニングやストレッチといっても、よくあるスポーツトレーニング的なモノではない。

 スポーツや武道の試合なら、その前にウォーミングアップやストレッチする余裕はある。しかし、実戦ではそんなヒマはない。

 最初の一太刀で肉離れなんぞ起こしたら、即座に死、あるのみだ。

 つまり、事前の準備などなし、それどころか不意打ちを食らっても100パーセントのパフォーマンスを出せる身体を作る必要があるのだ。

 大胸筋や広背筋などのアウターマッスルよりも、腸腰筋や内転筋などのインナーマッスルを重視した鍛え方だな。それも、自重メインで。普通のモノよりも効率は落ちるが、仕方あるまい。命に関わることだ。

 それに、各関節の可動域もだ。身体の柔軟性が高ければ、それだけダメージを受けにくくなるし、攻撃の際にも動きがスムーズだ。

 前世でやっていた鍛錬方法だけでなく、こっちで調べた方法論も加えたメニューを作ってみたのだ。まだまだ要改良だがな。



 まずは仰向けに寝、ベッドのヘッドボードをつかんで両肩をマットに押し付ける。そして両膝を立てた状態で左右に倒していく。

 肩甲骨周囲の可動域を広げるストレッチだ。剣を振るうにも、肩関節の柔軟性は必要だしな。


「イチ、ニ、イチ、ニ……ん?」


 と、その時、スマホの呼び出し音が鳴った。

 誰だろう。……って、先生か。

 明日のことかな?

 そう思い、上半身を起こしつつスマホを手に取った。


「はい、もしもし。渡で……」

『今、家よね?』

「ええ。……なんです?」

『今から送るわ!』

「え? 何を?」


 そこで通話が切れた。

 なんなんだ、一体……。

 送るったって、明日はもう家にいないわけだしな。どうすりゃ良いんだ?

 あ……そういえばさっき『送る』って言ってたな。何か重要なアイテムでも“転移”で送ってくるのかな? でも、どうせなら向こうで……

 いや、それくらいの事は先生も考えてるだろう。多分。

 ま、いいや。考えても仕方がない。ストレッチの続きでもやるか。

 ……って、オイ。

 俺の頭上に金の輝きを放つ光の環が現れた。多重円に幾本もの直線。あれは……


「て、転移門⁉︎」


 本当に送ってきたのかよ⁉︎ でも、一体何を?

 そう思った瞬間、

 俺の頭上に“何か”が現れた。

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