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魔法科学  作者: 若草赤
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魔法科学

 魔法と科学は別々だ。

 オカルトと科学は水と油のように混じり合わない。

 そんな事は当たり前だと科学者が語っていたのは昔の話。

 オカルトは実在すると『科学都市』の科学者が証明した。

 数千数万の実験。

 それこそ素粒子レベルの実験をして初めて分かる実験結果のズレ――即ちイレギュラー。

 そのイレギュラーを研究し続けた事で分かったオカルト。

 人体から漏れ出る『何か』や空気中に漂う『何か』がイレギュラーを起こしていると科学者達は分かった。

 人体から漏れ出る『何か』を『気』、空気中に漂う『何か』を『マナ』と名付けた。

 それらの科学的に立証されたオカルトを利用した科学を――魔法科学と言う。

 そんな魔法科学は世界中に溢れかえっている。

 魔法科学は一部を除いて誰にでも使える。

 但し、才能によって魔法の差は文字通り天と地まで差が開く。

 持って産まれた気の量や、魔法を使うセンスなど……。

 才能無い者は赤ん坊を倒す事も出来ないし、才能ある者は核すら超える力を持つ。

 非核三原則どころではない。

 しかし、世界中で浸透し過ぎた為に非魔法科学三原則など作れない。

 そこまで世界中に浸透させた魔法科学を作った科学の街に住む学生――八雲刻哉は絶賛追試の勉強中だった。

「ふむふむ。九.七気をMSに注入した場合、どの程度の火を起こせるか……答え答えっと」

 安易に答えに走った少年――八雲刻哉 (やくもときや) は追試の為に勉強をしていた。

 朝日が刺す八畳一間の畳の部屋に時代錯誤の卓袱台。

 そんな蒸し風呂状態の部屋で問題集と答えを広げて勉強をしている。

 この追試で赤点を取ってしまえば、補習は確実。

 せっかくの夏休みがパァである。

 まさか、高校生初めての夏休みを補習何ていう物で潰されたくはない。

「つーか高校の試験があんなに難しいとは……ッ!」

 中学でも同じ事を言ってた気がする……。

 そんな事を思いながら刻哉は着々と問題を (答えを見て) 解いていく。

「MS=マジックサイエンスっと。つーかまんまだよなぁ。え~と次は……」

 MSとは、魔法のような現象を現実世界に具現化させる道具である。

 人にあるオカルト――『気』をエネルギー源としている。

 MSにはちょっと苦い思い出がある。

「ふう」

 一息ついて、『科学都市の噂特集』という本を卓袱台の下から取り出して読んでみる。

 空気中に漂っているオカルト――『マナ』をエネルギー源とする兵器をこの科学都市は生み出したらしい。

 と、書いてあった。

「人工衛星が制御不可能ねえ……」

 ペラペラと捲りながら早いペースで読み進めていく。

 刻哉は速読術が出来るのだ。

 科学都市――最初にオカルトの存在を認知し、オカルトを利用して魔法のような科学を造り上げた天才科学者が作った科学の街だ。

 故に、そんな兵器の存在は絶対にあり得ないと言い切れないという理由で噂が噂を呼び込んで今や膨大な数の噂が街に流れている。

 科学都市はMSの創始者である科学者達が作った街――外より科学が進んでいる街――膨大な噂が溢れかえる街として有名になっている。

 前までは科学技術を占有している街として有名であり、糾弾されていたのだが、つい最近、MSの構造を教えるなどしたので科学技術を占有しているといった糾弾はなんとか治まりがついたらしい。

 糾弾ではなく――「教えなきゃテメェらの輸出ストップするぞコラ」的な脅し文句に負けた訳だが。

 科学都市とは言え食べ物を作るといった事は不効率なのだ(出来る事は出来る)。

 刻哉は、ハッとなる。

 これはいつものパターンだと。

 本を閉じて、卓袱台にかじりつく。

「チクショウ! 夏休みには海に行くんだぁ!」

 科学都市は、海に新たな土地を作った海に浮かぶ都市である。

 そんな科学都市に住む高校一年生の八雲刻哉は十分もすると勉強をする手を止めて、時計を見てみる。

「あり? 八時――ッ!」

 十分だぁぁぁぁッ!? 心の中で絶叫する。

 急いで、身支度をし、部屋を出て行った。

――――――――

「うお~い。借りてた本返す」

 と遅刻犯刻哉は、良く分からない素材で作られている茶色の机に突っ伏し机の冷たさで身体を冷ましながら『科学都市の噂特集』を茶髪のちょっと小柄な高校一年生に返す。

「何や、もうええんか? ならば……これッ! 可愛い子トップテン!」

 ブバァ! と関西弁少年――進藤連が胸元から取り出した手帳を机に突っ伏している刻哉に見せる。

 刻哉が手帳を取って見てみる。

 と、ヒョイと横合いから現れた金髪にピアスという『これが高校デビューじゃい』といった感じの男――土屋雷太が驚いたように言う。

「進藤、三年生も調べ上げてるのか?」

「ふふふ……これだけで驚いてもらっては困るわぁ! 先生陣も完璧やでぇ!」

 すげぇなあ、と情報収集力に感心しながら刻哉と土屋はパラパラと手帳を捲っていく。

 名前、年齢、生年月日、クラス――更に捲る。

 出席番号、好きな男子のタイプ、スリーサイズ。

 スリーサイズ?

 捲っていく度に刻哉と土屋の顔は青くなっていく。

 好きな歌に好きな歌手に属性、好きな番組、経験人数。

 属性? 経験人数?

 たまに入ってくる怖ろしい単語に戦々恐々すると共に決意を固めていく刻哉と土屋。

 最後まで捲った刻哉と土屋は、どちらともなくガッシリと進藤の腕を掴み上げる。

「何すんの? あれ? ちょっ! 真剣な顔してどこに電話かけてんの!?」

「警察」

 簡潔に刻哉は言う。

「ちょっ! まちぃや! 何で警察!? ボクなんか悪い事しましたかぁ!?」

 真剣な表情の刻哉と土屋に進藤は叫ぶ。

「あん? お前はプライバシーの保護って言葉知ってっかコラ」

「違うで? ボクの聞き込み調査は探偵みたいな紳士的な感じの――」

「何でスリーサイズが書いてあんだよ!? 何の真実を追い求めてんだテメェは!?」

 刻哉のツッコミに対して進藤は、

「スリーサイズは、目測ですよ目測!」

 刻哉はパタンとケータイを折り畳む。

「一応、友人なので信頼しよう。だがしかし……目測って何だよ! 男なら直接確かめて来いよ!」

「さっきまで言ってた事と全く違う~!?」

 さっき、スリーサイズ『は』と言っていた気がしたが、刻哉は空耳だと思う事にした。

「ちょっと待て! 何故可愛い子トップテンにツンデレ属性の子が居るのにヤンデレ属性の子が居ない!?」

 土屋の叫び声が教室に響いた。

 直後。

 カチリと、音がした。

 土屋と進藤は音のした方向へ刻哉を突き飛ばした。

「あり?」

 縦四十センチ。横幅十センチ程のチョークが間抜けな声を出した刻哉に飛んできた。

 当たれば爆発するチョークだ。

「ヤバッ!」

 刻哉は慌てて掌に気を集中させる。

 金色の光が右掌を覆う。

 そして――当たれば爆発するチョークを殴った。

 チョークは内側から膨れ上がり、一気に弾け、

 パアアン! 爆発――したような音が教室中に響いたと同時にチョークの残骸が空気中に霧散していった。

(危ねえ……ッ)

 刻哉は、突き飛ばした二人を睨み付ける。

 二人は飄々とした態度で自分の席に着いた。

「つーか何するんですか! 先生!」

 ガラッと開けて入ってきた先生に抗議する。

 如何にも体育教師といった風情の筋肉質の先生は、実は科学の先生だと言うのだから驚きだ。

「チャイムが鳴ったのに席に着かずに馬鹿騒ぎしていたお前らが悪い」

 ていうかどっから狙ったんだ? あのギリギリ十センチ開いてるかどうかって窓から飛ばしたのか?

「はあ、お前の能力にはホントに驚かされるな」

「ははは。結構気は消費するんですけどね」

 刻哉は、オカルトの塊――超能力者だ。

魔法遣い――魔法科学を一定以上極めた者につく称号――そんな魔法遣いを競って排出したり、自衛隊に魔法遣いを入れたりする裏設定があるけど使うかどうか分かんないぜぃ! 多分使う事になるやろうけど……しかも結構速い段階で。

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