気になるあの子は女の子?男の子?中性的ヒロインと送る新感覚ラブコメ!
俺の名前は青島佑人、16歳。
どこにでもいる一般的男子高校生だ。
この春から俺は、格読学園という高校に通うことになっている。
新しい高校生活に胸を高鳴らせながら、校内へ入り上靴を履き替えていると隣から明るい声が聴こえてきた。
「おはよう、キミも1年A組?ボクもそうなんだ。これからよろしくね」
そう言って、目の前の少女……いや、思春期前の男の子にすら見えるほど中性的なその子は朗らかな笑みを浮かべた。
肩より少し上くらいで切り揃えられた綺麗なシルバーの髪に、整った目鼻立ち。
此方を覗き込んでくる大きめの瞳は、カラーコンタクトを入れているのだろうか。
まるでサファイアのように美しい碧色をしていた。
身長はおおよそ160cmくらいで、声は女子にしては少し低めだろうか。
「あ、ああ……こっちこそよろしくな」
あまりにも綺麗で、そして中性的なその姿に見惚れていた俺は軽く頭を振って余計な考えを捨ててから挨拶を返した。
すると目の前の少女……いや、少年か?性別すらわからないその子は笑顔を深くして口を開いた。
「ボクの名前は仁科和希、キミの名前は?」
少し低めの心地よい声で尋ねられ、俺はやや緊張気味に答える。
「俺の名前は………青島佑人だ」
こうして俺と中性的な仁科和希という生徒の学園生活が始まった。
入学式から一週間が過ぎようとした頃、その時になっても未だに仁科和希の性別は分からなかった。
理由としてはまず、うちの学園では男女共に制服はブレザーで男女の制服の違いはスラックスとスカートしかないのだが、女子もスラックスを選択することが出来るのだ。
実際にスラックスを履いている女子も何人か見かけたことがある。
つまり、仁科和希がスラックスを履いているからといって安易に男子だと決めつけることは出来ないのだ。
それから教師の生徒の呼び方なのだが、うちの学園では男女の差別に繋がらないようにと男女共に「さん」付けで呼ばれている。
そして出席番号なども男女混合で分けられずに決められている。
この事から、中性的な仁科和希の性別はより判別が付かなくなっているのだ。
身長も165cmと男子にしては小柄だが、女子としてはやや高くどちらでも通用しそうな体格である。
そして極め付きに、彼…いや彼女?はその中性的で整ったルックスから女子からの人気が非常に高い。
今や廊下を歩くだけで「和希様」なんて呼ばれて黄色い声を上げられるくらいだ。
俺は隣の席のそんな不思議な生徒について想いを馳せながら、今日も一日を終えた。