箱は大事
すいません、ごめんなさい、ゆるしてください
って、違う、違う違う、落ち着け、あいまいになりつつある記憶というものをたどってみてみるに、折檻という名で剣の腹でバッシバシたたかれ、堅い石床ではなく、細かな石が散らばった床の上で正座をさせられ、こんこんと、それはもうほんとうに懇々と、ダンジョンマスターとはいかなる存在か。という事を聞かされつづけ、ちょっとだけ現実を逃避するために、せめて脳内でモフりの世界という妄想を・・・、と頭の中に自分の世界をよぎらせただけで、雑念があります。と鋭い指摘がなされ、そのたびに、
ダンジョンマスターは、ダンジョンを運営するのがお仕事です!
ダンジョンマスターは、ダンジョンを運営するのがお仕事です!
という、復唱を複数回行わなければならないレベルで認識しておかないといけない。
もし怠ると、正座をしている膝の上にサイコキネシスの重りが圧し掛かり、まさに物理的にも精神的にも重力が100というぐらいのプレッシャーを掛けていただけ
すいません、ごめんなさい、もうゆるしてください
これ以上は無理です。
それ以上、過去にふれるとフラッシュバックが発生します。
今度外に出るときは、監視でついていくという事で何とか終わりを迎える事はできたが、次、禁をやぶってしまったらどうなるか、想像もしたくないのでこの話はもうこの辺で終わりにするべきである。
おわりにしよう・・・いや、させて・・・。
気持ちを切り替えていこう。
そう、切り替えが大事、それにこれ以上のディアーナの機嫌を悪化させる訳にはいかないので、ディアーナのご機嫌取り・・・もとい、ダンジョンマスターとしてのお仕事をするのが得策なのだから。
とりあえずは、チュートリアルをこなしていけば良いでしょうし。
それでは、現在行えそうなものをピッ~クアァップ!
・チュートリアル#2-5:【魔物を10種類以上配置し徘徊させよう】
・チュートリアル#2-14:【新しいダンジョンコアルームを作ろう】
・チュートリアル#2-16:【5階層を設置しよう】
・チュートリアル#2-24:【宝箱を設置しよう】
ん?あれ?何か増えてる?
えーっと、たしか2-16はなかった様な・・・
まぁ、いいか。
お仕事、お仕事っと・・・
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そういえば、入り口にあったローリングムーンストーンズたちは、なぜかゲートもどきの魔法が扱える様になっていたらしい。
もどきといったのは、自分みたいにゲートとしてはっきりしたものでもなく、倉庫魔法みたいに、いったん格納されてから出てくるという形っぽい?ために、時間差が発生している感じというところだった。あと変わったところといえば、球体につや?みたいなテカりがあるぐらいすっべすべになってます。
摩擦とか摩耗とかそういう感じの原理とは思えないぐらいなので、まったくわかりません。何があったんだ?
ちなみに、ディアーナさんも自分らがいない間に練習して使える様になったらしいく、某100mをレール上で走るロボの加速モードに入る瞬間に視点が変わって目の前に移動してたのは、ゲート作って手前に落としたかららしい。らしい・・・うん、一応あのゲートを通っても自分は自分だったということにしておく。
結構努力したんだろうなぁと感心してると、「(マイスターとこれで同じです)」とか聞こえてきたので、すごいなぁと褒める様に頭を撫でたら、満面の笑みというのをなされておられました。つまり、もう逃げられないということなんですね、わかりました。あきらめます。
ほら、笑顔から一転して、冷めた視線をこちらに投げてこられるぐらいですし。そもそも笑顔だけで何か怖いという感じを抱いてしまっているのはなぜなんでしょうか、フシギデスネ。
さて、お仕事といってもね、どれから手を付ければいいのやら。さーっぱりです。
現状あるカードでどうにかしろという、そういう類の話なのだろうが、こちらには切れるカードすらまともに無いときている。
正直、どこかの奇策士に案を出してほしいぐらいですよ。
そもそも、こんな状況でダンジョン運営なんて出来るのだろうか。いやできない。
普通に考えたらそうだよねぇ、うん、そうだと思うよ。
と、新たに設置してある箱を視認しつつ、とりあえずそういう風な結論付けをしておきながら、端末を確認する。すると、
・チュートリアル#2-24:【宝箱を設置しよう】 クリア
・チュートリアル#2-25:【宝箱に罠をしかけよう】 クリア
という結果だった。
ふむ、一応は宝箱という認識になったか。中に宝物を設置しなくてもよかったのはこれ幸いだったかな?ついでに、次に現れたやつも同時にクリアするのは、どういう基準なのかさっぱりだわ。
でだ。目の前に置かれているのは、やや大き目な木箱。
こればっかりはDP(65P)を多めに消費して呼び出してあります。しかし、蓋の部分にはちゃんと施錠ができる仕様ですので、間違いなく宝箱の代わりになっております。しっかりと、鍵もかけましたしね。
「(それで、主殿。某はいったい何時までこの箱の中にいたらよいのでしょうか?)」
箱の中から声らしきものが聞こえてくるがきっと幻聴であろう。
逃げたことを根に持ってる訳じゃないよ?うん、根になんて持つ訳がない。決して。




