-22- 敏感
最近の世相は、すべてにおいて敏感に反応しやすいようだ。要するに、物事に対する過剰反応である。それで結構なことなのかも知れないが、私の思うところを述べれば、昭和三十、四十年代の頃に比べ敏感過ぎるように思えてならない。お正月も楽しみにしていた番組が地震により全部、観られなくなってしまった。被災された方々にはお見舞いやお悔やみの言葉を申し上げる他はないが、それにしても、である。何か他に報道の方法を考えてもらいたいものだ。被災現場から中継を何時間もされるが、それを観させて気が滅入る私達にどうしろと言うのか? が分からない。正月早々、テンションが下がるばかりである。
とある街の繁華街で仲のいいご近所の奥さん二人が話をしている。
「お隣の深山さんの奥さんから聞いたんだけど、三軒隣の三崎さんの奥さん、宝くじが大当たりしたそうよっ!」
「あら、そうなのっ いいわねぇ~。そういや、私も二軒隣の平林さんの奥さんにその話、聞いたわよっ! いいわねぇ~」
「私も二、三枚、買おうかしら…」
「よねぇ~!」
二人の奥さんは噂話に敏感に反応し、宝くじを買うことにした。だが、その噂話には後日談があったことを二人は聞かされていなかったのである。三崎さんの奥さんが買った宝くじは奥さんが当たったと勘違いしていたというだけの間違い話だったのである。三崎さんの奥さんは早とちりし、その当たり話を深山さんの奥さんに話してしまったのだが、間違いと分かった後、バツが悪いから黙っていたのだ。ご近所の奥さん達が敏感に反応し過ぎたため、連鎖反応のように町中に広がったことで、三崎さんの御一家は、この町に住みづらくなり、ついに遠隔地へ引っ越す破目になったということである。敏感に反応するのも考えものだ、という最近の世相への警鐘のお話でした。^^
※ 今回の地震で被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々には心よりお悔やみとご冥福をお祈り申し上げます。m(_ _)m
完