月の導き3
短いです。ってどのはなしも短いですけど
ミツキにはもともと『力 』それは、本来ならば人が持ってはいけないちから、持てるはずのないちから、その名も『呪力』
ミツキにとってしまえば、それはまさしく『呪い』の力であった。
その実、呪力、正しくいうのであれば、『呪いを受けたものが宿す力』というのが正しい解答である。ミツキがその事に気づいたのは、本当に最近の話だった……わけではない。記憶がないためはっきりはしないが、おそらく生まれたときから、自分が呪いにかかっており、それにより強大な力を得ていることを理解していただろう。
『呪力』の強さは、宿す呪いの、強さ、悪質さによって等比級数的に増加していく。これから考えれば、ミツキがいかに強力な力を持っているか分かる。
他人とは全く違う思想
他人に本能的に好かれない
これらは、ミツキのもつ、呪いによって引き起こされたものの一部である。
回りの人間からすれば、「こいつは悪魔みたいな奴だから関わらない」という認識になるのだが、それ自体が呪いの力によって引き起こされているのである。
そして、王宮で使ったのもこの力。言葉に呪力をのせ、その言葉に強制力を持たせる。いわゆる、『言霊』
ちなみに、込める呪力によって、従わせられる何度は変わってくる。例えば、先ほど、ミツキが込めた程度の呪力で、『死ね』と言ってもそれに、強制力は生まれない。が、不可能ではない。ただ、もっと呪力を込めればいいだけの話なのだ。
本来ならば、度外視の量の呪力を使う『死の言霊』しかし、ミツキの膨大な呪力は、それを可能とした。なぜ分かるか?それは、使ったことがあるからだ。
それと、もうひとつ、その強制力に関するものでもうひとつある。ミツキは、それを『格』と呼んだ。意味はまさしくその通り。その人間の格が高ければ高いほど呪力に抗う力が強くなる。
王宮のものたちが、たった一言のたった一回の言葉で、あれほどの効力があったというのは、つまり、そういうことだ。
自我があればいい。しかし、赤ちゃんにそれを求めるのは酷なことだ。
赤ちゃんの頃のミツキは無意識の状態でこの力を使ってしまっていた。無論、呪力の使い方は言霊だけではないのだが、それでも影響はすさまじかった。
ゆえにミツキは呼ばれたのだ『悪魔の子』と。前述したとおり、正しい順序は逆であるが。
王宮をでて、つまり、王都に出たミツキはまずは、宿に、それから、冒険者の建物を、先ほど、聞いた情報を元に向かった。
そう、この世界には、冒険者がいる。
魔王がいる。それに仕える悪魔がいる。そして、魔物がいる。
経済の中心は魔物。魔物の体が、道具となり、エネルギー源となる。つまり、稼ぐのに最も手っ取り早いのがそれを討伐する冒険者であるのだ。
ありがとうございます