再会
隣に人の気配を感じて、目を開ける。
隣では、彼女が気持ちよさそうに眠っていた。
「カナっ」
叫んだ自分の声で目を覚ます。
隣にカナはいない。
「大丈夫、リョウちゃん?」
ここは入院してた自分の病室だ。
ベットサイドの折りたたみイスに、見知らぬ女が座っていた。
少し下がり気味の目元に、厚めの口唇、知らないような、だけど、知ってるような顔…。
リョウちゃんと俺を気安く呼ぶってことは…
「チエ、か?」
「ぴんぽ〜んっ。
よくわかったね」
にっこりと笑う顔は昔の面影を残してる。
「久しぶりだな」
会うのは、何年振りになるだろうか…従妹の茅江だった。
「びっくりしたよ、入院中に倒れたっていうから…」
そう、俺はあの時、俺に笑顔を見せて、立ち去ろうとした彼女−香奈恵を追い掛けようとして、激痛に襲われ、倒れた…らしい。
記憶が曖昧で、なんとなくだが、そんな記憶がある。
カナをみたのも、夢だったのかも知れない。
とにかく、俺は屋上に倒れていたらしい。
昔と変わらず、明るく気さくな従妹は楽しそうに、話してくれた。
チエは、ちょうどこの辺りで暮らしていて、遠方で来れない俺の家族の代わりに来てくれたらしい。
「悪かったな…迷惑かけて」
俺があらためて、礼を言うと、目があったチエは至極慌てたそぶりで、オーバーに『大丈夫だよ』と首をふった。
チエは俺の母親の妹の娘で、夏休みや冬休み、長期休みには、必ずと言っていいくらいうちに遊びにきていた。
それも学生時代の話で、もう何年も会ってなかった。
子供だった頃の記憶しかないから、すっかり『女』になったチエを見るのは、不思議な気分だ。
「キレイになったな」
素直にそう言うと、チエはただでさえ大きめな瞳を更に大きくして、一瞬、俺を見たかと思ったら、みるみる真っ赤になった。
俺は思わず、吹き出す。
「信じらんないっ」チエは叫んで、病室から出ていった。
怒らせたか。ちょっと反省しながらも、俺は笑いを押さえきれず、傷の痛みを堪えながら、笑った。
なかなかいろんなものが決まらなくて、アップが遅くなりました。
再会…それは、チエとの再会です(^^;
なんだかすごく長くなりそうな気がしますが、お付き合い頂ければ、HAPPY(*^▽^*)/です。