9話 嬉
お頭は今にも殴って来そうな形相だったが、俺は、話せば分かるって信じてた・・・
『俺、堅気の仕事で所帯を持ちたいんです』
『所帯だとぉ・・安が言ってた女か!』
『・・・はい』
『おめぇ、いくつになった』
『17です』
『・・・所帯を持っても、いい頃か・・』
お頭は、キセルをくわえ俺をしばらく見つめると、溜め息を付きながら煙を吐き出した・・・
『17年かぁ・・前の頭と姉さんは、お前が赤ん坊の時に死んじまって、俺が面倒見る事になっちまったが、お前もそんな歳になっちまったか・・・・』
そう言うと、キセルをくわえ遠くを見つめた・・・
『お前は、腕っぷしは強ぇが気が優しいからな、賊には向かねぇと思ってたが・・おめぇに大工なんか勤まんのか?賊の中で生きて来たお前がよぉ』
『それなら大丈夫です。ここ一月ほど、大工仕事をやってるんで』
『そうか・・・もうやってんのか・・』
『お頭!堅気になる事、赦して下さい!』
俺は今まで育ててもらった恩義を込めて、土下座して頼んだ・・・
『そうさなぁ・・・俺の使いを一つ終わらせたら、堅気にしてやるかっ』
『本当ですか!』
俺は嬉しかった!・・・堅気になれる事が、本当に嬉しかった・・・