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二人目の美少年?

 冒険者学院の授業は午前中が一般課目で、午後からは専門課目。

 ちなみに一般課目は成績でAからFまでにクラス分けされている。

 

(こりゃ、試験を頑張ったのは正解だったかもな)

 俺のクラスはA、当然貴族や騎士の子供が多い。

 つまり自然な形でメントの貴族や騎士を観察する事が出来る。

 メントには俺の他にも留学生が来てるらしいんだけども、そいつ等には余所行きの顔しか見せないと思う。

 シャルレーゼ様からの命令はロキバルバの調査だから、正に渡りに船である。


(しっかし、クラスにまでお世話係を連れて来るとはね)

 中には世話係にノートを取らせて夢の世界に旅立っている貴族もいた。

 顔見知りはクラフト君のみ。

 そのクラフト君も休み時間ともなると、女子に囲まれている。

 ちなみに俺は机に突っ伏しながらクラスを観察中…決してボッチな訳じゃない、多分きっと。


「何か臭いと思ったらドワーフがいるじゃないですか…ドワーフの癖に猿人のレディと仲良くするなんて生意気ですね」


「そうですよねー、生意気ですねー。流石はゲニー様」

 クラフト君に絡んで来たのは、青い髪を肩まで伸ばした太目の男と、痩せ過ぎてネズミみたく見えてしまう灰色の髪の小男。


(ゲニーって天才って意味だろ?俺だと天才・ザイツになるんだよな…絶対に親を恨むぞ)


「おい、ドワーフ。イエラー子爵に代々仕えている騎士イスーゴ家の次男が話し掛けているんだぞ。無視をするな」

 クラフト君は呆気に取られているんだと思うが…それと天才君、友達の先輩に幽霊を見た人がいるってのと変わらないぞ。


「やだー、きもーい」「クラフト君に嫉妬してるんじゃない?」「自分は汗臭い癖にねー」

 間髪入れずにクラフト君ファンクラブからの口撃もとい攻撃が開始される。


「く、くそー!!お前なんかこうしてやる」

 ゲニーは体を捻ってクラフト君を殴ろうとしている。

 下手に動けば周りの女子に被害がでるから、クラフト君は椅子から動けない。


(ヤバイな、後ろ楯のないクラフト君が騎士の息子と敵対するのは得策じゃない…クラフト君の体ギリギリにシールドボール)

 そしてクラスにガンッと鈍い音が響き渡った。

 ゲニーの手と顔は見事なまでに真っ赤になっている。

 ちなみに俺はまだ自分の机から動いていない、何しろクラスの貴族や騎士の連中がゲニーの醜態をニヤニヤしながら観察しているんだもん。


(あーあ、こりゃゲニーの醜態が政争の道具に使われるな)


「うわっ、自滅。ださっ」「キモメンがイケメンに逆らうからだよ」「汗臭さ倍増なんですけどー」

 何でだろう、ゲニーが攻撃されているのに、俺の心も傷ついていくのは。


「変な魔法を使いやがって、許さないぞ!!パパに言いつけてやる」


「いや、僕は近接課だから魔法は使えないんだけど。それより早く手を冷やした方が良いよ」

 クラフト君の人気がさらに急上昇。 


「庶民の情けなんていらないんだよ!!近接課なら騎士が夢だよな、その夢を潰してやるからなっ」

 流石にクラフト君の夢が潰されるのを黙って見逃す訳にいかない。


「はーい、そこで止めるっす。あんまりワガママしちゃうとイスーゴ家の名声が下がって、誰もパーティを組んでくれなくなるっすよ。それに良いんすか?騎士が椅子に座ったままの相手を攻撃したなんてバレたら継承権剥奪もんすよ」


「う、うるさい。元はと言えば騎士の僕を無視したのが悪いんだぞ」


「元はそれじゃなく、自分も女の子と話したかったら嫉妬しちゃったんすよね。でも王家の覚えも高いイスーゴ家の次男なんすから、どっしりと構えてた方が得だと思うっすよ。それとお付きの方、早くご主人様の手と頭を冷やしに水汲み場にお連れした方が良いんじゃないっすか?未来の王家の忠臣に何かあったら大変すよ」

 ちなみにイスーゴ家が王家の覚えが高いか低いかなんて俺は知らないけど。

 

「そうだな、王家にご迷惑を掛ける訳にはいかない。モッキー、行くぞ」

 ネズミみたいな小男の名前はモッキーか…危険だ、かなり危険だ。

 ゲニーが外に向かおうとしたその時、ゲニーの前に立ちはだかった奴等がいた。


「待ち給え、ゲニー君。クラフト君に謝るのが先じゃないか?」

 立ちはだかったのは銀色の髪をショートカットにしている美少年と緑色の髪のメイド。


「誰だ?お前は?」


「僕は王宮騎士のカクチェスの息子ゼーロさ」

 ゼーロが右手を大きく掲げて自己紹介をする…ここは歌劇団でしょうか、いいえ教室の筈です。


「くっ、ドワーフ悪かったな。モッキー、行くぞ」

 スタコラサッサッと教室を出て行くゲニー主従。


「謝り方も知らないんて騎士の風上にも置けない。クラフト君大丈夫かい?」


「大丈夫です、ありがとうございました」

 可愛い系美少年クラフト君と凛とした美少年ゼーロの会話を女子は危ない目で見ている。


「気にする事はないよ。これも騎士の努めさ」

 ゼーロに聞きたい、額に手を当てて喋る必要があるのかって。

 ゼーロが十分に離れたのを確認してから、クラフト君に近づく。

 俺には美少年二人の間に割って入る勇気なんてない。


「ゼーロ君ってカクチェス様のお子さんだったんだ」

 クラフト君はゼーロを憧れの眼差しで見ていた。


「カクチェス様って有名なんすか?」


「カクチェス様は王家主催の武闘会を五連覇した僕の憧れの騎士なんだ」

 とりあえず武闘会がメント一武闘会なんて名前じゃない事を祈ろう。


「息子さんがいるのを知らなかったんすか?」

 それだと、自称かも知れないんだし。


「いるのは聞いていたけど、まさか冒険者高校にいるなんて思わないよ」

 王宮騎士と聞いて騒ぐ女子に言いたい。

 ここに王家に本気で覚えが高い伯爵家の長男がいるって。

 めっちゃ、長生きする姑と小姑が着いてくるけど。


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