無能生存者
目が醒めると透明の光が差し掛かる。けれども私は目を閉じるのだ。そして再び意識は遠のき夢の世界に沈んで行く。
夢の中の私は生きる意味を追い求める事は無く、自動で考え動くのであった。この時の私は、おそらく幸せであろう。
そして、瞼を開き現実の世界に帰ると当たりは、橙色の光が私を包む。けれども私の心は深く暗い。
電子機器が私を囲んで生存する為の補助をしてくれている。私は食品を電子機器に投入し何も考えず同じ所を眺めながらただ時間が過ぎる事を待っているのだ。
ぐるぐると回り食品を温めてくれる電子機器。私も物理的にではなく温めて貰いたいものだ。
音が鳴り、食品を取り出し胃袋に放り込む。少しだけ私の心と身体が満たされて行く。
これらを終えて私は横になり液晶をじっと見ているであった。気がつけば世界は暗く液晶の光だけが残る。
この世界に絶望しながらも何も変えることもない無意味な自分が嫌いでもあるし好きでもある。
そう思いながら再び液晶を見つめる。そして、ゆっくり朝日が昇り出そうとする時に私は、目を閉じる。
そう、私は無能生存者。