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2話 報
首のない門倉の死体の前で、岡っ引に手を掴まれる同心・・・
同心は、岡っ引を睨み付け
「門倉がおかしくなったって、どういう事だ!」
「門倉のダンナは、その刀を持ったら、別人になった様に周りの人を切りまくって行ったんです」
「じゃあ!この通りの死体は全部、門倉の仕業なのか!」
「はい・・」
岡っ引はうつむき、悲しげにそう応えた・・・
「何てこった・・与力にどう報告すれば・・・同心が人を切りまくったなんて・・・」
二人は沈黙し、刀を見つめる・・・・しばらくして同心は
「おい、銀八!お前その刀を握ってみろ」
「えっ!俺がですか?」
「そうだ!握ってみろ!本当におかしくなるのか、この目で確かめねぇと報告出来ねぇからな!」
「勘弁してくださいよ!石井のダンナ・・俺はこの目で見てたんですから、門倉のダンナがおかしくなって行く所を・・・」
「じゃあ、お前が見た事を洗いざらい、俺に話してみな!」
銀八はしばらく目を閉じて、自分が目にした事を思い出すと、血に染まった門倉の顔を見つめ、話し始める・・・