新システム発動?
フォルテ達は無事に師匠から祝福を授けてもらえた。
ビルクーロは足の筋肉をつってピクピクしてるけど。
「功善君、パーティー結成を記念して私からプレゼントがあります。これです!!」
そう言って師匠が指を鳴らすと四角い箱が現れた。
車輪が四つ着いた大きな箱で、爺ちゃんの故郷にある自動車に似ている。
「これはなんすか?馬車みたいっすけど」
爺ちゃんも自動車を再現しようとしたらしいが、エンジンが作れなかったそうだ。
「良くぞ聞いてくれました。この馬車は馬がいなくても動くんですよ。名付けてTHE グッ-馬イです」
「自動車じゃないんすか?」
師匠が素直に自動車なんて言う訳ないと思っていたけど。
「ええ、このTHE グッ-馬イにはエンジンがありませんから」
「馬も使わないエンジンも着いてないんならどうやって動くんすか?」
牛人に引っ張らせるんじゃないよな。
「それはですね。このZKシステムを使うんですよ」
そう言うと、師匠はグッ馬イの後ろに着いている扉を開けた。
そこにあったのは巨大な歯車。
大きさは俺がすっぽり収まる位。
ZKシステム…ザイツ・コウゼンシステム?
「まさか俺が歯車の中に入るんじゃないっすよね?」
俺はハムスターか?
「正解です。流石は功善君。私が思い付きと嫌がらせで作ったZKシステムを理解してくれたんですね」
思い付きと嫌がらって…
「マジっすか…」
「このZKシステムは君しか動かせないんですよ。功善君、君こそエルフのスター。選ばれしエルフハムスターです」
「ハムを間に入れちゃったすよね?スターからペットに格下げされてるじゃないっすか」
伯爵家の後継ぎって、告白した直後にこの扱いが来るとは…。
「喜んでくれて師匠冥利に着きます。何しろ、このZKシステムは、エコな上に功善君の魔力と体力も鍛える事が出来る優れものなんですから」
何でも、足に魔力を込めて歯車を動かす仕組みになっているらしい。
目的地に着く頃には俺はヘトヘトになってそう…確かに、鍛える事は出来ると思うけどさ。
「これは他のハーフエルフでも動かせるんじゃないっすか?」
「普通のハーフエルフはエルフ同様細い体つきをしてるから無理なんですよ。その点、功善君の体つきは猿人と代わりません。エルフの魔力と猿人の体力、そして財津家のブサメン遺伝子を兼ね備えた功善君にしか動かせないんですよ」
最後の要素は必要ないよね…。
「分かったっすよ。今回は、寄り道をする必要があるから乗り合い馬車は使えないっすしね」
「運転手はトロイ君にお願いしますね。そしてフォルテ君にはこれを預けておきます。そして功善君はZKシステムに入って下さい」
師匠がフォルテに渡したのは手のひらサイズの箱、真ん中に怪しいボタンが着いている。
「分かったっすよ…」
もう、嫌な予感しかしないけど。
「もし、功善君がサボったりしたら躊躇わずボタンを押して下さいね。マジックケツバットシステムが発動しますから」
マジックケツバットシステム、何もない空間から魔力で創られたバットが出現し、俺のケツを叩くらしい。
帰ったらマラソンでもして体力を着けておこう。
――――――――――――
グッ馬イはエルフィンの大使館で預かってくれる事になった…なったけど。
「マジックケツバットシステムですか…何とか解析して改良出来ませんかね?」
ミッシェル先生が興味を持ちまくっている。
「さ、さあロキ神様に聞かないと何とも…」
師匠に話したらノリノリで教えそうだけど。
「そうですよね。今日、パトス公爵家から依頼が出されました。準備が整い次第出発して下さい」
何でもミッシェル先生が召喚したメデューサはパトス城で被害を拡大させているらしい。
「分かったっす。財津家の名にかけて情報を集めるっす」
何より早く逃げないとケツバットシステムが解析されてしまう。
「それと君達のパーティーの護衛をエリーゼ様にお願いしました」
何ですと!?
「冒険者に護衛なんていたらおかしいっすよ!!それにエリーゼおば…お姉様は忙しい人っす」
エリーゼ叔母様はマジックアイテムのプロだ。
絶対にケツバットシステムに食い付くに決まっている。
「おいおい、可愛い親戚の子供が敵地に行くのに知らん振り出来ねえだろ?」
タイミング良く現れたのはエリーゼ叔母様。
…忘れてた、エリーゼ叔母様はエルフィンの食客。
隣の部屋に潜んでいてもおかしくない。
そしてもう一つ忘れていた…エリーゼ叔母様が武術の達人だって事を。
「コウゼン、スピードを上げろっ。今日中にグッ馬イのデータ取りを済ませちまうぞ。足が止まってる」
「痛いっ!!エリーゼおば…お姉様、向こう脛は反則っす!!」
エリーゼ叔母様は歯車の隙から棒で叩いてくると言う荒業を見せてくれた。
「また叔母様って言ったな…コウゼン、最高速度を出せっ。今日は徹夜でデータ取りだっ!!」
そして忘れていた…エリーゼ叔母様はマジックアイテムの解析が大好きだって事を。




