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時雨の通りみち

作者: 大塚

「おはようございます。」 

「最近は天候が荒れていますね。」 

「そうですねぇ でも今日は雨具を持っていく必要はありません。」 

「初日から自信満々ですね。」

「僕のデータと予報は、【ここは俺に任せろ】と同じくらい信用できますからね」

「雨具を持っていく必要がありそうですね」

「冗談ですよ」



 「ドンドン」

何も頼んだ覚えはないぞ。着払いとはいい迷惑だ。雨音であったと気付くのに時間はいらない。なんだ。雨か。さっきまで降っていなかったのに 私は通り雨が嫌いだ。とても嫌いだ。急にやってきては何事もなかったかのように通りすぎて行く。人の迷惑も考えずに。

私は天気予報を信じない。私は気象予報士ではあるが神ではない、太陽でなければ雲でもない。いっそ雲になりたいくらいだ。天気予報など予報であって予知ではない。はずれることだって当然あることだ。雲一つない空に訴える。私はお天気お姉さん、朝テレビに出演しているわけではない。私のデータを元予想しキャスターに伝えるという

仕事だ。いずれなくなる職業であることは言うまでもない。言う相手がいないことは理解している。 キャスターぐ光なら私は影、朝は濃いが夜には消えてなくなる。 読者のあなたは切っても切り離せない関係なんて臭いセリフを吐くとでも思ったのか? 残念ながらそんなロマンチックでアニメチックな語彙を分けは持ち合わせてはいないよ。

私の生活、命は目に見えて見えない天気という概念に生かされていると考えると私は無力だと実感させられる。

私は仕事のない日は決まって散歩にでかける。他にすることがないのだ。家族もいなければ友もいない。いや、近所の猫は友だ。多くを語らず欲もない。私は猫と相性がよい 火と牛脂のようだ。散歩をしているときは何も考えなくていい。考えることといったら、交通ルールと犬のフンがないかどうかという事くらいだ。


「コラッ」

雷が落ちた 少女の目から雨が降った。 私のメガネは曇っている。 なぜ怒られているかは知らないし知ろうともしない。 今わかるのは、このラーメンがとても熱いことくらいだ。店長に いつか言いたい いつもので くだらなく季語のない俳句が出来た頃には、店を後にしていた。あのラーメン屋にはよく通うがこの頃人気がでてきたようだ。というのもテレビで紹介されたからだろう。ガンコ親父が店長だと紹介していたが私は優しい店長のほうが好きだ。何も言わずにメンマを増やしてくれるような店長のほうが好きだ。

太陽のギンギンとしたまばゆさとこの暑い日には、やはり公園で休む必要がある。公園のセミは何が面白いのかずっと笑っているようだ。子供たちは何かするわけでもなく集まっている。人が増えてきたな。蚊が私の腕にとまり血を吸う。 このままでは蚊まで高血圧になってしまうではないか。 とっさに叩き潰した。こうして次期高血圧患者を一人 いや一匹救った。 こうして勇者は公園を去っていった。

天気予報で、今日は雨具はいらないと言っていた。ずっと晴れの予報だ。太陽は一つだが雲は無数にある。だが名前は種類分け程度だ。そんなかわいそうな雲がすきだ。ボワボワとしたあの形にどんな意味があるのだろうか。

「ペタペタ。」

嫌な音だ 手でそらを押し上げる。 手に水滴が付く。7文前の言葉は撤回いないといけなそうだ。

雨は濡れるから嫌いだ。 急に降り始めた雨から逃げるように歩く。タバコの火は消え、空に上がって行く煙は雲になれぬまま消える。人の迷惑も考えずに雨は降る。

私は気象予報士が嫌いだ。当たるか分からんことを言い金をもらう。外れても謝らない。ひとの苦労など知らないで。私が気象予報士になったのは人を信じない性格から自分で予測できたら騙されることはない と思ったからだ。今日という日に限って気象予報士を信じてしまった。それ故に傘は持ってきていない。雨が止むまでコンビニで雨宿りだ。

「いらっしゃい。夕立さん。」

「その呼び方はやめてくれ。」

夕立はあくまで気象予報士としての私で本当の私ではない。やれやれと思いつつ周囲を見渡す。おもむろに新聞を取ると【夕立の息子、時雨が気象予報士に】と大きく記されている。

初日から外しやがって。これだから雨は嫌いだ。屋内にいるのになぜか新聞が濡れるいた。

外の雨は止んでいた。

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