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三題噺もどき5

ピクニック

作者: 狐彪
掲載日:2026/09/24

三題噺もどき―きゅうひゃくよんじゅういち。

 




 美しい青空が広がっている。

 所々に薄い雲がベールのようにかかり、太陽は温かさだけをくれる。

 空の青はどこか涼しさを感じ、秋の訪れを告げているように思える。

「どこにするー?」

 足元には、背の低い草が広がり、どこまでも続いている。

 間を区切るように橙色の歩道が作られ、格子模様のようになっている。

 そこを走る小さな自転車や、歩く子犬たちはとても可愛らしい。

「この辺で良い?」

 広がる草原の、所々に植えられているのは大きな木。

 秋になるとこれは茶色に染まり、冬には枝を広げているばかりになる。

 歩道沿いには桜の木があり、これは春になれば桃色に染まる。

「んしょ、」

 手に持っていた荷物を、木の根元に置く。

 ごつごつとした太い根は、この木がどれだけここに根付いているかを証明しているようだ。

 今はまだ青々とした葉をたたえて居る木の影は、とても心地がいい。

「シートは?」

 座るための、レジャーシートを広げようと荷物を探したが見当たらず。

 後ろを振り返る。

 妹2人と、母と、父。

 光の反射で顔があまりよく見えない。

「持ってるじゃん」

 父の手元に、たたまれたレジャーシートを見つける。

 それを受け取り、ふわりと広げる。

 暗い影にオレンジ色の明かりがぼんやりと灯る。

 5人で座るには少々手狭だが、問題はない。いつもこれだから。

「どこに座るの」

 各々がシートの端よりに座り、母が中心にバスケットを置く。

 我が家にこんなおしゃれなバスケットがあったのかと驚いた。

 まぁ、こういうのを集めるのが好きだから持っていてもおかしくはない。

 蓋を開けると、中には昼食が詰められている。

「何作ってきたの」

 生憎私は調理には参加していないので、中身は知らない。

 母と末っ子が張り切って?作っていた。

 覗き込むと、我が家の運動会でよく見る3段の大き目な弁当箱が入っていた。

 そこはおしゃれにサンドイッチとかではないのが、家らしい。

「広げて良い?」

 弁当箱を取り出し、籠を一度端によけて置く。

 弁当の蓋を広げれば、一段目には唐揚げやトマトなどのおかず。

 二段目には、おにぎりが数種類、きっちりと詰まっている。

 三段目には、りんごやなし、ブドウなど、様々な果物がキラキラと輝いている。

「おいしそ、」

 漏れたその言葉に返すように、どこかから腹の虫が鳴いた。

 はた、と、音のありかを探すと。

 どうやら、私の腹が鳴っていたようだった。

 もう一度、確認するように、くるくると変な腹の虫が鳴る。

「…っぷ、ははww」

 自分のことなのに、耐えきれずに笑ってしまう。

 父も、母も、妹までつられて笑う。

 笑いながらも、さあさあ食べようと各々手を伸ばしていく。

 ―ずっと、顔だけは見えない。

「んふw」

 未だ落ち着きそうにない笑いをこらえながら。

 私もおにぎりを食べようと手を伸ばす。

 あぁ、その前に飲み物が欲しい。

「コップ……」

 持ってきたはずの紙コップを探すべく、木の根元に置いた鞄を探る。

 影になっているせいか、やけに中身が見えづらい。

 ちらりと入り込んだ光に当たり、それらしき白い塊が見えた。

「あっ……た」

 それは、紙コップなどではなくて。

 私がいつも使っているスマホだった。

 ―いつも使っている?私はまだスマホを持てる年齢じゃない。我が家は高校に入ってからと決まっている。私はまだ、中学生で




「……」

 枕元でスマホが震える。

 鬱陶しいアラームを止めながら、記憶を振り返る。

 ―いい、思い出だ。











 お題:りんご・オレンジ・バスケット

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