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第63話

入学式とホームルームが終わった。

「あ~、長かった~。」

英が椅子に座ったまま両手を突き上げ、大きな欠伸をした。

「さあ、徹也を誘って部活に行こうぜ、和人。」

「うん、1組は先に終わったみたいだから、徹也が待ってるだろうな。」

和人の読み通り、徹也が鉄平と一緒に廊下で待っていた。

「待ちくたびれたぞ。で、どうする?鉄平は陸上部の練習を見に行くらしいけど、お前たちはサッカー部に今日から入るんだよな?」

徹也はもう『鉄平』と呼び捨てにしていた。

「そういうこと。ジャージとスパイクを持ってきているから、練習もOKってとこだ。徹也もとりあえず練習見てみない?」

英の口調は軽かった。

「ま、見るだけならな。でも最後までは見ないと思うから、途中で帰っとくぞ、英。」

「いいよ、じゃ早速行きますか?」

英が徹也に気づかれないように和人に目くばせをした。


鉄平は3人から離れ、学校から少し離れた市営の陸上競技場へ向かった。

陸上部はいつもそこで練習していることを先輩から聞いていたからだ。

手には陸上用のウエアと靴が入ったバッグを持っている。

鉄平が陸上競技場に着くと、弧を描いて準備体操をしていた陸上部員が一斉に鉄平の方を向き、どっと歓声が沸いた。

そして、その中の一人が鉄平の方へ歩み寄ってきた。

「安井君だね。俺はキャプテンの石原だ。今日から練習に参加できるんだろ?」

「は、はい。」

「部室に案内するよ。みんな君が来るのを待ってた。」

石原はにきびだらけの顔をゆがめて笑った。


和人たち3人はサッカー部が練習している第2グラウンドに着いた。

サッカー部員たちは、すでにパスの練習に入っており、大きな覇気のある声がグラウンド中に響いている。

グラウンドの周りには、和人たちと同じように見学にきた1年生の姿がちらほらと見えた。

30分ほどが過ぎると、ひときわ大きな声を出していた部員の一人がグラウンドの隅に行き、右手をあげて叫んだ。

「見学に来ている1年生、集合!」

「おいでなすった。行こうぜ、和人、徹也。」

3人は、見学に来ている他の1年生同様、その部員のところに集まった。

「・・・8,9,10,11。11人か、思ったより集まったな。3年でキャプテンの田中だ。スパイクや練習着を持ってきているやつは、今日から練習に参加していいぞ。持ってきたやついるか?」

すかさず待ってましたとばかりに、英が手を挙げた。

「俺たち3人、持ってきています!」

「おい、俺は違うぞ。」

徹也が小声で英に言ったが、田中には聞こえなかったようだ。

「おっ、関心関心。他には?」

「はい。」

髪を少し茶色に染めている生徒が手を挙げた。

「はい4人目。他には・・・いないようだな。この4人以外のやつで、今日練習を見学して入部したいと思ったら、明日からスパイクと練習着を持ってこい。えっと、それじゃあ4人は部室に案内してやる。ついて来い。」

言うが早いか、田中はすたすたと歩き出した。

「おい、何で3人て言ったんだよ。俺はスパイクなんて持ってないし、ジャージだって持ってきてないのに。」

徹也が英の腕を引っ張った。

「スパイクなら買ってきたぞ、ほら。お前サイズ26だろ。」

英がバッグから真新しいスパイクを出すと、徹也の目が点になった。

「それ・・・どういうこと?」

「誕生日プレゼントだよ。和人と折半して買ったんだ。何と6千円もしたんだぞ!おっ、キャプテンが見てる、とにかく行くぞ。」

今度は逆に英が徹也の手を引っ張った。

「うっそだろう!はめやがったな、和人までグルになって。」

和人もにやにや笑っている。

「それに何が誕生日プレゼントだ。俺の誕生日は8月4日だっていうのに。」

徹也は観念したように渋い表情でついてきた。

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