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第四話 腹黒令嬢は人形剣士の食事に絶句する

身嗜みに無頓着なシュヴェアートの髪を整えたシャイデ。

今度は食事を足がかりに国王シルトに近付こうとしますが……?


どうぞお楽しみください。

 今日はお昼時を狙って王宮にやって来た。

 お昼、護衛、となれば同席が基本!

 そこにやって来た婚約者に、まさか帰れとは言わないでしょう。

 陛下の都合で断られる事はあるだろうけど、それならそれで陛下に小さな貸しが作れる。

 いよいよ陛下に接近の時!


「あ、レーレ卿。ご機嫌麗しゅう」

「こんにちは」


 うんうん。

 寝癖はちゃんと整えるようになったわね。

 あんなのを他の令嬢が見たら、シュヴェアートの価値が下がってしまうもの。

 引き取り手がいなくなる事はないでしょうけど、やはり無駄な損失は避けたいものね。


「間も無くお昼の時間ですが、ご一緒しても宜しいでしょうか?」

「私はもう済ませました」

「え?」


 ど、どういう事……?

 お腹空いて、早めの昼食を取ったの……?

 それとも同じ卓で食事を取る事も許されない程、陛下とシュヴェアートとの隔たりは大きいの……?


「な、何故お昼より前に……?」

「私はシルト陛下の毒見役も務めております。故にシルト陛下が口にする前に私が食べるのです」

「そ、そうでしたか……」


 あ、そういう事……。

 毒見役だとしたら、同時に食べたら意味がないものね。

 でもこれじゃ、シュヴェアートをだしにして陛下に近付くのは無理そう……。

 ならば今日の昼食の内容を聞いて、陛下の好みを割り出そう!


「ちなみに本日は何を召し上がられましたの?」

「生野菜とスープを一皿、パンを半分、鶏肉を二切れと茹で卵を半分です」

「!?」


 な、何その質素な料理!

 しかも量が少なくないかしら!?

 まるで子どもか少食の令嬢みたい!

 私だって、それじゃあ物足りないわ!


「い、いつもそのくらいの食事を……?」

「はい」

「……お腹が空いたりは……?」

「いえ、特段感じた事はありません」


 お腹が減りにくい体質なのかしら……?

 それとも少食が美容の秘訣なのかしら……?

 だとしても、何だか……。


「……あの、これ一ついかがですか?」


 断られた時用に用意しておいたパンを一つ、シュヴェアートに差し出す。

 燻製肉に茹で卵を崩したものを挟んで、更にパンで挟んだ軽食。

 大したものでは無いけれど、お腹の足しにはなるかな……。


「……」


 何で黙っているのよ!

 まぁ少ないとはいえ陛下の食事に比べたら見劣りするでしょうけど、要らないなら要らないと言ってくれたら……!


「……いただきます」

「え、あ、どうぞ……」


 私の手からパンを取り、口元に運ぶシュヴェアート。

 匂いを嗅ぎ、口に入れてゆっくりと噛む。

 ……そこまで味わって食べられると、何か恥ずかしいんですけど……。


「……これが、そうなのか……」


 え、何?

 何に納得してるの?


「これをまた持って来てもらえますか」

「え、あ、はい、構いませんけど……」


 そんなに気に入ったのかしら?

 ……それにしては無表情だけど……。

 まぁ良いわ。

 陛下に近付く口実は、多いに越した事ないし。

 もしかしたらその内陛下が、


『ほう、美味しそうだね。私にも分けてくれないか?』


 なーんて事にも!?

 そうと決まれば毎日でも持って来てあげるわ!

読了ありがとうございます。


お腹が空いていそうな子を放っておけない……。

シャイデにはオカン気質があるようで……。


次回もよろしくお願いいたします。

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