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ドリームナイト~囚われのキミへ~

ドリームナイト~囚われのキミへ~

作者: 一ノ元健茶樓

「キミちゃんを離して!!」


 黒い大きな怪鳥の背に乗った恐ろしい顔をした悪魔が

 キミちゃんを魔法のチカラで動かない石にして

 持って行こうとしていた。


 あんな大きな鳥で空に飛んで行っちゃったら私は追いかける事も

 キミちゃんを助ける事も出来ない。

 でも悪魔に勝てる気もしない。


 泣きながら叫ぶ事しか出来なかった。


 悪魔は笑いながら、惨めな小娘だな。と私の耳元で囁くと

 石になった、キミちゃんを抱え怪鳥に乗って

 どこかへ飛んで行ってしまった。。。

 こんな事は初めてで私の心臓は潰れてしまいそうなほど苦しくなり、私は汗だくになって目を覚ました。。。


 私の名前は、原 のぞみ 13歳。


 中学生の筈なんだけど、学校には行けなくなってしまった。

 ううん、最初は頑張って少し行ってた。

 だけど、だんだん足が震えて行けなくなった。

 虐められた訳でもなく、ただ、行くのが苦しくなった。

 友達も居ない。

 私はひとり。


 でもね、夢の中には私の大切な友達がいるの。


 毎日、夢に出てくる、あの子。

 野間 喜美乃ちゃん。

 私はキミちゃんと読んでいるのだけれど。


 キミちゃんは私が小学5年生になった頃、、、


 この街、口入市-くちいりし-に引っ越して来た辺りから

 夢を見た時に出て来るようになった。


 最初はお互いの名前も顔も誰かも分からなかった。


 ジャングルを冒険しているのは私。


 道に迷ってしまって大変だったの。

 困ってたら前の草がガサガサと揺れて同じ年くらいの女の子が出てきたの。

 その子も道に迷っちゃったって言ってた。

 それからお互いの自己紹介をしたりしてジャングルをお散歩してた。

 途中に大きな蛇や虎とか居て、二人で走って逃げたりしたの。

 とっても怖かったけど1人じゃなかったから全然怖くなかった。


 いつも1人だったけど、その日はとっても楽しくて。


 笑いながら逃げてたの。


 それから夢を見る日には絶対にキミちゃんが出て来るようになった。

 色んな所へ行って色んな事を一緒にした。

 危ない事ばっかりじゃない。

 お花畑でお花の冠を編みながら二人でずっとお喋りしたり

 海の底で貝殻を集めたり。。。

 月のお庭でお茶したり。。。

 夢の中では何でも出来たの。二人ならね。


 でも色んな冒険したり危ない時もあった。


 どんな時もキミちゃんは助けてくれた。


 私はいつも怖くて動けなかった。

 キミちゃんはしっかりしてるし頭もいい。

 色々な事を教えてくれた。

 あなたは私が守るから。その笑顔を無くさないでね。

 って、キミちゃんはいつも言ってくれた。

 私の唯一の友達。のぞみん。

 とも、、、。


 なんだか私と似てるのに全然違うくて私は不思議な感情を持ってしまったな。と思ってた。


 そんな、そんな大切な、、、大好きな、、、


 ...キミちゃんっ!!!!


 これは夢なの?現実なの?胸...がっ...苦しい。


 私から、キミちゃんを奪わないでっ!私から、私の、、、


 友達っ!!!


 涙が止まらなかった。

 目を覚ましたのは何時か分からないけれど部屋は暗かったし夜だと思う。


 その日から、夢にキミちゃんが出て来ることは無かった。


 私は寝るのが怖くなった。

 ウトウトして少し眠るけどすぐに目が覚めた。

 夢は見る事が出来なかった。

 そんな日が何日も続いた。

 学校にも行けない。寝ることも出来ない。

 食事も喉を通らない。

 お母さんは心配して何かあったの?と優しく聞いてくれたけど夢の話なんて出来るわけないし、なんでもない。


 って言っちゃって、また1人になってしまった。


 私は寂しかったし何も出来ない自分がとても悲しかった。

 それに、キミちゃんの事が頭から離れない。

 今頃、どうしてるの?

 石にされたまま、もう会えないの?

 夢の中の事だし、また会えば、楽しくお話したりお散歩したり冒険したり出来るよね?


 そう思って、ちゃんと寝ようとした。


 でも、ダメだった。手が震えて、胸が、ドキドキして

 息が苦しくて、、、


 私を庇って悪魔の魔法を受けてしまった、キミちゃん。

 手足の方から石になる時も私に


「笑って、そんな顔しないで、、、私は、あなたが大好きなのよ」


 そう言って全身が石になってしまった。


 あの時の、キミちゃんの顔が忘れられない。

 何も出来なかった私自身に怒りが生まれる。


 こんな悲しい想いをするなら友達なんてやっぱりいらない。

 学校だって行きたくない。

 ずっとこのまま...。


 私はまた泣いた。枕を何回も叩いた。声も出なくて何も出来ない、、、そして、私は、数週間ぶりに

 疲れて、深い眠りへと就いてしまった。。。


「おお!のぞみが目を覚ましたぞ!」


 ここは、、、あぁ村の私とキミちゃんの家だ。。。

 こないだの、夢の、、、まま、、、なの、、、?


 この夢では小さな村の中に私とキミちゃんの小さな家があり二人で生活していた。


 でも、あの悪魔が急に村へやって来て、私に魔法の光を浴びせようとしてきた。。。その時に。。。


 私の胸はまた潰れそうになった。


 でも、目は覚めなかった。

 村の人達がわ私の手を引き、止めようとしている。

 でも私はその手を振り払い走った。

 山の上にある悪魔の城へと。


 遠くで鳥が鳴くような音がした。

 悪魔の怪鳥かもしれない。


 村にあった盾と剣を私は持って来た。重い。

 使えるかなんて分からない。

 でも絶対に、キミちゃんを助けるんだ!


 今までずっと、キミちゃんは私を助けてくれた!

 危ない事から救ってくれたり色々な事を教えてくれたり、いっぱい楽しくお喋りしたり!


 私は泣くのを堪えながら走った。息が切れても心臓が苦しくなっても走り続けた。

 今度は私が絶対にキミちゃんを助ける!!

 もう、あんな気持ちのまま毎日を過ごすなんて絶対に嫌!!


 だって私には...!!

 キミちゃんが、、、喜美乃ちゃんが居ないと、、、私っ...?!


 その時、空から声が聞こえてきた。

 あの悪魔の声だ。


「貴様に何が出来る?そんな小さな身体で?私に勝てる訳がないだろう?震えてるな?恐ろしいのだろう?お前もアイツと同じよう石にしてやろうか?そして隣同士に飾ってやろう。嬉しいか?それならずっと一緒、死ぬことも無く、そばに居れるぞ?」


 私はその声を聞きながら知らない間に立ち尽くして俯き動けなくなってしまっていた。


 そんな未来も、あるんだ。。。不思議だな。。。


 そう思うと私は少し微笑んで悪魔に言った。


「ごめんなさい。お断りします」と


 だって私は、キミちゃんとずっと一緒に居たいだけじゃない!

 色んなキミちゃんを見て、色んな私を見てもらいたい!

 恩返しがしたい!

 二人で幸せになりたいの!!


 キミちゃんに守られてるだけじゃ嫌!

 私もキミちゃんを守れるくらい強くなるんだから!!


 私は全力で悪魔のお城まで走った。

 全身に力が湧いて来る。胸が熱い...。

 今の私には悪魔に負けるなんて絶対に考えられなかった。


 だって、これは、、、私の、、、夢なんだから!!


 お城の門を私は剣で破壊した。

 お城の中には悪魔の手下が沢山居た。


 けれど

 あんなに重たかった剣は軽く、刃は黄金に輝き

 触れるものを粉微塵にする。

 盾はどんな物をも弾き飛ばし

 私の身体は軽々と宙を舞う。


 キミちゃんを石に変えた悪魔の部屋はお城の最上階らしい。


 けれど、その途中の部屋で私は石のキミちゃんを発見した。

 涙が溢れて止まらない、石のキミちゃんに抱きついた。


 私の涙が石のキミちゃんの肩に落ちた。

 すると眩い光が辺りに広がり、急に身体が温もりを感じた。


「のぞみん...く、苦しい...」


 私は慌てて抱きつくのをやめた、けどまたすぐに抱きついた。


「もう、のぞみんの泣き虫...」


 涙が止まらない。

 助けられた事、助けれた事、懐かしい温かさ、私の大好きな

 キミちゃん、心の友達、、、夢の友達。。。


 無意識に大好き。と口から出てしまった。


「ふふっ...ありがとう、私も、、、大、、、好、、、き」


 同じ気持ちが嬉しかった。

 二人は別々なのに1人みたいな気持ち。

 温もり。赤くトロトロと、した、、、これは?


 キミちゃんに槍が刺さっていた。

 長い2メートル程の槍が背中からお腹に向けて刺さっている。


「キミちゃん!キミちゃん!!キミちゃん!!!!」


 何が起こっているのか分からない。

 私はひたすら名前を呼んだ!涙で滲む視線の先に部屋の窓。

 そしてその向こう側には怪鳥に乗った悪魔が。

 その口元はニヤけている。


 私は、怒りでどうにかなりそうだった。

 気づくと自室のベットの上で、上半身を起こして、シーツを手が痺れるほど強く掴んでいた。


 キミちゃん...。

 怒り、悲しみ、分からない。

 そんな簡単な言葉では説明出来ない、今までに感じたことのない気持ち。

 それなのに私はまた眠りについた。

 不思議と後ろへ上半身を倒して、枕に頭を埋め目をつぶった。


 私は泣いている。

 キミちゃんは石じゃない。

 温かい。槍もない。


 良かった。。。涙が溢れ抱きつく手にも力がこもる。


「の、のぞみん、苦しい...」


 私は安堵し全身の力が抜けた。


「ど、どうしたの?のぞみん!大丈夫?」


 安心し過ぎて頷くのにも力が入らない。


「本当に大丈夫?疲れたの?」


 私はキミちゃんを心配させてはダメだと思い笑顔で顔を上げた。


 窓の向こう側の悪魔と目が合った。

 キミちゃんの身体には槍が刺さってる。2本も。


 私は叫んだ、声が出る限り叫んだ!!!


 また同じく瞬きをすると自室の静かな部屋で

 息が上がったまま上半身からは、汗が吹き出している。


 何も考えられない。

 脳みそがあるかも分からない。

 全てが痺れて感覚すらないような気がしている。


 もう、、、嫌だ。


 そう思って目を閉じ開けると

 キミちゃんを抱いていた。温かい。槍はない。


 もう、、、騙されない!

 私はキミちゃんを抱くのをやめて手を引きすぐに部屋を出た。


「の、のぞみん?!い、痛いよ...」


 手を強く握り、引っ張りながらお城から出るために階段を降りた。


「どうしたの?のぞみん!」


 振り返り抱きしめる。

 涙が溢れる

 ごめんなさい...と呟いてしまった。


「もう、、泣き虫さんね」


 そう言いながら私の目に親指を当てて涙を拭ってくれる。


 ...!

 泣いてなんかいられない!キミちゃんを守らないと!!

 私は立ち上がり盾を構えた。


 静かなお城の階段。

 手下も怪鳥も悪魔も来ない。

 槍も刺さっていない。

 今度こそ、大丈夫なんだ。。。


 そう思った時だった。


 キミちゃんは、私が手に握っている剣の持ち手を私の手の上から両手で包んでくれた。


「そんなに力を入れたら手が壊れちゃうわ...落ち着いて...」


 柔らかい笑みを浮かべ私に優しく伝えてくれた。


 ありがとう。。。

 そう心に浮かんだけれど口には出せなかった。

 これを胸が詰まると言うのだろうか。。。


 キミちゃんの手が光った。


「魔法をかけてあげる。もう寂しくならないように。辛いことが起きないように。もう離れ離れにならないように...」


 とても温かい橙色の光、太陽みたいな綺麗な光。


 すると身体が宙にフワフワと浮き出した。。。


 驚いてバタバタしてる私の鼻をキミちゃんは人差し指でツンッとつつくとこう言った。


「飛ぶわよっ」


 可愛くウインクしながら。


 私たちは手を繋いで凄い速さで飛びながら階段を下り途中の部屋の窓を突き破り外に出た。

 あの悪魔がいるんじゃ無いかと、心と身体が一瞬にして震えたが、キミちゃんに伝える間もなく外に飛び出してしまった。


 しかし、あの悪魔はいなかった。


 あぁ...やっといつもの夢のようになった。

 私は心の中で安堵した。


「のぞみん!一気にカタをつけましょう!」


 そう言うと

 キミちゃんは、私が剣を握っている上から、手を覆い被さるように重ね、1本の剣を二人で構え、空へ向けて掲げた。

 キミちゃんの手の温もりが伝わってくる。


 2人の気持ちが1つなら...っ!!

 私たちは...なんにだって...



 負けない!!!!!



 私たちは叫んだ!!

 いつも怖い夢の終わりは

 2人で決めた合言葉を、手を繋いで叫ぶんだ!

 一緒に!!!!


「何があってもまた一緒!!!!!!」


 2人の手が光、その光は剣へと伝わり

 剣全体が黄金に輝き、その光は2人の身体にも伝わり全体を包んでいく。


 光は四方八方、全方位に飛び散り、眩い光の線が2人の姿を見えなくしてしまう。


 飛び散る光の線は、悪魔の城を溶かして行く。

 悪魔が中から沢山出てきたが、光の放射を浴び体が煙のようになり

 その姿は透明になり存在がなくなっていく。。。


 眩い光の中は真っ白な世界だ。


 そこで、キミちゃんは私に微笑みながら


「また、明日ね...」


 と言ってくれる。


 私は


「うん!」


 と笑顔でいつも答えるんだ。


 いつものやり取り、いつもの終わり方。

 私たちはずっと友達。

 いつも、ありがとう。キミちゃん。。。

 なんて恥ずかしくて直接は言えない。

 キミちゃんも同じ気持ちだと、、、いいなぁ。。。


 眩い光が目の前のキミちゃんすら見えなくしてしまう。

 手の温もりが薄れ、目を閉じて、、、

 そして目が覚める。いつも。。。


「いつも、ありがとう、、、」


 全てが真っ白な時、キミちゃんのその言葉が聞こえた。


 私の目からは、涙が一瞬にしてこぼれた。

 そして私の目から頬をつたい、涙が真っ白い世界にこぼれ落ちた


 その時


 バリンッと何も見えない筈の眩い世界に、真っ黒い恐ろしい顔をした、あの悪魔が何も無いところに、窓ガラスがあったかの如く


 それを割って、この2人の白い世界へ入って来たのだ。

 手はまだキミちゃんと繋がっている感覚はあるが、光ですぐ隣すら見えないのに、目の前にはアイツが居て中に入って来ようとしている。


 私は頭が何も考えてくれなくなって、ただキミちゃんの手を強く握る事しか出来なかったのだ。

 また。


 突然キミちゃんの手の力が無くなってしまった。

 私は慌ててキミちゃんの方を見た。


 光は消えていた。

 そう、私、1人では眩い光なんて何処からも出て来ない。


 うなだれている、キミちゃんの胸には、あの槍が刺さっていた。


 もう、、、嫌、なの。こんな、こ、、、と、、、、。


 泣くことさえ考えられないくらい、私は狼狽し、

 感情を出すことさえ分からなくなった。


 なんで、こんな事、、、するのよ。。。。


 涙が、また頬を伝った。。。






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