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君だけが壊せなかった  作者: 南蛇井


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28/39

シーン5:河川敷(85%)

夕暮れだった。


空は、


世界が終わろうとしているとは思えないほど、


静かに赤かった。


河川敷。


風が、


乾いた草を揺らしている。


主人公は、


そこに立っていた。


一人で。


靴の下で、


草が音を立てる。


その音だけが、


やけに鮮明だった。


振り返る。


遠くに、


都市が見えるはずだった。


ビルも、


道路も、


橋も。


だが、


そこには、


何もない。


空白だけが、


広がっている。


世界は、


消えた。


自分が、


消した。


主人公は、


再び前を見る。


河川敷は、


残っていた。


草も、


土も、


川も、


夕焼けも。


すべて、


残っている。


主人公は、


ゆっくりと理解する。


――守っている。


自分が。


無意識に。


理由は、


考えるまでもなかった。


ここは、


始まりの場所だった。


初めて、


彼女と話した場所。


初めて、


自分が、


世界に触れた場所。


主人公の喉が、


かすかに動いた。


「……ここから始まった」


声は、


風に溶けた。


そのとき、


背後で、


草を踏む音がした。


一歩。


また一歩。


主人公は、


振り返らなかった。


振り返らなくても、


分かっていた。


この足音を、


知っている。


何度も、


何度も、


隣で聞いた音。


やがて、


足音が止まる。


数メートル後ろで。


沈黙。


長い、


沈黙。


夕焼けだけが、


二人を照らしていた。


主人公は、


目を閉じた。


そして、


ゆっくりと、


振り返った。


そこに、


彼女がいた。


ヒロインは、


立っていた。


消えていない、


この世界の中に。


まるで、


最後の現実のように。

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