原因調査は大事
目の前に起きている色々な事に関して、"何がどうなってこうなった。"という思考が全然追いついてくれない。そんな時は解っている事を一つ一つ整理するのが重要である。
という話があったはず。きっと、たぶん。
ならば、まずは解っている事を挙げていくのが定番だろう。
その1
三頭の狼砂まみれにというか、砂に埋もれかけてる状態である。
その2
でっかい柱というか煙とでもいうべきものが、天高く舞い上がっている。
その3
そして、回りには、岩やら石やらが降り注いでいる。
以上の事から、導き出される内容、それは・・・・・・何がおこったの?
いや、だから解らないってこれ!得られる情報少なすぎる!
こんな少ない情報から回答が得られるなんて、真実はいつも一つとかいってて、大人を麻酔漬けにしてる見た目子供の中身あぶない人ぐらいじゃないかな!?こっちはさっぱり真実なんてわかんないよ!
こうなってくると現物を確認しにいくしかない、百聞は一見にしかずっていうしね。いや、この場合ちがうか?まぁいいや。
それに丁度いい具合にあの三頭のケ何とかさんはさっきからピクリとしか動かない状態だし、ふりかかる火の粉というか、降りかかる岩石砂塵を振り払うのは間違ってはいないだろうし・・・生きてるよね?大丈夫だよ・・・ね?うーん・・・
なんというか、このまま放置しておくのは何かこう忍びないというか、そんな気になるぐらいにピクピクとその体がたまに反応している、とはいえ、いつまた起き上がって襲ってくるか解らない。
武士の情け?いや違うな、あのモフリ成分を大量に摂取できる希少な存在をどうしたものだろうか・・・
とまぁ深く考えてても仕方ない。とりあえず屋根になるウォールをかぶせてみて、その大きな体に伸し掛かっていた岩を、ディアーナにさっさと退かしてもらって・・・あとは・・・
ほら、自分が作るウォールの魔法って、その場所から移動させる事が出来ないんですよね、けれども意外にもかなり頑丈である事も解っているし、という事で動きにくい様に要所要所に包む様に構築しては固定していき、拘束具の代わりとして使ってみた。もし目が覚めたとしても当分は大丈夫だと思っておく。
というか、最初に襲われた時にこれで対応しておけばよかったような・・・というのは後の祭りなので忘れておきます。今度からはうまくできるはず。これ、拘束する方法には結構使えそうだし。
それよりも、目の前にはモッフモフな体毛がちょうどいぐらいのソファー的な存在として鎮座しているその姿に、こう・・・うん、動かないよね?動けないよね?いいよね?少しぐらいは・・・
「(マイスター?)」
いえ、何でもありません。
なのでその語気に何かしらの圧力を加えるのを辞めて頂けたら嬉しいかなぁ・・・。
さて、ディアーナに本格的に咎められる前に、天高くそびえ立つぐらいに昇っている・・・というか、ほとんど拡散して薄くなってきているアレがどうなっているのかを見に行きますかね。
ただね、ウォールの屋根から外には未だに一歩でもでるとかなりの勢いで降り注いでいる落石?が続いており、これがクリティカルヒット、つまりヘッドショットに陥る恐れもあるかもしれない。大変危険である。うむ。
さて、どうやって回避できるものだろうか・・・
「(先ほどの様に屋根となるウォールを通路上に構築してみたら良いのではないでしょうか?)」
何か手がなかろうかと考えてたら、ディアーナからのお導きが提示されてきました。
それはまさに、眼から鱗・・・じゃなくて、いや、気づいてたよ?本当だよ?いまからやろうとしてたんだよ?だから、そんな暖かい目を投げかけないでくれるとうれしいかなぁ・・・うん・・・。
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塵が積もりに積もっている不安定な地面に対し、これまたウォールで足場を作り、そこからさらにウォールの屋根を構築しては移動していく。壁に関しては省略しておくことで、まぁ、屋根のある露天の通路?みたいな感じで構築しては移動をひたすらに繰り返しながら煙が立ち上がる根本へと進みだす。
そうそう、ホネッコはあれからさらに砂に埋もれていたけれど、ほっとく事にしておいた。
元々死んでる存在みたいなもんだし大丈夫であろう。
それにもうしばらく漬けこんでおけば、涎もとれるだろうしね!
屋根付きの回廊?通路?みたいな感じで闘技場を後にし、煙が立ち上がった方向へと歩みだす。
歩みだす・・・んだけれども、進み歩む方向っていうのがですね、ダンジョンがある方向というのがとてもとても”嫌な予感”というのをヒシヒシと感じ始めています。
こういう悪い予感って、ハズレた事がない気がする。
いや、逆に当たった率の方が三冠王の打率すら超えそうな割合よりも高いかもしれない。
テクテクと歩く一人に付き従うかのようにフワフワとついてくる一人の合計二人が、現場に到達するのにはそう時間がかかる物でもなく、その状況が起きている手前で足止めをしながら通路から眺める格好になるのですが、
その・・・ですね・・・その現場に見えている内容というのがですね・・・
ちょっとまってね・・・理解に頭が付いていけてないから・・・
まず、大きな窪地が新たに出来ております。
その窪地はすり鉢状や円形状というよりも、直線状とでもいうのだろうか、やや壁が残るV溝にした形とでもいうのだろうか。
つぎに、その窪地の底面には赤熱した液体が存在しています。
その赤熱している液体は、クレーター側の崩落している箇所から徐々にその外へと流れ込んでいる状態であります。
これはあれだね、これってニュースとかドキュメンタリーで見た奴だね。
ほら、固まりながらも次から次へとあぶれては流れ込む形のあんな感じ?とでもいうのだろう。
さらに、その漏れ出している大元の場所となる溶岩の中に、先ほどから残っている壁から氷柱もどきが沸いては突き刺さり、突き刺さっては消え、消えたとおもったら再度氷柱が刺さりを繰り返し続けています。
そのお蔭か、その赤熱している液体上部はゆらゆらと向こう側が揺れて・・・って、これ、陽炎という奴じゃぁないかなぁ・・・
さらにさらに、えーっと、ダンジョンの入り口・・・どこ・・・かな?
目印になっていたはずの回転する月の石たちもどこにいったのやら見当たりません。
溶岩流が発生している陽炎の奥に重厚扉が見えてはいるので、うん、あそこらへんが通路かな?というのは何とな~くわかるのだが・・・今まで開いていた入口穴が見当たらない。
いや、たぶん堆積している中で、不自然に凹んでいる所だろうなとは思うけれど・・・
・・・
これらの得られた情報をまとめ、その内容から推測した結果、ある一つの原因に思い当たるが、いや、それはあくまでも仮定であって認めたくない何とかって奴が、誰しも一つや二つはありますよね?
そういう時は、さっきできなかったケ何とかさんの体毛に埋もれて、こう精神的なケアというのを優先し
「(噴火した土石で埋もれてしまっていますね・・・)」
そこ!直視したくない現実というものがあるの解って!おねがい!!
〇ケ何とかさんを伸した一撃
予想外な高さまで構築したウォールにぶつかり、
落下してきた噴火で吹き飛んだ天板岩の一つ
〇回転する月の石たちの現状
一部は埋もれています。
一部は吹き飛ばされて離れた場所にいます。
一部は吹き飛ばされて別の重力に引かれています。




