俺達の戦いはこれからも続くんだ!!〜英雄の道〜
かなり前に書いていたものが見つかったので載せてみました。
最初の頃の作品なので、いろいろとありますがお楽しみ頂けたら嬉しいです。
今回は1話完結ですが、もし、続きが読みたい等ありましたらお知らせ下さい。
ポイントや感想等があれば続きを書きます。
ここは、剣と魔法の世界、アルスロンド
緑と水にあふれた素敵な世界だ。
だが、この世界では、いつからか魔族や魔物が、はびこるようになってしまった。
魔族や魔物に抵抗する力がない人々は、恐怖するしかなかった。
しかし、アルスロンドの女王アルスは、騎士団を結成。
一部の特別な力、魔法と呼ばれる力を持つ者、そして魔技を使える者、その者達で結成された[ロンド聖騎士団]だ。
ロンド聖騎士団は、日々、魔物たちと戦っていた。
ここは、最果ての村[ドケル]
少年アギトはここにいた。
アギトは村で一番強かった。
大人でも、アギトにかなう者はいなかった。
そんなアギトを、ヤンチャすぎると言って、いつも叱ってくる母がいた。
父は幼いときに亡くなっていた。
父は聖騎士団の一員だったと聞いた。
だがある日、魔物に殺されたと聞いた。
母は1人で、アギトを育ててくれたのだ。
その事は嬉しくもあり有り難いが、正直叱ってくる母を鬱陶しく思っていた。
しかし、事件が起こった。
町に見慣れない男がやってきた。
ぼろマントとカウボーイ帽子を身に着けた男だった。
最初はただの旅人かと思ったが、違った。
そいつが町の中央に辿り着く。
そして、方手を上に挙げ、一気に振り下ろした。
すると、いなかったはずのグールが地中から大量に出現した。
こいつは、ハグレ死霊使いだ。
ハグレ死霊使いは、たまに町や村に現れ、快楽をもとめて、人々が苦しむところを眺めて楽しむ、人間なのに魔族側に立った人種だ。
町のみんなは慌てて逃げ惑ている。
俺は、木剣を片手に死霊使いに飛び込んだ。
がっ、敵うはずがなかった。
一瞬で吹き飛ばされ、俺の前にはグールが……
俺は恐怖で固まった。
どんな大人も俺には敵わなかったはずなのに、歯がたたなかった。
この時、初めて恐怖を覚えた。
そんな俺に口を大きくあけたグールが迫る。
口からは涎がダラダラと垂れている。
俺は目をつぶった。
その瞬間俺は、突き飛ばされた。
目を開けてみると、突き飛ばしたのは母だった。
母はニコリと笑った。
そして、グールに……頭から……。
そんな光景を俺は見ている事しかできなかった。
なにもできない自分が悔しい。
そこに、騎士を名乗る青年が現れた。
たまたまこの付近にいたらしく、あっと言う間にグールを全滅させ、死霊使いにもダメージを与えていた。
残念な事に死霊使いは逃げてしまったが、俺は騎士にあこがれていた。
そして、母を失ってしまった後悔と、騎士への憧れから、俺は騎士団の門をたたいたのだった。
それから、数年
俺は騎士になり、久しぶりに故郷に帰ってきていた。
「はは、懐かしいな、この感じ」
俺は感傷にひたっていた。
景色を懐かしみながら、村に入っていく。
だが、様子がおかしい。
いつもなら、村人が目まぐるしく仕事している時間なのに、1人もいない。
「どうしたんだ?」
俺は気を引き締めた。
すると、村の中央に人が集まっているのをみかけた。
俺はいそいそと駆け寄った。
「みんな、どうしたんだはてな」
俺は声をかけた。
「その声はアギトか?」
長老が振り返り、こちらに歩いてきた。
「いったいなにがあったんです?」
「ほほほ、あのヤンチャ坊主がずいぶんと丁寧な言葉づかいをするもんだ。
だが、いつもの口調じゃないとお前さんじゃないみたいじゃな」
「茶火さないでください」
「おおっと、こんな事をしている場合じゃないんじゃ」
「なにがあったんだ?」
「そうそう、そんな感じの口調じゃな。しかし、そんな格好をしたお前さんが、ここにいると言う事は、無事に騎士になれたと言うことじゃな」
「ああ」
「なら、頼みがある。ここから一番近い村は覚えておるな?」
「あの、ジフル村の事か?」
「そうじゃ、今、ジフル村の女性がここに逃げ込んできておるのじゃ」
「逃げ込んできた?」
「そうじゃ、なんでも、3匹ほどのグールが村を襲ったそうじゃ」
「……グール」
俺は拳を強く握った。
「はっ、そうじゃった、お前さんは……」
「大丈夫だ。それで、俺にその村のグールを退治してほしいって事か?」
「腕っぷしの強いのを何人か向かわせるつもりだったが、そこにお前さんも加わってほしいのじゃ」
「わかった。でっ、だれがいくつもりだったんだ?」
「俺だよ」
後ろから声がした。
「えっ、お前はハンスか?」
「よお、久しぶりだな」
俺の親友ハンスがそこにいた。
「久しぶりだなハンス。元気だったか? しかし、お前が行くとはな」
ハンスは俺の次に村で強かった。
「ああ。お前が騎士団にいった後、俺はこの村で修業を続けてきたんだぜ。今じゃ、お前よりも強いかもな」
「そんな冗談笑えないな。俺は騎士団で地獄のような特訓をしたんだぞ」
「まあ、そういうなアギト、ハンスはあれからなんども、魔物を撃退してくれておるのじゃ」
「ふーん。まっ、よろしくな。でっ、その女性からも証言を聞きたいんだが」
俺はあたりを見渡した。
「ああ、その人なら、そこに」
ハンスが人の集まっている場所の中心を指さす。
そこには、座り込んで、怯えている女性がいた。
俺はゆっくりと近寄った。
女性は俺をみた、ビックリしたような表情をした。
「えっ、騎士?」
「騎士のアギトだ。この村の出身で今は里帰りをしにきた所だったんですが、村長から聞きました、あなたの村の様子をこれから見に行ってきます」
「……あっはい、よろしくお願いいします。 騎士様に行っていただけるなら、安心です」
「はは、安心してください。で、1つ質問があるのですが」
「はい、なんでしょう?」
「村を襲った、グールはどんなやつでした?」
「はい、下級グールだったと思います」
グールは5つの分類に分けられている。
下級グールは、逸れの人食い。
徒党グールは、集団で襲ってくるグール
中級グールは、集団でなおかつ下級よりも大きく強い。
上級グールは、人間くらいの大きさで動きもすばやく、力も強い
魔術グール、死霊使いによって、人からグールに替えられた存在。
上級グールを圧倒し、死霊使いが命令した事を実行するだけの知能がある。
「下級か。なら楽勝です。では、ちょっと行ってきます」
俺とハンスはすぐに村に向かった。
15分ほどで、村についた。
事件が起きて、まだ30分もたっていないはずなのに、やけに静まり返っていた。
下級グールの姿も村人の姿も見当たらない。
俺達は用心しながら、町を探す。
すると、いきなり集団のグールが建物の中から現れた。
しかも、こいつは魔術グールだ。
「話が違うじゃないか」
俺は剣を抜いた。
「はぁー、我流双覇裂傷」
俺は、騎士団仕込みの技で撃破していく。
我流双覇裂傷は、魔技の基本技の1つで、魔法力を剣先に集中させ、2連撃の斬撃を相手に叩き込む技だ。
騎士団での修行のせいかなのか、次々撃破していく。
しかし数が多すぎる。
「ハンス〜、無事か〜」
俺は大声で叫んだ。
「はぁはぁ、なんとかな。 しかし、こう多くちゃまずいぜ」
ハンスはかなりクタクタになっているがなんとか無事みたいだ。
「お前が無事なら大丈夫だ。騎士団で修業した俺をみせてやる」
「我流奥義、聖剛業烈斬」
聖剛業烈斬は、剣に魔力を限界まで集中し、一気に爆発させ、強烈な衝撃波を相手に与える技だ。
衝撃があたりのグールを一気に蹴散らしていく。
「ふ〜終わったか」
俺とハンスはその場に座り込む。
「お前、そんな技を覚えたのか?」
「ああ、騎士団でいろいろ覚えたんだ。しかし、こいつら魔術グールだぞ。あの人の話では下級グールのはずだったんじゃ……はっ、魔術グールって事は、村が危ない。ハンス、俺は先に行くぞ!!」
俺は、全力で村に戻った。
村が見え始めた。
そして、悲鳴や叫び声が聞こえる。
思った通りだ。
俺は剣を抜き、村に駆け込んだ。
正直、予想は外れて欲しかったが、思った通り魔術グールがいた。
「あら、生きてたのかい?」
女の声が聴こえてその方向に振り向くと、助けを求めていた女性がいた。
「やはり、お前は死霊使いだな!!」
「ご明察!! しかし、まさかあれだけのグールを倒してくるなんてね〜」
「俺が来たからには、これ以上、この村には手を出させない」
「おー怖い怖い。でも、さすがにこのままじゃまずいわね」
そういうと、女性の体が変貌していく。
角と翼が映え、肌の色が肌色から、灰色に変化した。
間違いない、この女は魔族だ!!
「ふふ、この私に勝てるかしら?」
俺をめがけて突進してくる。
俺は剣を水平に構え、
「我流戦神一閃」
すさまじい速度で剣を抜き、直線に斬撃を飛ばし、魔族の腕を切り裂いた。
我流戦神一閃は、魔技の中で最速の剣だ。
「ぐあー!!」
「これで終わりだな」
魔族の女は座り込んでいる。
「はぁはぁ、こんな所で死ぬわけにはいかない、今回は負けにしといたあげる」
そういうと、女性の周りに煙が立ち込め、女性をつつんでいく。
「逃がすか〜、我流戦神一閃」
俺は2度目の技を繰り出す。
だが、技は空振りをした。
どうやら逃げられたようだ。
辺りのグールも消えている。
村人は負傷者だらけだった。
「おお。アギト。ありがとう、助かったぞ」
村長がやってきた。
「村長。よかった無事だったんだ」
「ああ、お前さん達がいってすぐに、あやつが本性を現し、数人を殺しグールにしていったんじゃ。お前さんが来なかったら、全滅しておった」
生き残りの者にも感謝された。
しかし、あの魔族はまだ生きている。
しかも、負傷させた俺を恨んでいるだろう。
ここから、俺と魔族との戦いが始まる。
これは、俺が英雄になる為の始まりの物語だ。
俺の戦いはこれからだ!!
本作をお読みいただきありがとうございます。
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それでは引き続きお楽しみくださいませ。