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だんじょん・テラフォーミング  作者: zaq2
STAGE:1
48/59

戦いは大事

 戦いの開始というものは、何かしらの合図で始まるものかもしれない。



 自分とケ何とかさんとの間にディアーナが浮遊しながら進み出た後、「(行きます)」と小さく呟いた時にその戦端は開いたのだろう。


 呟いた後にはホネッコをその口から口へとハムハムしていたケ何とかさんの中央顔正面に突如としてその姿をあらわし、その掲げた右手のひらをそのまま右から左へと勢いよく運んぶと、その見えない巨大な手というべき物にケ何とかさんはその体をまるで摩擦の存在など介在していないかの様に壁に叩きつけられては、その場に佇んでいた。


 その壁に叩きつけられた衝撃は、確かに地面揺らすほどの威力という物だったはずなのだが、ケ何とかさんの方としてみれば驚きこそあれ、ただそれだけであるという風であり、その場に倒れこむ素振りを見せなかった。


 ただ、その吹き飛ばされる道中の起点となる場所には、ホネッコがその口から吐き出される形で床へと放り出されてあり、遠目にも粘性の高い液体でその身を包みながらもその存在を強調していた。



 先ほどの平手での行為、それはホネッコを吐き出させるためにあえて狙っていたのかもしれない。



 飛ばされたケ何とかさんは、先ほどの一手を放ったディアーナを敵と認識したのか、ゆるりと姿勢を正すと同時に戦闘状態へと変貌させており、その体躯がもつ三つの頭についている二つの眼、つまり合計六つの瞳に敵愾心を浮かべ其々が威嚇の咆哮をディアーナへと叩きつけるかの様に吠えていた。


 いや、吠えたとしてもこの環境下では声は音として伝わらない。

 少なくとも自分はそう頭では認識はしていたのだが、その気迫は聞こえていないにもかかわらず感情からは聞こえたと認識させるには十分であった。



 そんな咆哮すらどこ吹く風といったディアーナは、いつもの様に浮いている空中にて、まるでそこには大地が存在しているかの様に腰だめに拳を作り上げた後、ケ何とかさんへと向かう。

 いや、向かうという言葉は正しくないかもしれない、正しくいうのならば跳躍とでもいうのだろうか、気が付いたらケ何とかさんの眼前に現れていたのだ。



 一瞬、眼前に現れたディアーナに驚いたケ何とかさんだったのだろうが、構えた拳が振り下ろされようとされる刹那、そのまま前足を支点として体を左回転するかの様に避けたかと思えば、中央の頭へは振り下ろされた拳状態のディアーナに対して、そのまま回転して右側頭がディアーナへと噛み付こうとその牙を剥ける。


 その襲い掛かる牙に対して、勢いがついているのか止まれないと思ったのか、ディアーナはその場から消え・・・否、その上から振り下ろしている動作の勢いのまま、相手の下部へと潜り込むかのように移動し、その襲い掛かってくる牙から逃れると同時に左側へと現れ、そのケ何とかさんのモフモフがすごそうな胴体へと反対の拳で一撃をいれていた。



 一撃をいれた瞬間、ケ何とかさんの体はへの字の様な感じになったのだろうか、その威力が殺される事もなくその威力を相殺するかの様に、最初に立っていた場所よりも離れた場所へと移動をよぎなくされている形ともいえた。

 しかし、耐性はそのままで、四足はしっかりと地面をとらえたまま移動する分だけの距離にその爪痕をしっかりと残していた。




 それがほんの一瞬の出来事だったために、自分としては何が起こったのかが頭の中での処理が間に合っておらず、ただただ眺める事しかできなかったのだが、


「(マイスター!今のうちにライカを!)」

「(お、おぅ)」


 思考と身体が、今、目の前で繰り広げられているという状況にまったく追いつけずにほぼ停止していたのだが、ディアーナから投げかけられた言葉で、ようやく再起動がかかり動き出せれたのだったが、 あの粘性の高い液体で包まれたホネッコを回収しなくてはならないわけで・・・


 その回収対象となっているホネッコの方といえば、何かしら恍惚な表情とでもいう表情で、惚けているというか、こう・・・いや、もういいや・・・


 そんなホネッコを、二人が遠くで戦っている領域を避けつつ、ゲートを作りその中へと蹴り込んでそのまま舞台の隅へと放り出して回収を行う、倉庫にあった大量の廃材となっていた砂に埋めておいた。


 こうしておけばあの粘っこいアレも砂に吸収されて何とかなるだろうと・・・何とかなるよね?何とかなってほしいかな・・・



 などと行動を行っていた最中にも、地揺れと共に地響きが何度となく起きている状況が続いていた。




 地響きが発生している方向に視線を向けると、そこに繰り広げられていたのはディアーナが優勢だと思っていたのだが、予想外にもケ何とかさんと拮抗した戦いだった。



******

 ディアーナの跳躍付きの近接戦闘が発生すると、ケ何とかさんはまるで解っていたかの様に態勢をすばやく現れた先へと立て直し迎撃する為に咆哮らしき何かを発していた。

 その行動に驚いたのかの表情をしながら、跳躍ではなく防御姿勢をとったディアーナが今度は飛ばされており、その余波で周囲の建造物と共に傷をつけていた。


 今度はケ何とかさんがディアーナに向かいその大きな爪を振り下ろすが、ディアーナは防ぐより避ける事にしたのか、その場から跳躍して距離をとりディアーナが居なくなったその場所の床面には、突如として振動と共に六つの爪傷が発生していた。



 えっ?実際の爪の本数以上の傷痕って、どうなってんの?



 その状況にもかかわらず、すかさずディアーナはケ何とかさんの頭上に現れたかと思えば、真下へ拳を振り降ろす。が、ケ何とかさんはまるで解っていたかの様に、振り下ろされる拳が当たる前にその場から素早く回避していた。

 そして、そのケ何とかさんがいた後には、これまた大きな振動と共に目に見えない巨大な拳が振り下ろされたのか、まるで隕石が衝突した時の様な凹みを形成していた。


 その凹みが発生したかと思えば、すかさずケ何とかさんの牙がディアーナへと迫るが、その迫る牙をまたもや跳躍で避け・・・た先にに、ケ何とかさんの後ろ足が迫るのを、両手を交差させて防ぐディアーナ。



 受けたディアーナの装備品に爪傷を残す恰好となってはいたが、それでも勢いを殺す事はできなかったのか、しかしその離されるディアーナに目がけて、ケ何とかさんは姿勢を無理にでも切り替えるかの如く追撃するために前足の爪で襲い掛かるが、それに気が付いたのかこんどは跳躍で距離を取るディアーナ。



 そうして、お互いが攻防を繰り返すが、致命的な打撃を与える事もままならない状況が繰り広げられており、一定の距離が離れたらお互いの挙動を警戒する為に再び睨み合う恰好になっていた。








 えーっと・・・だがら何なのさ、この状況・・・





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