21ー19
2じゃないよ?←←
──西暦2119年。
宇宙開発は進み、周辺には都市型衛星の周回する惑星──地球。
人類は宇宙空間、即ち虚無から野菜や家畜動物を作り出す技術を持ち、その居住空間を宇宙まで広げていた。──
──そして、2119年、年末。
“それ”は突然現れた。
一言で言えば“それ”は闇だった。
地球上、衛星上の至る所で“それ”は現れ、あらゆるものを覆い尽くし、触れたものを消滅させた。
地球人、衛星人達はコップから車まであらゆるものを奪われ、理不尽だと憤怒した。
それだけでは無い。“それ”は時に人間さえ消滅させてみせたのだ…。
人類は謎に包まれた“それ”を恐れ、火星に移住する計画を立てた。
──すると、火星が“それ”に包まれ消滅した。
やがて地球、衛星上ではこんな噂が飛び交うようになった。
『こんなことを出来るのは神しかいない』『これらは神の仕業に違いない』と。
直ぐに“それ”は神と崇められ、様々な捧げ物が捧げられた。
──しかし。“それ”は時に捧げ物を消滅させ、捧げ物をした人を消滅させ、一方で全く関係の無い人、物も消滅させて行った。
人々は“それ”を大いに恐れ、呼び掛けた。助けを求めた。
──“それ”が現れてから1ヶ月。死者は約10億人にも上っていた。
やがて、各国首脳の元に同時に電子メールが送られた。
それは以下の内容だった。
『我々は貴方方が言う所の“外宇宙”からの使者である。』
『貴方方がコロナと呼ぶウイルス。』
『貴方方は発生から100年経っても自力で解決することが出来なかった。』
『これを天罰と思うならそれも正しいだろう。』
『ウイルスは既に変異を遂げ、宇宙空間でも長期間生存出来る存在となった。』
『だが、我々の科学力を以てすれば、ウイルスを確実に消滅させることが可能だ。』
『つまり、これまで我々が行って来たのは滅菌である。』
『我々の“滅菌”に依って消滅した生物、非生物は元には戻せないが、貴方方がウイルスを抑え込む努力をするならば、滅菌も必要無くなることだろう。
つまりはコロナウイルスの根絶である。』
『最後に、我々の“滅菌”に依る被害に遭った生物、非生物に追悼の意を表する。』