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永遠の冬  作者: 朱鷺田祐介
51/64

【51】出会うべき魂

運命の劇場へようこそ

北原のグリスン谷に住む少年ウィリスは、冬の神「冬翼様」と出会い、新たな道を歩みだす。


拙作ダーク・ファンタジーTRPG「深淵」の世界観を元に描き出した幻想物語。

 似た者は同一である、と学院は定義する。

 すべては12とひとつの星座の影に過ぎない。

 多彩なる深淵の表層に投じられた12とひとつの影。

 それはばらばらな存在でありながら、一つである。


 ウィリス11歳の夏。

白き獣師とともに、アヴァター山の吹雪の中を歩む。

向かうは、山頂。

おそらくは、冬翼様の呪縛の場所。

魔道師たちの言い方に沿うならば、冬翼の大公ペラギス・グランの四つの顔、真なる封印のあるべき場所。


「すでに感じているだろう」

と、白き仮面の獣師レディアス=イル=ウォータンは山頂を指差す。

「この頂に、ウィリス殿の主が封じられている」

「ええ」とウィリスは答えた。


 声が聞こえる。

 雪狼たちの歓迎の声。

 ネージャ様の導きの声。

 そして、冬翼様ご自身の気配。


「封印を解くのはお前の仕事だ」

とレディアス。

「はい」とウィリス。

「残念だが」と、もう一人の獣師、ディルスが言う。

「《獣の王》になるのは、お前の仕事だ、ウィリス」

 その口調は余り残念そうには、聞こえない。

 だが、ウィリスにはそれより聞かねばならない質問があった。

「《獣の王》になるとは?」

「うーん」とディルスははぐらかす。

「なる必要などない」とレディアスが横合いから切って落とす。

「お前はすでに獣の王だ。

 聞こえているだろう?

 彼らの声が」

 それはもはや質問などではない。

 確認ですらないだろう。

 ただ、この場でレディアスは聞き、ウィリスはうなずく。

 その儀式が踊りの手順のように必要なのだ。


「ええ」


 ウィリスは答え、うなずく。

 レディアスとディルスはうなずき返す。

 雪狼たちが高く雄叫びを上げる。


「お前は名乗る前から、獣の王であった」

とディルスが説明する。

「おそらく、ゼルダ婆に預けられるずっと以前から。

 その時を覚えているか?」

「ええ」とウィリス。

「白い石碑で、ネージャ様と会いました」

「幼き頃より、魔族の眷属の影響下にあったということだ。

 正しい経路だな」

 レディアスの言及は社での講義のようだ。

「やや、不適切なのは……」

と、レディアスは唇を引き締める。

「ここまでの案内人だが、我々も身の程をよく理解している」

 レディアスの顔の大半は白い骨のような仮面で覆われ、目の色も動きも一切見えないため、ウィリスにはその表情を読むことは出来なかった。

「どういう意味ですか?」


 レディアスは微かに笑う。


「私は愛する女を二度、殺した」


 そして、ほほ笑む。


「一度目は、魔族に捧げた。

 二度目は、見捨てた」



★本作は、朱鷺田祐介の公式サイト「黒い森の祠」別館「スザク・アーカイブ」で連載され、64話で完結したものを転載しているものです。


http://suzakugames.cocolog-nifty.com/suzakuarchive/

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