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あたしはなろうが大好きだおっ

レビュー怖い

作者: ぐらん亭 こやん

 とある小説投稿サイトの作者たちが会合をしていた。


 そこで話が、自分の苦手なもの、怖いものに及ぶ。


「やっぱり、アクセスが少ないのが怖いなあ」


「いや、話別アクセスで、1話と2話のギャップがでかいのが嫌だわ。

 がくんと落ち込んでるの。

 1話目の冒頭だけみて即バックみたいなの」


「俺なんて日別ユニーク一桁だぜ! 毎日更新してるのに」


「それは、ジャンルが悪い。マイナージャンルは不遇だ」


「いや、ファンタジーのテンプレなんだ」


「ファンタジーでユニアク一桁とかワロスw」


「タイトルとあらすじ見せてみろ、おそらく壊滅的だろう」


「晒すには勇気が……」


「俺は、毒者からの感想だね。展開とかに文句付けてくる奴なんなの」


「そうはいっても、やっぱりお気に入りと評価が増えないのは辛いわ~」


「感想貰えるだけありがたいと思え。

 感想ゼロの俺に謝れ!」




 そんな話で盛り上がる。




 そのような和気藹々とした雰囲気の中一人黙り込んでいる作者が居た。

 少し皆から嫌われているのだ。


 だが、放って置くのもアレなので、一人がその作者に声を掛けた。


「お前は何か怖いものはないのか?」


「いや……特に……書かせて貰って投稿させて貰っているだけで満足なんで……」


「マジで?」


「えっ、はい、そうです」


「いや、あるだろう? アクセス少ない悩みとか、お気に入りが入らない悲しみとか……」


「無いですね~」


 その毅然とした作者の態度に他の作者たちはこいつはひょっとして累計作者じゃないのか? といぶかしんだ。

 だが、そういった雰囲気とも少し違う。


 皆は気になって作者を問い詰めた。

 するとその作者は重い口を開いた。


「しいて言えばお気に入りが増えることが辛いですかね」


「はあ? 何言ってんの?」


 と口々に突っ込むが、


「いえ、プレッシャーになるじゃないですか。アクセスだけならいいんです。

 読み飛ばしているかも知れないですから。

 でもお気に入りとなると……。

 今後の展開とか期待されているってわけじゃないですか。

 そういうのがちょっと……」


 そういう奴もいるのか、と作者たちは一計を案じた。

 ならば、この作者のお気に入りを増やしてどう反応するのか確かめてみようと。


 それぞれがスマートフォンなどでその作者の作品をお気に入りに入れ出した。


 するとその作者がわめきだした。ぶるぶると震えながら、


「ああ、何だか知らないうちにお気に入りが増えてしまっている。

 嫌だ、こんなのは嫌だ。

 でも、まだ大丈夫。所詮一人2ポイントだ。

 これぐらいならランキングには乗らない。


 ならまだ耐えられる。

 これで評価ポイントとかも入ってランキングに載った時には、

 恐ろしすぎて卒倒してしまうだろう」


 それを聞き、お気に入りが増えて怖がる作者を面白がった面々が今度は評価ポイントを入れ始めた。


 するとまた作者は、ぶるぶると震えながら、


「ああ、こんなに評価ポイントが増えてしまったらランキングに載ってしまう。

 そしたら、アクセスも増えて注目度も上がるだろう。

 まずい。このままでは感想がついてしまう」


 それを聞いたうちの一人が、


「ほらみろ。お前はやっぱり毒者が怖いんじゃねーか。

 嫌なんだろう。作品の悪い点を指摘されたり、文句を付けられるのが」


 と言うと。


「いえ、そうではありません。皆が口々にわたしの作品をほめたたえるのが耐えられないのです。

 良い意見に対して返信するのが大変なプレッシャーになるのです」


 とその作者は答えた。


 それならば確かめてみようと、皆で感想を書き始めた。

 元々それほど酷い作品ではなかったのだ。

 特筆すべき特徴も無いが、無難に仕上がっている。

 

 良い点を探して感想を書き始めた。


 すると感想を書かれた作者が、


「ああ、ついに感想が書かれてしまった。

 返信しないと、ものぐさな作者だと思われてしまう。

 コミュニケーション能力が疑われてしまう。


 だけど、辛い、こんな良い感想に返信するなんて辛すぎる」


 と頭を抱えだした。


 その頃にはその作者の作品はお気に入りも増え、高い評価ポイントを獲得し、ランキングの上位で、さらには良い意見の感想が多くついており、様々なところで話題に上るようになっていた。


 その時になって、皆はやっと一杯喰わされたことに気が付いた。


 腹を立てた者がその作者に向って言う。


「やい! よくもだましてくれたな!

 お前の本当に怖いものを言いやがれ!」


 そこでその作者が一言。


「このへんでレビューが付くのが一番怖い」


 おあとがよろしいようで。































???「お前か? からかいがいのある作者と言うのは」


さっきの作者「あなたはどなたです?」


???「わたしは編集者だ。出版業務に携わっている」


さっきの作者「そうですか」


編集者「お前を怖がらせて楽しむのが非常に愉快だと、ある人間から聞いた。


 どうだ、お前の怖いものを教えてはくれぬか?」


さっきの作者「そんな、わざわざからかわれるために、わたしの怖いものなどをお教えするわけには」


編集者「そこをなんとか頼む。


 ろくな作品が見つからずに暇を持て余しておるのだ。


 さあ言え、でないと小説投稿サイトに圧力をかけて、

 お前が二度と投稿できないようにしてやるぞ、垢BANさせるぞ!」


さっきの作者「そんなご無体な。では本当に怖いものを言います」


編集者「ああ、聞こう」


さっきの作者「わたしが一番怖いのは書籍化されることです」




























漫画雑誌編集者「お前の怖いものはなんだ」

さっきの作者「コミカライズです」


アニメ監督「お前の~以下略」

さっきの作者「アニメ化です」


映画監督(次世代の宮○駿と呼び声の高い)「おま(ry

さっきの作者「あ~映画化(ry


ハリウッドの偉い人「(ry

後半蛇足かな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは良い落語ですね。最後までとても面白く読ませていただきました。 語り口が上手い。丁寧で段階を踏んでいて、ツボを押さえている感じが安定して楽しめました。 執筆おつかれさまでした。
[一言] はじめまして。 「饅頭こわい」は唯一CD持ってる落語なのでニヤリとしてしまいました。完成度がとても高いですね。面白かったです。 後半の部分はあってもいいんじゃないかと思いました。間をとっ…
[良い点] 朝からくすくす笑いが止まりませんでした。 [気になる点] 誤字報告ですが 側頭→卒倒 だと思います。全体がよくできてるのでこういうのがとても惜しく感じますね。 [一言] 後半が蛇足という…
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