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だんじょん・テラフォーミング  作者: zaq2
STAGE:1
42/59

流用は大事

 喋るという行為にだいぶ慣れてはきたが、一向にしゃがれ声が治る気配が無い。

 そもそも、魔力を使って行っているというお話であるため、それならばいっそのこと発声という行為ではなく、魔力そのもので形成するという使い方から変えてみるべきであろうかと思い立つ。


 まず、こういう実験的なものというのならば、材質違いとかで色々試してみて調べたりするものが通説だと思えるので、ならば今は膜みたいな状態という物を使っているので、それを変える格好にしていけばよいのだろう。という安易な思い付きのまま、まず膜の厚さはそのままとして、やわらかさを変更してみようといった所で始めていく。



 最初は「柔らかい」意識で行ってみる……と、余計にガラガラ声になってしまった。 しかも、とてつもなく酷い。最初のころより余計に聞こえにくいという状況になってしまっていった。ううむ、こっちではないか。

 ならば逆か?と、今度は「堅く」と意識して行ってみると、今度は声が出ねぇ・・・こりゃやり過ぎたのかよくわからないが、この堅さを徐々に柔らかくしていくと、しゃがれ声でもなくふつうの声が出たと思ったら再びしゃがれ声になる。

 つまり、柔らかさによってはっきりきこえるかどうかとなるのか。ふむ、なるほど。


 そうと分かれば、このしゃがれ声に切替わるかどうかの所を狙って調整すれば良い訳という事かな?という事で、さっそくアーという声による調整を開始し、しばらく声を出し続けてようやくしゃがれ声から解放された。

 ようやく思った場所に合わせれる様になるには、どれくらい時間がかかったのやらは考えないでおくが、なにせ結構微妙な点の合わせこみとか、アナログ的要素で感覚をつかむことの難しい事難しいこと・・・


 さて、お次はこの膜の「厚さ」を変えてみたらどうなるのか?という興味が出てきたので、一緒に確認もかねて行ってみると、柔らかさはそのままに声をだしながら厚みをさらに薄くしたり、逆に厚くしたりしてみる実験をしていくと、


 結論からいうと 薄くすると低くなる形になり、厚くすると高くなるという感じだった。


 基準となる部分はあまり変えられないため声真似みたいな事は出来なかったが、かなりの幅の融通が利くとこは解った。

 結構いじれるものだなぁと自分の肉体に対して感心というか、人間やめちゃってる体だしいまさら感もあったりす・・・

 あっそうだ、辞めちゃってる確認もできたついでに、ちょっと試してみるか。



*****

 ここは地表の石切り場にしているクレーターの底。

 隣には勝手に付いて来たにもかかわらず、うたた寝をし始めたフリーダムなライカはほっとくとして、ディアーナを連れ立ってこの場に訪れております。


 もちろん、この地表世界においては相変わらず口から声を発しようとしても空気が無いので音声にはなりません。当たり前です。必要な成分がありませんからね。


 さて、まずは「ぱーぱーぱららららぱーぱー♪」というEとかTとかついた地球外生命体が登場するBGMを脳内に流しながら人差し指に強化魔法のごとく意識を集中してみます。してみます。

 感覚的には、うん、なんかいけそうな気がする。


 何をしているかというと集中した指先に、身体強化魔法をかけるかの様に、声の発生する膜を形成するというところでしょうか。実際には目に見えないから、できてるかどうかは感覚でしかわからないのだが。


 で、この状態からディアーナをおいでおいでと呼び寄せて、その頭部に軽く指をあてて・・・その指先から、それは小さく言葉を放ってみます。


「(アーアー、マイクテスッ、ワン、ツー)」(指先から発生

「(き、聞こえます!!マイスター!!!)」(脳内に直接


 よし、これは成功。

 ディアーナはいうと、驚きという表情をしながらお答えしてもらっていますが、そりゃそうなるよね。

 実際やる方からしてみてもこれ気持ち悪いだろうなぁとは思うよ。

 もしかしたら指先から発声用の膜みたいな感じのものとして作れて、振動で声伝えれるんじゃないかなぁ~という感覚だったが、少し冷静になってみると、これって妖怪とか怪異とか、そういう存在レベルに片足以上つっこんでそうだなとちょっと凹んだが、まぁいい。これもファンタジーなんだし


 とりあえずは、物理的な伝導を使用したお肌の触れ合い会話は可能という事は解った。

 で、ここからは次の段階。次こそが本命である。



***

 倉庫魔法から取り出したのは1セットの石材工具。

 過去にOTORIYOSEから取り寄せた、いまでは自分にとっての得物と化してしまっている道具群である。


 その中からタガネを右手に携えて、さらに発声を行う膜を右手てのひらそのものを強化魔法のイメージしつつ例の膜を作る様に集中し、さらに手のひらに構築した膜から聞こえない音(・・・・・・)を出してみようと意識する。


 聞こえない音(・・・・・・)は、たぶんあれだ高音域の声というやつ。厚めかつ堅めの幕で作るという感じで、なおかつちょっと魔力も多めに注入したらもしかしたらできるんじゃ?と思った次第だが、やってはみたもののなんの変化も見受けられない。

 いや、ここは使ってみて判断するべきだろうとばかりに、石切り場に切り出しておいた石材にタガネの先端を当ててみると…


 お・・・お・おおおおおおお・・・・・おおおおおおおお!!

 ナニコレ、何これ!!楽しすぎる!!


 当てるだけで面白い様に削れていくいくその感触に驚きが隠せれない。

 今までは叩いては擦って、削っては擦って、削ってを繰り返していたのに、そんな労力が嘘の様に削れていくんですよ奥さん。


 え?今どうしてるかって?あれですよ。超音波を使ったカッターを模してるんですよ。というか、今使ってるのがタガネだから超音波タガネとでもいうのだろうか?まぁ、そこは置いとくとしてだ。

 超音波による高周波の振動で刃先を振動させて切るというアレですね。それをタガネでやってるだけなんですが、それがもう面白い具合に触れるだけで削るという状況に感動すら覚えております。



 というか、なんといえばいいのか、気持ち悪いぐらい気持ちいい様に削れていくと言うのだろうか、しかもちょー楽しい。

 あかん、これ病みつきになりそう。

 会話しつづける意識を持たなきゃならない欠点はあるが、そこは鼻歌を歌ってる感覚で行っておけば苦にならないという事にも気づき、これはこれでありだわ。


 しかし、ここまで上手くいくとは思いもよらなかったが、これはもしかすると工具なしの直接手のひら全体でやっても出来るんじゃ?と思ってさっそくやってみると、これまたもう研磨道具いらず状態で表面を削れる削れる。鼻歌まじりで作業してたらスッベスベに出来ちゃう始末。


 しかも聞こえない音を調整というか、聞こえるっぽい音よりにしてみると削れる量は減るという力加減の調整もできたりとかなり重宝したし、ならばと指先に内包させる格好でゆっくり沈めて行ってみるときれいなくっきりとした穴があいたり、さらにさらにと爪先に意識すると、もうニードルみたいに細工が出来ちゃう始末……うっわ、やっべ、ほんと楽しい。







 とまぁ、いろいろ削って時間を食いつぶしながら作品作りあげ、ある程度テンションが下がってきて思った事といえば、化け物というより、妖怪石材工具?いやこれも違うな、そうだあれだ。怪人石材工具男というべきだな、これ。


 あ、これじゃ悪役だな。って、あながち間違ってもいないか・・・ダンジョンマスターだし・・・





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