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月の導き1





こういったとき、なんといっていいかわからないが、取り敢えずかっこつけてこう言っておこう。



目を開けるとそこは異世界だった。



目が覚める寸前やけに布団が固いと思ったら、昨日は屋根の上で寝たのを思い出した。落ちなくてよかった、一人ごちて目を開けると、そこに、空はなかった。


やけに明るいので、朝日が差しているのかと思ったら、それは、眩いばかりのシャンデリア、きらびやかな金属に彩られたものが放っている異様な輝きだった。

そして、聞こえた第一声


「あぁ、勇者様」


一瞬夢かと思ったが、こんな夢を見る謂れはないのですぐさまその可能性を消した。


「君は?」


「はい、私はフェタノール王国第一王女、カドラ・フェタノールと申します。いきなりで申し訳ないのですが、状況を説明させていただいてもよろしいでしょうか」


「ああ、そうしてくれるとこちらとしても助かる」


「勇者様、あーえっと」


「ミツキだ」


「はい、申し訳ありません。ミツキ様は、たった今、勇者としてこの国に、いえ、この世界に召喚されました」


ほう、と心で言っただけで、表情に驚きは出さなかった、自分が何かしらの円のなかにいること、周りに人が倒れていて、なにやら魔法使いっぽい格好をしていることから容易に想像はできたことだ。


「それで、僕に何かしらの、使命があたえられるのかな?」


「よ、よくお分かりで。まさにその通りでございます。詳しくは父からお聞きになると思いますので、私が報告しに行っている間しばし、お休みください」


その途端、侍女と思われる格好をした女性たちが、ミツキの前にやって来た。


「勇者様、ご案内いたします」


「ああ、ありがとうございます。それと、出来れば勇者様はやめてくれ、ミツキでいい 」


「かしこまりました。では、ミツキ様と、呼ばせていただきます」


「ああ、頼む。他の人にも、そう伝えておいてくれ」







ミツキが案内されたのは、普通の部屋だった。そう、普通の部屋だった。王宮であろうここにはふさわしくない、どこにでもある狭い部屋だった。ミツキが不思議そうな顔で侍女を見ると


「勇者様方は、豪華なお部屋ですと落ち着かないとおおせられる方が多いのです。お気に召しませんでしたか?」


「いえ、大丈夫です」


「では、後程お呼びしますのでごゆっくり」


そう言って部屋からでていく。しかし、さらっと言われた『勇者様方は~』には、ちょっと驚いた。手際のよさから初めてではないとは思っていたけど、ここまではっきり言われるとは思っていなかったのだ。


ちなみに、準備がよいというのは、ミツキの部屋にところ狭しと集められたこの世界のことについてっぽそうな本たちのことである。まずは情報か、と呼び出しまでの時間潰しを読書に費やすことに、ミツキは決めた。





それから、どれだけ時間がたっただろうか、不意にーーあまりにも読書に集中していたためにミツキにはそう聞こえたーー扉がたたかれた。


「失礼いたします。父の準備が整いました」


呼んだのは、第一王女さんだった。


「ああ、すまない。すぐにいくよ」


そう言って、すぐに扉へと向かった。王のいるところにいる間も王女さんは頻繁に話しかけてきた。


「何をしていらしたんですか?」


「本を読んでいたんだ、あれは、そのためにおいてあるんだろ?」


「ええ、まぁ。ですが珍しいですね。皆様普通は、睡眠をとりになるのですが」


「まぁ、召喚されたとき寝ていたからね.眠くはないんだ、幸い」


「そうですか、と、着きました。ここです」



入った先の大きな椅子に一人男が座っていた。王冠をしている辺りこの男が王様ということで間違いないのであろう。申し訳程度に生やされた髭と白髪が相まってなんとも王様らしいふうぼうである。


「カドラ、案内ご苦労」


声も、野太く真の通った声だった。そこに、甲高いうっとおしい声が響く


「王の御前であるぞ、ええい、頭が高い」


見るとはじにいるおっさんが声をあらげている、ふくよかな体に汚ならしい顔、あまりに不愉快だったので、無視するはずが返答してしまった








「断る」


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