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(心の)闇を操る程度の能力

お、俺の小説に興味を持ったか。やったぜぐへへ。

これは東方の二次創作でふ。はい。

それはそれとして、この小説は一日で書き上げた奴であんまり推敲とかやってません。

それとかルーミアが一度もそーなのかーって言わないとか男オリキャラが幻想入りしてるとか色々あるのでご注意を。

では、本編をどうぞ。

 なんか、もう疲れ始めていた。弟を気にもかけてやれなかった兄なんて、いっそのこと死んだほうが良いのだろう。俺はそう思って台所へ行き、包丁を手に持った。そしてそれを自らの首に立てて、目をつぶって息を整えた。

「――っ」

 一気に包丁を、首に突き刺した。


 ……冷たい。足に何か当たっているような感覚がした。水? ゆっくりと目を開けてそれから体を起こす。俺は湖のほとりで足を湖につけて寝ていた。周りは霧がかって見通しが悪いが、目を凝らせば木々に囲まれた湖だと確認できた。

 少しずつ意識がはっきりとしていく。そして同時に先程の行動を思い出す。


 なんで生きてるんだ? さっき包丁を首に刺したはずなのに首には何も刺さってない。もしかしたらもうすでに死んでるのか? なら包丁が刺さってない理由も理解できるような……

 色々な推測が頭を回る。推測で絡まった頭を整理するうちに一番納得がいったのが「ここが死後の世界」という推測だ。今の俺は肉体を持っておらず、魂か何かだとしたら包丁が刺さってない理由が説明できる……気がした。

「あ、気がついた?」

「えっ」

 いきなり他人の声が聞こえた。振り向いた時にピッ、と手に痛みが走った。少し顔を歪める。右手を見ると、手の平が少し切れて血が滲んでいた。

「湖の近くで昼寝なんかしちゃだめだよ」

 その声の主は幼い女の子だった。金髪のショートヘアに赤色のリボンをつけていたのが印象的な女の子。俺は足を水から引き上げた。側には丁寧に草履が置いてあった。それを履いてから女の子の言葉に応える。

「ご、ごめんなさい……」

「まあ私が見つけたから良かったけどチルノとかが見つけたら良いように遊ばれてたかもよ」

 俺は女の子の言葉より先程の推測が成り立たない事に気付いてまた混乱していた。冷たさや痛みを体は感じ取っていた。体を持っている、つまり俺は死んでない。

「おーい、聞いてる?」

「え?」

 女の子の声で我に帰る。いつの間にか女の子は目の前にいた。近い。

「鈍感だよね君。そんなんじゃすぐに妖怪に食べられちゃうよ」

「……妖怪?」

「そう、私みたいなね」

 そう言うと女の子は少し距離を取った。さすがに近いと思ったんだろう。そういえば一番最初に聞くべき事を聞いてなかった。

「ここ、どこですか?」

「湖」

「いやそうじゃなくて」

 じゃあ何を聞きたいの、と女の子は少し怪訝な顔をして俺に問いかけた。

「俺、家で自殺したはずなんですよ。目が覚めたらここにいて」

「かなり凄いことをさらっと言ったわね」

「家で死んだら外で生きてたって本当に何が起こっているのか……」

「そっちじゃない」

 女の子の言葉に重みが感じ取れた。さっきまでとは違う真剣な表情。

「じゃあ何の事ですか」

 少し語気を強めて言った。自分より見た目幼い女の子が見せた表情を、怖いと思ったなんて悟られないように。

「……はぁ。本当に鈍感ね。ちょっと私についてきて」

 ぐいっと腕を掴まれた。反射的に振り払おうとしたが力が強くて振り払えない。

「どこに行くんですか……」

 その女の子は何も言わず森の中にある小道を俺を連れて駆けていった。もう日は沈み始めていた。その暗くなっていく中で赤提灯が付いた屋体がはっきりと見えた。

「はい、着いた。こっちに座って」

「ぐえっ」

 強引に屋体の席に座らされた。

「いてて……」

「みすちー、この子に鰻と水あげて」

「りょうかーい」

 俺が顔をあげると屋体の女の子が何かを焼いていた。何を焼いているのかはわからないが香ばしくて美味しそうな香りが辺りを包んでいた。それはそれで良いのだが、何より気になる事があった。

「何でコスプレなんかしてるんだろ……」

 その屋体の女の子からは羽が生えていた。その子の肩幅の二倍ぐらいだろう。

「コスプレ?」

 さっきの女の子が俺に話しかけてきた。

「何であの子羽なんか生やしてるんですか。色々なところに突っかかりそうなのに」

「生まれつきだから仕方ないよねー」

「え?」

「え?」

「人間じゃない限り生まれつき羽なんて生えてないと思うんですけど」

「そりゃ人間じゃないからね」

「え?」

「妖怪だもん」

「ええ?」

 この会話、俺には理解できない。いきなり妖怪とか言われても信じる訳ない。

「ついでに言っとくけど私も妖怪よ」

「えええ?」

「さっき妖怪だって言ったのに……まあいいわ。私はルーミア。闇を操る妖怪のルーミア」

 そう言うとその女の子、ルーミアさんは手の上に黒い物体を作り出した。これがルーミアさんの言う闇らしい。妖怪ってもっと、なんていうか怪物、みたいなそんな感じだと思っていた。

「で、こっちは友達のミスティア・ローレライ」

「めんどくさいからみすちーでいいよ。はい、鰻」

「は、はあ……」

 ミスティアさんは自分の目の前に鰻を出した。美味しそう。

「あの、俺も自己紹介した方がいいんですか?」

「どっちでもいいわよ。どうせ聞かないし」

「聞かないんですか……」

 自己紹介しても意味が無いことがわかったので、とりあえず鰻を食べ始めた。

「美味しい?」

 ミスティアさんがそう話しかけてきた。無言で頷いておく。

「ルーミア、この子どうしたの? 元気ないけど」

「自殺しようとしたらいつの間にかここに来たんだって。なんで自殺なんかしようと思ったの?」

 俺は食べる手を止めた。今日の出来事を思いだして少し涙をこぼしそうになる。

「言ってみてよー。少しぐらい力になれるかもしれないしー」

 ルーミアさんの言葉に後押しされる形で今日の出来事を話し始めた。


 今日、俺の弟が死んだ。俺より二才下だったから中2。死因は窒息。クラスのいじめっ子集団にやられたらしい。親が留守の時に俺が警察の電話を受けて知った。親にその内容を電話で伝えた後、俺はしばらく泣いていた。思えば最近弟の様子が変だった。ご飯を食べている途中でいきなり泣き出した事もあった。その時、せめてその時に弟の話を聞けていれば弟が死ぬことは無かったのかもしれない。そう思うと自分が生きてる事自体が罪だと思ってきて。それで……


「で、死のうとしたと?」

 俺は大きく頷いた。一度出た涙は簡単には止まらなかった。

「ふーん……なるほどね……」

 そして顔を伏せた。妖怪とはいえ見た目幼い女の子に泣き顔なんて見せられない。

「君さ、もしかしてバカ?」

「えっ?」

 ルーミアさんの言葉は予想だにしなかった。慰めてくれるのかと思ったらいきなりバカって。尚更泣く。

「まず最初ね。誰が弟を殺したの?」

「さっき言ったじゃないですか……弟と同じクラスの奴です」

「君じゃないじゃん」

 まあ、確かにそれはそうだ。でも俺はそれを言っていた訳ではない。反論しようとするとさらにルーミアさんが喋りだした。

「しかも『生きてる事自体が罪』ってそれ君が感じるべき事じゃない。殺した奴らが感じるべき。君に何も所為は無いわけだし」

「で、でも」

「それとあんたが死んでどうする!」

 ルーミアさんがいきなり声を荒らげた。いきなり過ぎて露骨にびっくりした。

「一日で二人も子供を失う親の気持ちは考えないの?」

「……」

 何も言えなかった。親の事なんて考えて無かった。俺が悪いから……俺が死ねば……それだけを考えていた。

「君がやるべき事は弟を殺した奴らを後悔させることなんじゃないの?」

「そう……です。」

 俺は自分の事しか考えて無かった。弟に何も聞けなかったのも自分の事ばかりだったのかもしれない。その後はしばらく沈黙が続いた。

「あ、あのっ……」

 その沈黙は俺が破った。どうしても聞きたい事が出来たからだ。

「どうしたの」

「俺って、まだ生きているんですよね……?」

「そうよ。ここは冥界じゃないし」

「……弟の仇をとりたい。絶対あいつらを後悔させたい」

 それを聞いたルーミアさんは少し微笑んだ気がした。

「じゃあ元の世界に戻る?」

「え?」

 元の世界って……ここは俺がいた世界とは別の世界だったのか?

「今まで敢えて黙ってたけどここは君がいた世界じゃないわよ? 君がいた世界に妖怪なんて存在した?」

 言われてみればそうだ。

「で、でもどうやって俺が元々いた世界にもどるんですか?」

「うーん、神社に行くのが一番かな? あそこなら元の世界に戻せる妖怪もうろついてるだろうし」

「どこら辺にあるんですかその神社って……」

「あそこ」

 ルーミアさんが指した方向にはかなり木

が茂っていた。

「……俺一人で行けますかね?」

「んなわけないじゃん。私が案内するよ。あ、みすちーありがとね。」

 ミスティアさんはにっこり笑った。それをルーミアさんは笑顔で返すとまた俺の腕を掴んだ。

「ちゃんと掴まっててね。さっきとは違って放すと死ぬよ」

「死ぬって大げさな……ってちょっ」

 決して大げさでは無かった。なんとルーミアさんは飛び始めたのだ。

「屋体は飛ぶより道を歩いた方が探しやすいからね。神社は移動しないしそれなりの土地あるから目立つし」

「うわーん! 高いー!」

 自分の物とは思えないぐらい情けない声を出していた。泣きそう。本当に泣きそう。

「わかったからわかったから。ほら、あそこが神社よ」

 どんどん高度が下がっていき、そして無事に着陸した。賽銭箱の前で体育座りして落ち込んでいる女の人がいた。

「霊夢ー、紫いる?」

「……誰かと思えばルーミアね。なんで私に聞くのよ」

「むしろ誰に聞けばわかるの」

「私でも分からないわよ!」

 この人が巫女なのか? なんか巫女に見えない。

「あ、あのー、俺はどうすれば……」

 俺がそう言いかけた時だった。突然目の前の空間が二つに裂けて女の人が出てきた。怖い。普通に怖い。ホラー映画か何かの演出みたいだった。

「噂をすればなんとやら、ね。後はよろしくね紫ー。私は今月どう過ごすか考えてくるわー」

 そう言うと巫女っぽい人は肩を落としながら建物の中に消えてった。

「誰? 私を呼んだの」

「あ、紫。私が呼んだの」

「何の用よ……折角家でゴロゴロしてたのに……」

 生活感丸出しだな。状況から多分この人が妖怪なのだろうけど。

「この子を外の世界に帰してほしいの。もう用すんだし」

「あー、そういうことね。じゃあ家にでも送っときましょうか?」

「お願いー」

 一通りの会話が終わるとその紫と呼ばれている人はこっちによってきた。そして指で空間をなぞるように裂いた。

「はい。これを通ればあなたの家よ」

 裂け目からは自分の部屋が見えた。

「ついでにあなたが自殺しようとする前の時間に繋げておいたわ。まあ、頑張って弟の弔い合戦をすることね。間違えても自殺なんか考えるんじゃないわよ?」

「……なんでさっきの会話を知って――――」

 言い終わる前に押し出された。そして閉じていく裂け目からルーミアさんが小さく手を振っているのが見えた。こちらも振り返す。

「あっ……」

 そして、裂け目は完全に閉じた。




「ありがとうね。紫、霊夢。わざわざこんなのに付き合ってもらって」

 裂け目が閉じた後、ルーミアは神社にいた二人にお礼を言っていた。

「別にいいわよこのくらい。私は何もしてなかったけど」

 あはは……と霊夢の言葉を受け流すルーミア。

「あんまり気にしないでいいわよ。あなたが人間に興味を向けるなんて珍しいし」

 紫がそう言うとルーミアは少しはにかんだ。




 お昼時。ルーミアは再思の道で外の人間が来るのを待ち伏せしていた。その待ち伏せは比較的短く済んだ。ふらふらと外の人間が近付いてきたのだ。ルーミアが早速襲おうとしたらその人間はばたっと倒れた。よく見てみると首に包丁が刺さっていたのだ。今までルーミアが見てきた自殺志望者は大抵死を恐れており、ここまではっきりと自殺しようとした人間はある意味で新鮮だった。そして今まで見向きもしなかった人間の苦しみに少し興味を感じたのだ。ルーミアはその人間を連れて神社に向かい、巫女にこう頼んだのだ。


「――私に、この子を救わせて」



いえあ。

はじめて出した作品なのですが、どうでしたか?何も思わない?そうだよねー(遠い目)

まあ、読んでくれてありがとうございました。

またどこかで会えると良いですね。

では~(,ω,)


2016:05:22追記

学校の文芸同好会にて試験的にガイドラインなら二次創作を許可することになりました。そのテストとして冊子に記載いたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話の筋が通っており、かなり読みやすかった。ルーミアの「闇」能力から発展させて心の「病み」を描くと言う発想は意外性があって面白い。 [一言] 東方の二次創作ということもあってか物語の厚みが、…
2015/02/17 15:40 退会済み
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