塵は大事
こんにちは"大魔王"モントです。
桃源郷の入り口を掘り起こす作業の合間に、小休止を挟んだところ、気が付けばこの様な称号が手に入っている"大魔王"モントです。
部下といえる働いている人数が、見える範囲で二人、いや、一人と一匹?しかいない"大魔王"モントです。
文字ありTシャツを身に着け、所々破れているジーンズを穿き、浜茶屋とかで売ってそうな安物のビニール製品的なサンダル姿で、威厳もへったくれもない衣装の"大魔王"モントです。
そして、そんな恰好で行っている事といえば、以前OTORIYOSEで取り寄せた剣スコを使って、アイドルなのに農家やってる方たちにはとうてい及ばないレベルな動作で、桃源郷の入り口を掘り当てようとしている"大魔王"モントです。
何?大魔王も農家やっていいの?
………。
正直な話、客観的にいろんな角度から冷静に自身の状況を観察したとしても、どこに"大魔王"としての要素があるのか問いたい、問い詰めたい。小一時間どころか小一年かかろうが問い詰めたい。
ただ単純に"大魔王"ってつけてみたかっただろう?と
そもそも、こんな見た目な恰好では威厳もへったくれもないぞ?正直"だいまおう(笑)"とした方が正しいんじゃね?
それぐらいの客観的な感想を自分自身にさえ下せてしまうぐらいとても冷静に考えてしまうよ?
とまぁ、そんなファミリー連れが来ている牛丼屋的な要素はさておき、そんな称号が獲得したという疑問を、これまた小休止に手を止めていたディアーナへと愚痴ともいえる言葉を交わしてみたら、
「マイスターは、この地の魔力その物を使われていますし、この地すべてを掌握していると言えるのではないでしょうか?」
あ、そう、なるほど。
そういう解釈の仕方もあるのね。それなら納得・・・できるか!!
どうしてそんな自分の理解を斜め上すぎる回答だしてくるの?あと、その何か特別なすごい物を見るかの様な輝いた視線を投げかけるのやめような。久しぶりだよ?それ
そもそも、それってあなた(ディアーナ)の理想を熨斗付けて叩きつけてくる回答じゃないかな?
というか「当り前ですね」という風な、しかも鼻息がフフンと出てきそうな表情で説明をし始めようとしなくていいです、なんか最後に「さすがです!」とかつきそうですし・・・
で、そんな問答を行っている時でもホネッコは我関せずで掘り返しを再開してるし・・・フリーダムだなおい。
ホントお前ぶれないのな。
本当に"狼としての矜持"とやらはどこに投げ捨てた?沸いて出てくる溶岩の中か?それともケ何とかさんに舐めとられたか?
あぁ、それなら涎まみれになってそうだよな・・・戻ってきてもいらないわな・・・
*****
そんな小会議を終わらせて、結局"どうでもいいや"という結論を早々に着けて作業を再開。
問答やってても桃源郷の入り口が出てくる訳じゃありませんしね。ここは議題を棚上げにしたとかいう訳では無く、優先順位をどうでも良いという区分へとしただけである。
そうして静かな海とでもいえる世界で堀りつづける事幾日、見渡す限りの白と黒と灰色の世界の中に、ようやく見覚えのある青い色が、つまりビーチといわれる空間が少しだけみえ初めて来た。
ようやくね向こう側が見えたんですよ。向こう側が。
そりゃね、蒼く輝く空というのが、漆黒の空間の中に見え始めてくりゃ、士気(本人のみ)が上がるに決まっています。
だがしかし、ここで焦ってはいけない、今までの経験上何かしらあるかもしれない。
そう、慎重に慎重を重ねておけば、何かしらの予期せぬ事態が発生しても問題ないはずである。
という事でお願いしますぜ?神様仏様。何事も起こさないでくださいよ?いや、"大魔王"が願うのも可笑しいかもしれないが…
………
結論から言うと、特に無かった。
いや、見え出した途中の隙間から、手を突っ込もうとしたが入れる事も出来ずに壁状態であったというのはあったが、以前どれほど頑丈なのかと実験していたから、まだ半分以上積み上げられた土積が邪魔していると解るし、念のためにと全体像が見えるまではこんな状況だとは思っていた。
が、今までの経験上、絶対何かあると思って構えていたのだが、意外と何事もなく全体像が拝める状況だったので、なんというか拍子抜けといった所であり・・・
いや、まぁ、いいか。
そこは神様仏様にも願ったし、さすがに通じたのかね。
ならば、本当にありがとうと、心の底から感謝を述べておくべきだな…
ほんとうにありがとうございました。パンパン
っと、桃源郷の入り口に向かって手を合わせて拝み倒していたら
「主殿?」
「何かありましたか?マイスター?」
そんな行動が目についたのか、一人と一匹が不意に声をかけてきた事に我を取り戻した。
おおう、ここで何時までも拝んでいる場合ではない、さっそくさっそく桃源郷へ行こうではなかろうか
「とりあえず・・・入って休憩しようか・・・」
そう一人と一匹につたえ、その砂浜へと勢いよく第一歩を踏み出そうと・・・
(ゴン
アウチ…右手が突き指状態になったじゃないか…ちょっと痛い…
というか、まるで何か、拒まれるかの様に入れない?ホワイ?
こ、こういう時は落ち着いて状況の指さし確認だ。
土砂よーし
ひび割れなーし
えーっと、他には…特にない・・・よな?
もしかして後も?と、思い立ったは吉日とばかりに一人と一匹も総動員し、突貫工事的に背面も綺麗に除去する。
ふぅこれでよし。見事に綺麗に除去できております。我ながら自画自賛できてしまうレベルですぜ。
よし、それではもう一度!!さぁ、桃源郷よ!!
(ゴゴンッ
イッツゥぅ……頭と足に響くこの痛さは……
勢いよく飛び込もうとした矢先に、脳天に響く痛み…何で?ホワイ?
もう見えてるのよ?すぐそこに自分にとっての大事な桃源郷が!見えてるのよ!?何で!?何で入れないの!?
もう何がなんだかわからず、超音波モードでガンガンと叩いたりするもまったく歯が立たず・・・もうね・・
「何で入れないんだよ!コンチクショウ!」
目の前に広がる桃源郷が映し出される壁にもたれかかる様にへたり込み、もうこの世の絶望というのを一身に受けているとでもいうのだろうか、もうね・・・どう表現すればいいのか解らない、考えれない・・・
そんな時、
「マイスター、あの・・・以前、この様な物を回収しておいたのですが・・・その・・・」
と、ディアーナから渡されたのは、以前切り取りそういや無造作にどこやったっけかと忘れていた試用チケットの半券という代物だった。
茫然自失とでもいう状況になりながらも、その手渡されたその半券を受取り、
そうそう、このチケットを破ってでたんだよね・・・
と、懐かしく思い出しながらひっくり返して裏側を見ると、いままで見たことも無かった文字が浮かび上がっていた。
試用期間:残り 0時間
首だけ振り返って海岸が映し出されている壁を視、再度半券を確認し、ホネッコを視、ディアーナを視、空を見
・・・
・・
・
「・・・先に、書いとけよぉぉぉぁお!!」
「マ、マイスター!落ち着いてください!!マイスター!!」
〇様「作業中に何も起きなかったよね」
×様「うむ、何も起きなかった」
〇様「では、我々の責任ではないね」
×様「ないね」
〇お試しチケットを
ダンジョン"内"で使用した場合:期限が迫るとダンジョンのシステムに連動して警告表示されます
ダンジョン"外"で使用した場合:管理があやふやな状況となり、システム側からの警告表示対象外になっていた ←コレ
また、(それなりの)課ポイントで正式な利用が可能となります。




