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「!」


 空間の裂け目から飛び出した“何か”。それは……道化を思わせる服を着た仮面の男であった。


「ヤツは……」


 間違いない。俺とヴォルザニエスを同時に相手にしながらも、あっさりと捻り潰した魔物。

 そういえば、俺って昔っからピエロとか苦手なんだよな。某ファーストフード店のアレとか。やっぱり前世の最期がトラウマになってるのかねぇ……。


 それはともかく。


「ケキョキョキョ……」


 ヤツは俺達を見下ろし、不気味な笑い声をあげる。

 セルキア神殿に現れたところからして異界の魔物だとばかり思っていたが、このタイミングで現れたということは……


「ヤツも貴様の差し金だったのか!」

「ち……違う! アレは……」


 うろたえるファルグス。


「ん? じゃぁ、なんだよ。アンタが呼び出したんだろ?」

「召喚の呪文など唱えていない。アレは……」


 ヤツはエルリアの方に顔を向けた。


「キョキョ……ソコニ、イタカ」


 道化服の男がエルリアに顔を向ける。


「!」

「ヨウヤク ミツケタ」


 こいつに恨みがあるのだろうか?


「シヌガイイ」


 そう言い放つと、ヤツは無造作に何かを放った。それは銀の光を放ってエルリアに向かい……


「いかん!」


 ファルグスの反応が遅れた。慌ててエルリアの前に割って入り、ヤツが投げたモノを剣で叩き落とす。

 ……間一髪。あぶなかった。

 20cmほどのねじくれた刃を持つ短剣だ。ゲームの攻略本か何かで見たことがあるな。クリスナイフだっけ? それっぽい形だ。


「ジャマヲスルツモリカ?」

「いや、コイツにゃ全く恩義もクソもねぇが、エルリアは助けなけりゃならないからな。中身に用があるんだろ? なら、エルリアの中から追い出してからでも遅くないんじゃないか?」

「キョキョ……ソヤツハ スグニ ヒトヲダマス。ドレホド クジュウヲ ノマサレタコトカ。イマスグ コノバデ ショウメツサセテクレル」

「ま、その気持ちもわからんでもないな。……で、アンタ。一体何やらかしたんだ? ヤツから感じる怒気はただ事じゃないぜ」


 ファルグスに視線を向ける。


「そ、それは……」

「イクツモノ セカイヲ ツクリ ソシテ ツブシテキタ ヤツダ。ワレガイタ セカイモ スデニ ホロボサレテシマッタ」

「滅ぼされたって……アンタ何者だ?」


 エルリアに憑依しているモノは、ただの使徒ではあるまい。まさか、と思うのだが……


「キョキョ……ソウダ。コヤツガ“造物主(ゾウブツシュ)ヲ ジショウスル ヤカラダ。キョキョキョ……」


 道化服の男が嗤った。

 やっぱりか。


「……アンタが造物主かよ。にしても、ずいぶんセコい手を使うじゃねぇか。俺を殺すんならその“力”でサクっと殺せばいいだろう?」

「キョキョ……モハヤ ソヤツニ “チカラ”ハ ナイ。ソレヲ エル キカイヲ ウシナッテ シマッタカラナ」

「機会を失う……? まさか!?」

「シニユクモノノ クツウ ソシテ ナゲキ。ソレヲ “チカラ”トスルノガ コヤツダ。ソノタメニ カツテ イクツモノ セカイヲ ツクリ ソシテ ホロボシタ。モットモ、ヒトツマエノ セカイデハ シクジッタ ヨウダガナ」

「へぇ……まさか千年ごとの魔王戦役は、そのために仕組まれたモノかい?」

 魔王も勇者も気の毒に……って、前世の俺の息子だったな、ヴァルスは。

「……完全なる世界を創る為の礎だ。堕落したヒトの生命(いのち)を糧に、新たに創造されし“罪なきヒト”の千年王国を創造する為の……」


 このヤロウ、何ほざきやがる。その為に俺の息子達はあんな思いをしなきゃらなかったのか。


「完全なる世界だぁ⁉︎ 寝言は寝て言いやがれ。幾つ世界を創ってもダメだったんだろ? ダメなヤツは何度やってもダメなんだよ!」


 エルリアから引きずり出したら、チェーンソーか何かで真っ二つにしてやろうか。


「貴様……」


 ファルグス、いや自称造物主は俺をにらんだ。が、反論はできないらしい。


「俺をどうこうする前にやるコトあるだろ? アンタ、アイツを放置しとくつもりかよ⁉︎」

「ぐぬぬ……」


 ……そこで歯ぎしりすんなよ。いや、期待なんざしてなかったけどさ。


「チッ……造物主サマといえどお手上げってワケかい」

 一つ踏み出すと、剣を構える。


「やりますか?」


 と、ローベルト。彼の助勢は心強い。


『あきとヨ……。ぞうぶつしゅヲ タタケヌノハ ハラダタシイガ コヤツヲ タオスノハ ワガ ヒガン』

「気があうな。行こうぜ……リベンジだ! おっと、アンタも戦えよ? 逃げるんなら、地の果てまで追いかけるぜ。エルリアの身体置いて行くなら見逃すことも考えてもいいが」

「ぬぅ……」


 エルリア、いや自称造物主も渋々剣を構えた。

 さて、連戦か。どうなるかは分からんが、やるしかない。

 前世で横死した要因の相手である。もしかしたら、俺に絡む運命の糸を解くことが出来るかもしれない。

 意を決し、俺は地を蹴った。

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