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-2- 歳末

 とある歳末のスーパーである。餅川はモチモチしたふっくら顔で正月の買い物をしていた。顔とは正反対に内心は値段を気にしての買い物だったから()せ細ったようにガリガリだったのだが、それを億尾にも出さないのは流石(さすが)だった。

『こんなに…』

 目についた正月商品の余りの高値に餅川は思わず声を出しそうになった。それをスルーし、餅川は他の売り場へ歩を進めた。そのときである。餅川の脳裏にふと、妙な発想が浮かんだ。

『どうして歳末になると、正月用の買い物をするんだろ?』

 正月料理は、年がら年中、作ろうと思えば作れることに疑問が湧いたのである。お(せち)料理を作るなら、一年を無事暮らせた感謝として晦日(みそか)料理があってもいいくらいのものである。それなのに年の終わりは年越し蕎麦くらいなのである。

『歳末が可哀そうじゃないか…』

 餅川は思わず腹が立って来た。そこへタコ焼きのいい匂いが餅川の鼻に漂い始めた。餅川は、やっぱりコレだな…と世相の変化にビクともしないタコ焼きが頼もしく思えた。

(ひと)舟、下さい…」

 知らず知らず、餅川はタコ焼きを買っていた。餅川にとって、タコ焼きは世相変化とは無縁の怪物のように強い存在のように思えた。

 餅川さん、歳末の正月食品の値段など、健康と比較出来ないほどの安さですよ。富も名誉も地位も…健康に(まさ)るものなし! モチモチしたふっくら顔をお続けになられるようお祈り致します。^^


                  完

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