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王様にお世話されます 前編

今回も短いです。


 隊長さんを攻略したので、私は騎士団公式のペットになった。

 騎士団での生活はまるで天国だ。だって室内飼いだし、毎日ご飯がもらえるし、いつも誰かしら遊び相手になってくれる。いや、15歳とは言ってもね、体が子猫なので仕方ないのです。遊びたい盛りなのです。

 そういうわけで、生まれて初めての幸せな日々を噛みしめております!




『今日の遊び相手は誰かなぁ。何して遊ぼうかなぁ』

 これから仕事に行くというレオの腕に抱かれて、本日の飼い主のところへ向かう。

 なんと、私の世話係はシフト制になっているらしく、毎日レオに送り届けられている。さながら保育園だが、みんな仕事があるし毎日違う人と遊べるのも楽しいので、なかなか気に入っている。

「副隊長もすごいよな。国王をシフトに組み込むとか、正気の沙汰ではないんだけど」

 レオが頭上でため息を吐いているがそんなことは全く気にならない。なぜなら歩いているこの建物がいつもと違うし、そこかしこに見たこともない絵画や美術品が展示されているからだ。騎士団以外の建物は初めてだし、キラキラしててテンションが上がりまくっている。

「ミラ、くれぐれも粗相のないようにな。まぁ、陛下は副隊長ほど怖くはないから大丈夫だとは思うが。お前馬鹿だからなぁ」

『失礼な! 女の子は多少抜けているほうが可愛いし。常識だし』

 そりゃあ頭脳明晰ではないけど、みんなが言うほど間抜けじゃない。ちょっと猫よりの思考なだけで。猫歴長くて人間世界に疎いってだけで。

「ほら、着いたぞ。国王執務室」

 え、国王って……。

 レオは躊躇いなく中に入っていく。いいの? 大丈夫なの?

「じゃあ、よろしくお願いします。夕方には迎えに来るので」

 ふかふかの絨毯の上に降ろされ、レオは仕事に行ってしまった。

 室内には王様と私だけ。意味が分からない組み合わせだ。一国の王と元ノラ猫。

「ミラ」

 突然の呼び出しに体が飛び跳ねる。

「と、いうのだろう? 私はヴィクターという。正直猫の扱いには慣れていないのだが、昨日サイアスに心得を習ったので恐らく問題ない」

 副隊長に習ったの?! 大問題なんですけど!

 でも、猫相手に普通に話しかけてくるあたり、ものすごくいい人なんだろう。これなら甘えたって怒られないはずだ。

 とりあえずスキンシップだ。膝の上に乗ってしまえ。

 ふかふかの絨毯の上をてくてく歩いていくと、いまさらながら王様の容姿の特徴に気付いた。

「どうした、俺が怖いか?」

 いや、怖いっていうか……私とお揃いなんですね。初めて私以外の銀髪赤眼を見たよ。王様の少し長めの銀髪は日の光を受けてキラキラしている。私、キラキラにはめっぽう弱い。触りたくてうずうずしてしまう。

「んにゃーーぅ」

 助走をつけて王様の胸にダイブ! そして前足で銀髪にじゃれついた。

『きれいな髪だなぁ。キラキラのサラサラ! 羨ましい!』

 固まる王様をよそに、しばらく銀髪と戯れてしまった。本能って怖い。

「お前も呪われた色なんだな。大変だっただろう」

 我に返った王様に抱き上げられ、膝の上に乗せられる。私と同じ真っ赤な目が悲しげに細められるのは、なんだか嫌だった。確かに大変だったけど、今は幸せだし、王様の赤い目ももっとじっくり見たい。私の赤よりもっと深くてきれいな色なのだ。

『お揃いだけど、全部同じってわけでもないんだなぁ』

 王様の大きな手が慎重に私の頭を撫でる。撫で方で言ったらレオのほうが断然上手だけど、王様に撫でられるのも悪くない気がした。


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