ミッシェル先生の悪巧み?
ちらっと懐かしい名前が出てきます
俺は今フォルテとトロイ君を連れてオーディヌスの大使館街に来ている。
大荷物になると困るから時空リュックを背負ってきた。
「噂のオーディヌス製の装備がもらえるなんてまだ信じられねえな」
「うん、オーディヌスの技術はロッキバルハより進んでいるみたいだからね…コウゼン君、さっきからキョロキョロしてどうしたの?」
言えないけど答えは簡単、知り合いに会わない様にしているんだ。
まだ二人に俺が伯爵家の長男だと言う事は知られたくない。
「先ずはエルフィンの大使館に顔を出すんだよな…すげー、あれがエルフか俺初めて見た」
エルフを見て呆けているフォルテ…毎日ハーフエルフを間近で見ていると言うのに。
「本当だ…金髪のエルフが窓から手を振っている。綺麗な顔をしているけど女の人かな?」
違います、トロイ君あれは悪魔です。
(ミ、ミッシェル先生!!なに手を振っているんすか?俺の正体がバレたら不味いんですって)
二人共知らないんだ…あの笑顔の下にはどす黒い性格が隠れているんだぞ。
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胃が痛い、もうお家に帰りたい。
大使館に入り、案内された先に居たのはミッシェル先生。
「お話は聞いています。フォルテ・コルノ君にトロイ・アーストン君、それにコウゼン・ザ…モノリス君のお三方ですね。私はエルフィン聖皇国大使のミッシェル・スターローズです。よろしくお願いします」
わざとだ、先生は絶対にわざとザイツと言い掛けた。
その証拠にフォルテとトロイ君の二人には優しく微笑んでいたが、俺と目が合った途端、邪悪な笑顔になった。
(うわー、焦る俺を見て楽しんでいやがる…後から文句を言っても教育の一環とか言うんだろうな)
「この度は装備品の提供誠にありがとうございます。頂いた装備を活用して大活躍する事を誓います」
うん、この返しは充分に及第点をもらえると思う。
「そんなに硬くならないで下さい。さぁ、こちらがお約束の品ですよ」
そこに置かれていたのは装備一式にキャンプ用品、そしてコウゼンへと書かれた小包!?
あれはどっからどう見ても母さんの字。
背中を嫌な汗が伝う。
「ま、ま、ま、誠にありがとうございます」
真っ白になりかける頭をフル回転させて言葉を絞り出す。
「いえいえ、武具の説明がありますのでフォルテ君とトロイ君は係の者から話を聞いて下さい。ザ…モノリス君には私が説明をしますね」
出来たら俺も普通のエルフから説明を受けたいんですけど。
フォルテとトロイ君が部屋から出たのを見計らって先生は顔から微笑みを消した。
「先生、色々言いたい事があるんすけど…師匠からサーベルレオを倒す様に命じられたっすから…と…の手配をお願いするっす。出来たら強力なマジックアイテムを貰えたら嬉しいんすけど」
「創地神様からの依頼ですか…ええ良いですよ。ちょうどピッタリのマジックアイテムがエルフィンから着きましたし」
先生はそう言うと荷物の中から一枚の黒い袋を取り出す。
危険な香りがプンプンしている。
「それはなんすか?なんか嫌な予感しかしないんすけど」
「大丈夫ですよ…パラライズ!!さっ、この首輪を着けますね」
ミッシェル先生は麻痺の魔法を掛けてきたかと思うと、真っ黒な首輪を俺にはめた。
「…な…にす…す…か」
麻痺の所為でうまく喋れない俺、それを見てほくそ笑みミッシェル先生。
「さっ、麻痺を治しますね…あっ、その首輪は無理矢理取ったり約束を破ると爆発しますから。きちんと創地神様の依頼をこなして下さいね」
…へっ?爆発?
「あのミッシェル先生冗談ですよね?何でこれが強力なマジックアイテムなんすか?」
「文字通り死ぬ気で頑張れるマジックアイテムですよ。さっ、必要な物を持ってヘイムランドの大使館に行って下さい。心配しなくてもサーベルレオを倒したら外してあげますから」
…師匠、創地神はエルフィンにとっていや、この世界に対して絶対的な存在。
伯爵家の跡継ぎなんて比べ物にならない存在だ。
「倒せば良いんすね?ってか倒すしかないっすよね?」
「ええ、ザイツの男子は追い込まれた方が実力を発揮しますから。期待してますよ、コウゼン君」
そう、手段はともかくサーベルレオを倒せば良いんだ。
フォルテとトロイ君は随分と良い装備をもらったらしく無邪気に喜んでいた。
「すげーぞ、ミスリルアーマーにミスリルグレイブだぜ。しかも動きやすさが半端じゃねえ」
フォルテがもらったミスリルアーマーはバックルを使う事で動きやすくしている。
「僕もミスリルローブとエルフの王子様が祝福した杖だって。こんな凄い物を貰って良いのかな?」
トロイ君、ガーグ王子が祝福したんなら殴った方が効果を発揮するかもしれないよ。
ちなみに俺は古代竜ビルクーロが命懸けで祝福した杖に異界の悪魔ガゼル・サーターンの爪を穂先にした仕込み槍…呪われそうで怖いんだけど。
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