表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い月が見えると・・・  作者: 生丸八光
4/47

4話 悲

『コイツ・・本当に新吉(しんきち)なのか・・・』


俺の知っている新吉は、目のキラキラした元気な奴だったんですが、この男の目は死んでるんスよ・・薄目(うすめ)でぼーっと、遠くを見て・・・何かに(あやつ)られている様な・・・顔は(ほこり)(すす)で汚れ、血がべっとりと()いてやした・・・


手に(かたな)を持ち、(むすめ)を大事そうに(かつ)いでいやしたが、酒屋の娘は血の気のない顔で、腕は力なくダラリと下がり、くるまれた布団は血だらけ・・・死んでるって感じやした・・・


長屋の中は(ひど)いもんで・・・()られた足や手、首がゴロゴロ転がり血の海で、目にした門倉(かどくら)のダンナは鉄二に見廻(みまわ)り同心を呼びに行かせ、俺と一緒に新吉の(あと)()けたんです・・・


新吉も深手を負ってたらしく、いつ倒れて死んでもおかしくない(くらい)の血を流し、ヨロヨロしてたんですが、酒屋の娘と刀は(しっか)りと持ってやした。


川の土手に咲く桜の木の下に来た新吉は、木に娘と(かたな)()り掛けると、手で穴を堀り始めたんです・・両手で地面を()きむしって、新吉の掻きむしる手に()めどなく涙が落ちているのを見て、俺は何とも言えない悲しい気持ちになり、(わけ)を尋ねたんです・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ