3話
いよいよ、盛り上がってきますよ
どうやら、あの程度のレベルの敵ならヘヴァ一人で…いや、あれ程の力だ、消耗も激しいはず…やはり俺たちも全力でやる他…
カキンッ!ドスッ!
何だ?後ろか…そう振り向いた瞬間、一人の敵兵が地面に倒れこむ。遅れて剣が地面に…
「おいおい…アイン。…集中しろ。」
シエルからの忠告に頷きつつ自陣に目を向けると一点の光が。
「助かったよ…ソーマ、カノン。」
俺に奇襲をかけた敵兵を狙撃してくれたらしい。やはり、背後がガッチリしていると安心できる。
しかし、油断は禁物だ。あの二人の負担もできるだけ減らさないと。
「ふっ…面白いな。」
突如聞こえたその一言。体中の毛が逆立つ程の戦慄、なんだ、どこから…。
グラディウスが敵軍の方を指差す。
あっちの方から感じる、形容し難いこの感じ…なんだ…
「思ったよりも、敵の規模はデカそうだな。」
「…」
俺が黙っていたからか、グラディウスはアイルーロスの方へ行ってしまった。
本当に勝てるのか…?そう考えざるを得ない悪寒を与えたあの一言。
ちっ、こんな事を考えている暇は無い、一人でも敵を。
上空から空気を切り裂く音。咄嗟に剣を構えたその瞬間に目の前に剣撃が迫る。
「…お前がさっきの…?」
「…違うわよ。」
剣をさばき、一旦距離をとる。
「私はケイニー、まぁ、あなた達の敵のNo.3とでも言っておこうかしら。」
「おいおい、勝手にNo.3を名乗るのは気に入らないね。」ちっまた後ろ…
「ガタガタとよく喋る連中だな。」ヘヴァが後ろからの一撃をさばき、俺に背を預ける。
「お前らの名前なんて聞いてないんだよ…敵だって言うだけで、ただの討伐対象だ。」
「ふっ…名前くらい名乗らせてくれよ…」
金属音の後、その男の姿が、剣を振り切った体勢で目の前に映る。なんだ、何が起こった?さっきまでヘヴァの方にいたはず。今の一瞬でヘヴァに攻撃をしたのだとしたらこいつ、とんでもなく速い…。
「どうやら、俺じゃ分が悪いようだ、シエル、変われ。…ふぅ、やっと出番かぁ。」
髪と瞳の色が変わった。
成る程、素早い敵には大剣使いであるヘヴァよりも、片手剣使いのシエルの方が相性がいい。
シエルの持っている大剣が、片手剣に変化する。
さっきの声の主、まずこいつらを倒してから確かめるか。
今回も楽しく書き上げました。