睡眠は大事
話を進ませてみる。
あの表示された文字に対して、ツッコミたい衝動を抑えきれずに、電波って何さ!?電源ってどこよ!?という自分自身を納得させるためのツッコミを行ってからしばらく経過し、いま現在はというと地表へとやってきて毎度おなじみの日光浴を堪能しております。
正直いうと、あの期待させるだけさせておいて、まるで手のひらを返されたかの様にクルリと地面へと叩き落とされたという事実とでもいうのか、ま、そういった事があったから、やる気が削がれたとでもいうのか、なんかもうどうでもいいやという状況に陥っているだけです。
という事で、休憩!と大きく主張して、いつもの様に蒼い惑星が空に浮かぶ静かな光景は、心を和ませてくれると思ったんですが、さっきから静かじゃないんですけどね・・・
「(行きます!!)」
という掛け声と共に、ディアーナから投擲される石の円盤を、空中でキャッチしては戻ってくるライカ。それがだんだんエスカレートして、いまではサイコキネシス(?)も交えて3・4枚同時に投擲してたりしておりますが、一方のライカはライカで、3・4枚同時に投げられたそれらも、空中でキャッチしております。
というか、空中で向きを変えてるってどうなってるん?空中走ってるというか、三角とび?みたいな恰好で急激に方向転換してるだけともいうけど。
で、全てをキャッチされる度にディアーナはあれだ、ぐぬぬ顔?っていう奴をやっており、一方のライカはといえば、誇らしげな態度のふふん!という雰囲気で戻ってきております。
ま、それは別にいいんですけど、その砂埃まきちらすのは止めてほしかったりするんですけどね、いや、二人が楽しんでくれているなら、それを咎めるのはどうかとは思うし、と、遊んでいる側だけにウォール魔法で壁をこしらえてみております。
このウォール魔法使うと、声?もシャットアウトできるのがすごく便利ですね。
さて、こう静かな世界に慣れて考えるという事を無くすてみると眠たくなってくる訳で、そういや、"寝る"という行為って、しばらくまともに無かった様な……
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気が付い時、そこは白かった。
いや、そこが白い部屋と思っているだけなのか、それとも白いだけという感覚なのだろうか、それすらも解らないほど、白いという感覚しかないぐらい、そういう印象が最初にしかなかった。これもファンタジーの一環なのだろうか。
視線を横に向けてみると、そこには洋風だが、白色に統一された家具が置かれてあった。
その家具の一つ、というかテーブル向こう側の椅子に一人の人物が腰かけているのが視認できたが、その人物は、こちらが視線を向けた事に気付いたのか
「おはようございます。」
という女性とも男性とも解らない"声"が聞こえてきた。
声を聞くという時点で"夢である。"という認識が出てきたが、自分が横になっていた場所とはかけはなれた状況なのにも関わらず、先ほどと変わらない同じチェアであったりと、違和感がとんでもなくあったのだが、不安という感情というのはとくには芽生えてはこなかった。
「えーっと、ここは・・・?」
とにもかくにも、現状を確認するべきかと思いながら、聞いてみるも
「夢の中ですよ」
と、軽くあしらわれた感じで答えてきた。
夢の中かー、そっか夢の・・・と腕をつねって見ると、やっぱり痛いじゃないか。
本当に夢なのだろうか?いや、夢なんだろうけど・・・訳が分からない。
そんな姿をみていたのか、肩で笑っている椅子に座っている人物が目に入ったが、その人物から席を薦められ、促されるようにチェアから離れて椅子に座るのだが、どうもどこかで見た様な、知っている様な・・・だけれども、どうみても思い当たる節が無い。
「で、ここは夢の中として、あんたは?」
と再び自分の地声を確認できて、おおう、声が出せれた。ビバ夢の中!とやっぱり、声が出せれるって素晴らしいね!と感動に浸って・・・って、今はそこじゃない。
そういう事を考えていても、相手は肩で笑ったあとに律儀に回答してくれた。
「精霊・・・例えば、そうですね…夢。そう、夢の精霊とでもしておいてください。」
あからさまに、今考え付きましたよね、それ・・・
「まぁまぁ、気にしても仕方ありませんよ、夢、ですからね」
あれ?まさか読まれる方だったり・・・?
「ええ、読めますね、何せ夢ですし」
「そこは黙ってるべきでしょ?話の流れ的に・・・」
「そうですか?隠しても仕方ありませんし」
あ、そっすか
「で、いったい、あんた何者だよ・・・」
「夢の精霊です」
何か、ついさっき思いついた割に、すごく誇らしげに言ってくるんですけど・・・
「いや、それ、もういいから。で、夢の精霊さんは、自分に何の様ですか?」
「そうですね・・・ひとつ助言させて頂こうかと」
「助言・・・ね・・・」
「はい」
怪しさがスゴイのでジト目になって警戒はしてみるが、ふと、聞くだけはタダだし、聞くだけ聞いてもいいかな?という
「ありがとうございます」
「いや、だから読むなって・・・」
「いつも、読まれてるから大丈夫かと・・・」
「いや、何でそれ知ってるのよ」
「夢ですから」
「・・・はいはい・・・で、助言って?」
手っ取り早くこちらが折れる形で、とりあえず続きを聞くことにしてはみたのだが…
「では、そうですね、一つだけ」
一つだけと言われると多数ある様にも思えるんですけど、まぁ、とりあえず聞こうかと何かしらすごく神妙な面持ちという感覚があったのだが、
「あなたは、あなたのまま、今のままでいてください」
という、何というか、期待した以下の忠告が告げられてきたわけなのだが・・・
「・・・えーっと、それだけ?他には?」
「はい、これだけです。他にもありますが、不要でしょうし」
「えーっと、何かこう・・・具体的なのとか、そういうのないの?」
「ありませんね」
いや、そうきっぱり捨てきらないでいいからね・・
って、何笑ってるんですか・・・
「そろそろ、夢の時間は終わりそうですし、それぐらいでも十分かと」
と、腕を示されてから気づいたのだが、自分の腕などがこう薄らとなって・・・うわ、なんじゃこりゃ!消えてきてる!?
「ああ、目が覚める時にそういう感じになるみたいですよ」
「って、何で知ってんの!?」
「夢ですから」
「それ、もういいよ!!」
「では、また、お会いしましょう」
「って、急過ぎね?!っていうか、ちょ、待てよ!」
夢の記憶という内容は、そこで途切れていった……
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目が覚めたらいつもの蒼い惑星が空に浮かんでいるいつもの情景だった。
ちらりとウォールとは反対側を見てみると、伏せてるライカとその上に乗っかったディアーナ共に眠ってる様だった。
というか、さっきみた夢の精霊とか、結局何がしたかったんだろうか?




