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24 【台本】婚約破棄から始まる恋模様

王太子夫妻の第3子で中等部3年のピーター王子が、学芸会用に作ったという設定の台本です。この作中劇に込められた想いを中心にストーリーを展開していたのですが、破綻をきたして削除しました。勿体ないのでこれだけ、お目にかけます。(初出2022-05-10)

題名「婚約破棄から始まる恋模様」


配役

フランク王子:フランク・スペランドウ(子爵三男)

セリーナ侯爵令嬢:セリーナ・アメリゴ(伯爵次女)

エミリー男爵令嬢:エミリー・クランドル(男爵長女)

令嬢A:ロジーナ・リエンター(男爵長女)

令嬢B:ブリジット・ポワンカレ(子爵次女)

令嬢C:クラウディア・カルディ(侯爵次女)

令息A:クロード・ラッセル(男爵四男)

令息B:シェルター・ワーナー(子爵次男)

令息C:ソフィア・ブライト(伯爵長女)

国王:アンソニー・モーガン(子爵次男)

王后:クレメンタイン・オシュロ(伯爵長女)

宰相:ハイス・ワインバッハ(商会会頭長男)

将軍:クリストファー・ハコック(子爵次男)

衛兵A:リカルド・スタンレー(工場社長長男)

衛兵B:ダスティン・プラド(男爵三男)


スタッフ

企画:ピーター・ロドリゲス(王太子次男)

装置・小道具:サミュエル・ロッチ(公爵長男)

照明・衣装:ミラベル・スコーキー(侯爵次女)

ピアノ:テレサ・アスラット(侯爵長女)

バイオリン:パトリシア・デダロス(子爵五女)


担任教師:サーシャ・ミリモル(3-A)


題名「婚約破棄から始まる恋模様」

一幕一場(30分)


(緞帳を上げる:照明は全部点灯。下手奥にピアノ)

※下手は、客席から舞台を見て左。上手は、同じく右。


(場所は王宮の大広間、夕刻にフランク王子の誕生日パーティーが開かれようとしている。

舞台中央奥に一段の壇。その上に椅子が2脚。下手に国王、上手に王后が座る。壇下の上手に将軍、下手に宰相が立つ。

壇の両側に令嬢群と令息群が「八」の字形に並び立つ。

将軍の下手寄の令嬢群の順番は中央寄から、セリーナ、令嬢A、B、C、エミリー

宰相の上手寄の令息群の順番は中央寄から、王子、令息A、B、C

令嬢群の下手寄に衛兵B、令息群の上手寄に衛兵Aがひざまずいて控える)


【衛兵A】【衛兵B】(同時に立ち上がり、トランペットでファンファーレを奏でる)

【衛兵A】国王陛下よりお言葉を賜ります。

【衛兵A】【衛兵B】(その場に再び、ひざまずく)


【国王】【王后】(3秒後、同時に立ち上がる)

【国王】今宵は余の王子、フランクの誕生パーティーである。皆に祝ってもらい、うれしく思う。存分に楽しんでくれ。

【国王】【王后】(同時に座る)


【フランク】(二歩、前へ出る)私のために集まってくれたことに感謝する。(あたりを見回す)ここで、重大な発表を行うワガママを許してほしい。セリーナ侯爵令嬢、前へ()でよ。

【セリーナ】(二歩前へ出る。怪訝な仕草をする)

【フランク】エミリー男爵令嬢、こちらへ。

【エミリー】(ススーと足早にフランクの下へ駆けつけ、フランクの上手奥に立つ)

【フランク】私、王子フランクは、ここにセリーナ嬢との婚約の破棄を宣言する。そして近日中にエミリー嬢と婚約しようと考えている。


【国王】(ビックリして立ち上がろうとする)

【王后】(国王を右手で押しとどめる。内緒話のフリで) 陛下、しばらく様子を見ましょう。ここは若者たちに任せようではありませんか。

【国王】(座る。小声で)そうだな。


【セリーナ】(3秒後)私は10年もの間、殿下の婚約者として研鑽を積んでまいりました。王子妃として恥ずかしくない素養を身に着けることができたと自負しております。どうか、理由をお聞かせいただきとう存じます。

【フランク】そこだ。その自己主張が強いところが我が妻として相応(ふさわ)しくないのだ。奥ゆかしく、全てにおいて夫を立てる態度こそが似つかわしい。それが、こちらに控えるエミリー嬢だ。


【令嬢A】(一歩前へ出る)そうね。女は男の付属品だものね。それにしたって、このような公開の場で申し渡すべき事柄ではないと思うわ。

【令息A】(一歩前へ出る)セリーナ嬢は嫉妬からエミリー嬢に嫌がらせを行った。これは犯罪だ。エミリー嬢の証言がある。

【エミリー】私のノートが破かれ、教科書には落書きされたわ。消しゴムや鉛筆も無くなったし‥‥。(一歩下がり、ひざまずく)

【令嬢A】セリーナ様がやったという証拠があるのかしら? 王子殿下の婚約者であるセリーナ様ですよ。学園内では必ず私たちの内の誰かが傍らに付くわけです。そんなことは出来ないのよ。

【令息A】では、お前たちも皆、グルだ。(一歩下がる)

【令嬢A】馬鹿バカしくて話にならない。(一歩下がる)


【令息B】(一歩前へ出る)エミリー様が階段から突き落とされたこともあった。

【令嬢B】(一歩前へ出る)それはいつで、どの階段なの?

【令息B】10日前の昼休み。北校舎の東階段だ。

【令嬢B】その日、セリーナ様は王宮で王子妃教育だった。学園はお休みされたわ。

【令息B】魔法を使ったのだ。

【令嬢B】呆れてものも言えない。この世の中に魔法が存在するのかしら。

【令息B】じゃあ、無いことを証明してみせろ。

【令嬢B】先に、魔法があることを見せなさい。

【令息B】それは無理だ。全ての魔法使いは能力を必ず隠す。(一歩下がる)

【令嬢B】荒唐無稽もここに極まれりね。もし、セリーナ様が魔法を使えるなら、あなた方すべての命を、人に知られず奪えるはず。覚悟しているのかしら?(一歩下がる)


【令嬢C】(3秒後、一歩前へ出る)どうも貴方たちには下心がありそうね。本音はどういうことかしら? 殿下とエミリー様をくっ付けたいということ? けれど、王族と男爵令嬢では身分差がありすぎて無理。じゃあ、大事件を起こして“真実の愛”に目覚めた二人を多くの人々に認めてもらおう‥‥っていう、ところかしら?

【令息C】(二歩前へ出たのち、5秒沈黙)貴女の言うとおりだ。二人が一緒になることを陛下に認めていただくのが目的だ。王子は世継ぎの地位を捨てて臣下に降りるおつもりだ。殿下には弟王子がおられて、お世継ぎには困らない。

【令嬢C】では、セリーナ嬢はどうなるの? その名誉が損なわれてもいいの? 一人だけが貧乏くじを引くわけ?

【令息C】(3秒沈黙)申し訳なかった。白状しよう。殿下とエミリー嬢が懇意になったのを見て、私はセリーナ嬢の婚約解消を願ってしまった。幼馴染の彼女に惚れていた。この機会をのがすまいと考えた。セリーナ嬢が失意のどん底にいる時なら、私がはいり込む隙があると読んだ。でも、彼女が苦しむ姿を見ていたら、耐えられなくなった。すまなかった。許してくれとは言わない。どうか私を恨んでほしい。できることがあれば、何でもする。

 父上。将軍の息子として恥ずかしい振る舞いをしてしまいました。どうか罰してください。

【将軍】(一歩前へ出る)せがれよ。覚悟だけは誉めてやる。自宅で謹慎だ。(一歩下がる)


【セリーナ】殿下の御心を御引止めできなかった不手際をお許しください。宰相の娘として、お父さまの体面を汚してしまいました。

【宰相】(一歩前へ出る)なにも言う必要はない。帰宅したら書斎に来なさい。(一歩下がる)


【国王】【王后】(立ち上がる)

【国王】皆の者、大義であった。追って沙汰を致す。このあとはダンスを楽しんでくれ。

【国王】【王后】(立ち上がり、後幕中央の隙間へ退場する)

【宰相】【将軍】(国王と王后を追って退場する)


【フランク】【エミリー】(立ち上がって並び、手を繋ぐ)


【令嬢A】(令息Aに呼びかける)そこの方、私の付属品を務めるつもりは、おありかしら。

【令息A】もちろん、喜んで。(急ぎ足で令嬢Aの下へ歩み寄り、ひざまずき、手を差し伸べる)

どうか、ダンスの申し込みをお受けください。

【令嬢A】ありがとう。(令息Aの手を取る)

【令嬢A】【令息A】(二人並んで立ち、手を繋ぐ)


【令息B】(令嬢Bの下へ歩み寄り、ひざまずき、手を差し伸べる)貴女の魔法に屈服しました。一曲、お願いいたします。

【令嬢B】良くってよ。(令息Bの手を取る)

【令息B】【令嬢B】(その場に2人、立って並び、手を繋ぐ)


【セリーナ】(令息Cの下へ歩み寄る)今生(こんじょう)の別れになるやもしれません。女性から申し上げるのはハシタナイとは存じますが、思い出に申し込んでくださいませんこと。

【令息C】(セリーナにひざまずき、手を差し伸べる)温情をありがとうございます。では、改めて。お相手をお願いいたします。(立ち上がって、セリーナと並び、手を繋ぐ)


(下手より、ピアノとバイオリンの演奏者が登場し、スタンバイする)

【令嬢C】あちゃっ! 私だけアブレてしまったわ。そこの装置担当さん。お暇でしょ。相手をしてくださいな。

【装置】はい、喜んで。(下手の階段をつかい舞台上へ急ぎ足で昇ってくる)

【令嬢C】【装置】(その場に2人、立って並び、手を繋ぐ)


【衛兵A】【衛兵B】(立ち上がり、舞台中央を見つめる)

(下手で、ピアノとバイオリンがダンス曲を奏ではじめる。ペア5組が踊る。曲は3分)

【全員】(曲が終わると同時に、舞台上で出演者一同が横一列に並ぶ)

【装置】(慌てるそぶりを見せつつ、緞帳の操作に向かう)

(緞帳が降りる)

書き方のセオリーに反しているかもしれません。お目こぼしください。台本と脚本の違いもよく解かっていません。どこかの小学校で採用してもらえませんかねえ。

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