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諦めない!負けない!ご褒美を手にするゾ!

ちょっとおバカな子と秀才の子の迷コンビは、猪突猛進中。

周囲の大人も優しくフォローしつつも振りまわされている。

ちょっとした幸せを見つけ、素直に感情を出せる2人に影響をうける人達も2人と一緒に成長していくでしょう。

ゆるゆるっとした日常を見守ってもらえればと思います。

プロローグ

「な、な、な、ナタリー!!」

その日、公爵家のあるお部屋から屋敷中にあるメイドの名前が響き渡った。


私は、ルルリィ・ブレキ・ブライトシア。6歳。

ラデリック国公爵家の長女。

父は、財政政策担当大臣と呼ばれており、母はお茶会の花。

兄は、8歳。

家族全員、濃淡や箇所などは違うが主色の茶色に金色の髪がインナカラーに見える感じで入っている。

3歳の時にラデリック国第2王子デリル・ラ・ラデリックの婚約者となり、週の半分をお城で勉強してる。

私は、自分の庭で遊ぶのが好きなのに!

私の幸せな時間は、兄様とお庭でかけっこしたりして遊ぶこと。あと、お母様に抱かれながらおやつを食べること。お父様にギューギューしてもらうことも大好き!

なのに、お城に行かされ勉強ばっかり!終わっても王妃様や婚約者のお茶会とか無駄な時間を必ず2時間付き合わされる。

ほんとに嫌になる!


1

今日もいつものように嫌々お城で勉強して、王妃様とお茶会に向かったら、同じ公爵家である宰相の娘ララムリエルがいた。

「ご機嫌よう。ルル。」

「ご機嫌よう。ララ。」

私達は家格も同じでもあり、正反対の性格だからか気が合う。

お互い愛称で呼びあう程だ。

そんな私達を柔らかな笑顔で王妃様は見ながら、私に席をすすめてくれた。

「可愛いルルちゃん。今日は、ララちゃんもたまたまロゼット公爵とご一緒にお城に来ててねぇ。」

ルルは、私と違って令嬢。大人しくて、頭がとても良い。いつもニコニコしてるし、動作も優雅!ほんとに優雅!勉強に出てくる淑女のような子。分厚い本もよく読んでる。

私じゃなくてルルが第2王子の婚約者の方がなんか、しっくりくるのに。マナーの先生やお父様、お母様に言ったけど皆、苦笑いするだけ。

王妃様とも仲良しだし、いいと思うんだけどなー。なんてその時は思ってた。

お茶会もお開きになり帰り際、ララから本を渡された。

「ルル。この本ね、最近流行ってるんだよ。面白いんだって。」

「へぇ。」

本とか全然読まない私は、全く興味が持てなかった。

「今日、ルルのと私のを買ったの。」

ララは、耳まで赤くなりながら手をもじもじして話す。

「プ。プレゼントだよ。し、親友は、お揃いするんだって。」

さらに真っ赤になりながら話す。

「……。」

し、親友!!ララからプレゼント!

私が心の中でキャーキャー叫んでる間、ララは何も言わない私が気分を害したと思ったようで青くなって震えていた。

「ご、ごめんなさい。か、勝手にし、親友とか……」

大きなクリっとした瞳に涙をためて泣かないようにこらえながら呟いた。

「違う!嬉しいの!私、ララ大好き!」

「プレゼント、嬉しい。お揃い、初めて!嬉しい!」

誤解されたくなくて一生懸命伝えた。

ララは、私の声にビックリしながらも瞳を大きくして妖精のような笑顔になった。

「ほ、ほんと?」

「ほんとだよ。嬉しい。ララも私のこと大切に思ってくれてたことも、お揃いのプレゼントをくれたのも!!」

ララの手をギューギュー握って伝わって欲しくて勢いよく言う。

「ふふふ。ルル、ありがとう。」

「えへへ。」

伝わった!良かった~。

ララと別れて帰宅した私は、部屋に戻るまでにお母様と兄様、メイド、庭師など出会う人達に自慢した。そりゃもう、自慢しまくった。

服を着替え、ソファーに座り早速、本をパラパラ開く。

その本は人気なだけあって表紙はシックだけどところどころに綺麗な挿絵があり、私でも読めそう!

ララと感想を言い合えたら、スゴく楽しそう!ふふふ。

そんなことを、考えながら読み始めた。


「な、な、な、ナタリー!!」

読んでる途中で、私専属メイドのナタリーを呼びつけた。

ナタリーは、慌てて部屋に入ってきた。

「お嬢様、いかがされましたか?!」

「ナタリー、本……この本……」

「本?」

「この本、知ってる?」

ナタリーが私の手元にある本を見る。

「……はい。知っております。」

私が呼びつけた意図を察したのであろう、ナタリーは目を泳がせながら質問に応える。

ララからもらったこの本には、男爵令嬢と王子の冒険と恋物語だった。

だけど…

私に容姿も色々そっくりな登場人物が出てきた。なぜか、私は将来の自分な気がして仕方なかった。

「お嬢様……」

ナタリーが渋面のおももちで声をかける。

「ナタリー、私は間違ってるのかしら?」

「いえ!いいえ!本は、夢物語です。お嬢様ではないです。」

「夢物語……ね……。」

「そうです。ここに書かれてるのは、最近流行の悪役令嬢です。

決して、お嬢様ではありません。」

ナタリーは、私ではないと強く言ってくれました。私の事を大切にしてくれるナタリーだから傷つかないように言ってくれるのがわかります。

私は、ナタリーが言った『悪役令嬢』という言葉が頭と心を埋め尽くしていた。

お馬鹿な私は、ちっとも知らなかったの。

兄様にイタズラして笑うことが嫌われることになるなんて。

お母様とお茶をすることが、色々な人を巻きこんで無理を通してたなんて。

お父様に甘えてあったことを話しては文句を言うことが、他の人を陥れることになるなんて。

メイドに注意することが憎まれることなんて。

心臓が痛い。ドキドキして眠れない。

なんて愚かなことか。皆に嫌われることしかしてない私は、これからどうしたらいいのかわからない。

「きらわないでぇ。。。」

ふかふかのお布団の中で丸まりながらボソボソと同じことしか言えなかった。


2

翌日

ララが私に会いに来た。

「ご機嫌よう。ルルっ!あ、あのね本を……」

部屋に入ってきた様子でわかる。慌てているし、心配している。

私の顔を見て読んだことを察したララは口を結んでいた。

「ら、ららぁ。」

一瞬で涙がたまっていく。

「ご、ごめんね。わ、私知らなくて……」

「うぅ。。」

それから2人でワンワン泣いた。これでもかって泣いた。

ララは、自分が良かれと思った本が傷つけてしまう事になって。

私は、怖くて。

どれくらい経ったのか、私達はお互い目を真っ赤にしつつ抱きしめあって笑った。

「ルル。ごめんね。」

「ララ。大丈夫よ。ララは、私の大切な親友だもの。」

「私も。ルルは、私の大切な親友です。」

ナタリーが何も言わずすっとお茶とお菓子を出てきた。

「ナタリー、ありがとう。」

「ありがとうございます。」

「いいえ。今、目を冷やすタオルをお持ちしてますので、それまでゆっくりお過ごしくださいませ。」


目を冷やし、気持ちが落ち着いた私はララに相談した。

「ララ、この本は予言書なんじゃないのかしら?」

「予言書?」

読んでいて、不安になるのはこのままなら将来、私はこうなるんじゃないだろうか。

王子の恋とか、ぶっちゃけどうでもいいけど大切な家族や親友が傷つくことは、どうしても許せない。

しかも、それが自分が原因なら……。

私の考えを一つ一つ伝えていく。私は、お馬鹿だからどうしていいのかわからないけど、頭がいいララなら解決策があるかもしれない。

「うーん。うーん。」

ララは、私の話を聞いて考えてくれる。

その様子がなぜか嬉しかった。

「もし、本当に予言書なら……こうならないようにすべきなのよね……でも……いや……これなら……」

ララは、ブツブツ一人言をいいつつ、何か解決策をまとめあげていく。私は、静かにドキドキしながらララをじーーっと見る。

そして、ララは真剣な眼差しで私に向き合って話し始めた。

「ルル。こうすれば上手くいくのではないかしら?」

1.王子と距離を保つ、もしくは婚約破棄する

2.恋路を邪魔しない

3.見た目を変える

4.強くなる(冒険者になる)

5.仲間を作る

ララが挙げてくれた解決策は、とてもすごかった!

私はなんて、ステキな親友を持ったのだろう!

いるかどうか知らないけど、神様、感謝します!!

「すごいわ!ララ!これができれば、安心ね!」

「本当?でも、ルルはこれから大変になっちゃうわ。ごめんね。」

「大丈夫よ!むしろ、今から動けることは良い事よ。ララに相談してほんと、良かったーー。」

「ルルの力になれて良かったわ。」

そう、私達はなんだかんだいってまだ6歳なのだ。周囲のメイド達が残念そうだけど柔らかな視線と見守る眼差しで私たちをみていたことに全く気づかなかった。

「やってやるわー!」

拳をかかげ、ふんすっ!と鼻息を荒くして立つ。

「私も手伝いますわ!ずっと私達は、親友です!不幸になんかなりませんわ!」

ララも両手を握りしめしながら決意を伝えてくれた。

不安だったことが嘘のように感じる。

ララと頑張れば、きっと幸せになれると思った!

「あ!そうだ。ララ!成功したらさ何する?」

「え?」

「ご褒美があれば、もっともっーーーと頑張れるじゃない?」

「た、確かに!」

名案だとララに褒められ、嬉しくなる。

「そうですわ。パンチフルーツなんてどうでしょうか?」

「何それ?」

パンチするの?フルーツに?

知らない私にララは教えてくれた。名前が変な素晴らしいデザートについて。

それは、遠い遠い東の国にある王宮菓子で、カットしたフルーツにテカテカするほど砂糖をコーティングし、シュワシュワするような甘い液体の中で踊るデザートらしい。ガラスの器に入れるとキラキラしているんだって!

何それ?ヤバい。キラキラで甘くてシュワシュワとか。

想像するだけでヨダレでちゃうーー!

「ふ、フルーツは、何が入ってるのかしら?」

ヨダレを垂らさないように聞くと驚きの回答がきた。

「好きなものを好きなだけ入れることができるそうですわ。」

「な、な、なんですって!好きなだけ?好きなフルーツを?」

「えぇ。まさしくご褒美に相応しいとおもうのですが。」

「ララ!天才!」

ギューギューと抱きしめた。

「ご褒美は、これに決定だわ!」

私達は、ご褒美のためにあーでもない、こーでもないとこれからの対策を企てていった。


3

「~であり、公国として発展しました。」

お城での勉強をこなしつつ、計画を思い出していた。

今日、婚約者の王子にとうとう計画を実行する。

緊張する。失敗しないように頑張らねば!

「ルリィ。ねぇ、ルリィ?」

肩を叩かれビクってした。

「え?」

「もう授業は、終わりましたよ?さぁ、お茶に行きましょう?」

婚約者のデリルが現れていた。

いつ終わってたの?!そんなことより、計画実行しなければ!

「モウシワケアリマセン。キョウハ、ヨウジガアリマスノデカエリマス。」

よし!言えた。すんなり!完璧だわ!

「……。ルリィ?」

銀髪サラサラヘアーが太陽光でキラキラしている。

デリルは、まさしくこの国の王子らしくニコリと笑って私を見る。

え?何で?なんか背後から黒オーラ見えるんだけどぉ。。。

まさか、聞こえなかったのかな?うむ。もう一度言うか。

「モウシワケアリマセン。キョウハ、ヨウジガアリマスノデカエリマス。」

ニコニコニコニコニコ

怖っ!なんなのーー?!

「ルリィ、お茶しようね?」

なんでよぉ!断ってるの!

「イエ。イクコトデキマセン。よ、用事……ヨウジアルンデス。」

怖いよ。目を合わせられない。

心が折れそう。

「それは、私とのお茶会をキャンセルするほどの用事ですか?」

「は、はいぃぃ。」

負けるものか!デリルのうしろが真っ黒オーラ全開でも!

こ、怖いけど、負けたら……負けたらパンチフルーツ食べれないもの!!

「……ふぅ。」

ダリルが溜息ついた。眉を八の字にしている。

「私は、ルリィとお茶するのを楽しみにしてたのですよ。なのに……」

「モウシワケアリマセン。ヨウジアルンデス。」

私は、全然楽しみになんてしたことないし。

むしろ、早く帰りたいし。

頑なな私に渋々、デリルは折れた。

「仕方ないですね。」

ホッ。

ララ!成功したわ!

「次は、お茶しますからね。」

あからさまにホッとした私をジトっと見て、背後のオーラがさらに黒くなったように見えた……怖すぎ。


4

「可愛い娘、ルーリィ。約束の先生が見つかったよ。」

「本当ですか!!」

「あぁ。」

「い、いつからですの?!」

「1週間後からだよ。父様、頑張っちゃったよ。」

「お父様!!大好きーーー!」

嬉しくてガバりと抱きついた。

ふふふ。と笑いながらお父様は、私の頭をなでてくれる。

とうとう待ちに待った剣術の先生が来るのだ。

私は、計画したその日にお父様に剣術を習いたいとお願いした。最初は、淑女教育には不要だと言われたが何度もしつこくお願いして叶ったのだ!

これには、ララと目指すべき女性像を具体的想像するために探していた際に見つけたある王女様のおかげでもあるのだ!


ララと計画を立てることになってから週末に必ず会うことにし、今日は、第2回である。

私がしたこと、だめだったこと、できたことを話していく。

ララも同じように話して、計画をなおしたりする。

「ルル。目標を立てるには、具体的に目指すべき人物を見つけるのがいいと思うの。」

「どういうこと?」

ララは、頭がいいから意図することが私にはわからない。

「あのね、実際にこの人になりたい!ってわかれば、そのための努力が早く身につくみたいなの。」

「へぇー。そうなんだ。」

ララは、すごいな〜。感心しながらふと疑問に思ったことを聞く。

「どうやって、見つけるの?」

「うーーーん。どうやってかしら?本?」

「本かぁ。見つかるかなぁ。」

苦手な本をまた見なきゃいけないのかとガックリしつつ、ララと探すことにした。

我が家の図書室に移動して、女性が書かれていそうな本を2人で探す。

「これは、なんか違うなー。こっちは、惜しいけど……」

手当り次第探したが、見つからない。

私達は、疲れてきて休憩をとろうかと話していた。

「では、この本を見て休憩にしましょうか。」

「そだねー。」

パラパラパラ……

「「あ!」」

私達は、見つけたのだ。

その方は、ある国の王女だった。めちゃくちゃ強いわけじゃないけど、剣術に長けており冒険者でもあったそうだ。

親友がおり、その親友は頭が良く右腕として魔術も使いこなせる人がいた。

「み、見つけたよ!!ララ~!どう?この方どう?」

「うん!この方、ルルにピッタリですわ。それに……親友も私が目指すべき方のような気がしますわ。」

挿絵があり、そこには親友と二人が目配せしながら立っていた。

そこには、絆があり、かっこよくもあり、慈愛に満ちて幸せそうな雰囲気だった。

私達は、ニッコリして達成感とともに休憩した。

あんな女性に慣れたらかっこちいよね~。うひひ。

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