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王女様に騙されて魔法少女になってしまった件について

作者: siro

 魔法の国ファンタジアには見目麗しい王女様がいました。とても目つきは悪いですが、可愛いもの好きで、本当可愛いもの好きで困ってしまうほどに、まぁ、まだ10歳なので仕方がないんですが。


「はぁ、どうして私の目はこんなにつり上がっているのかしら」

 鏡の前でつり上がって目尻を一生懸命下げながら王女、イレイシスはいろんな角度で確認するも、どうみても妖艶さが滲み出てしまう。もしくは面白い顔になってしまっていた。


「王妃様にそっくりで美しいではないですか。統治者としてナヨっとしているよりも、キリッとしている方がいいですよ」

 そう言うのは年上の女官であるチェリーだ。王女様の遊び相手でもある。彼女の指示で王女様のお着替えが始まる。

 侍女達は無言で着替えさせていくが、王女様はお気に召さない様子だ。

「はぁ、私はね、チェリー。パステルカラーのドレスが着たいのよ。そういうお年頃なのよ?」

「そうですが……違う変態がよってきますがよろしいですか?」

 それというのも、なんとう王女はまだ10歳にしては色気漂う少女だからだ。赤や紫といった色が似合ってしまうほど美しい王女はそれはそれは、胸の成長も良いのだ。パステルカラーも服のデザインによっては似合うが、危険すぎると言う問題がある。逆にきつい色合いの方が近寄りがたい雰囲気が出て安全なのだ。

「貴方なら似合いそうよね」

「まぁ、童顔ですが。もうそんな色を着る年齢ではないですよ。お忘れですか? オールドミスなんですよ。私」

「そう、でね、私は可愛いものに囲まれたいわけよ」

「流しましたね? 流しましたね? というかもう可愛いものに囲まれているじゃないですか!」

 部屋を見渡せば、可愛いクマやウサギやらぬいぐるみが並び、壁紙もピンクと白という色合いだ。


「そうだけどー遊び相手も可愛い子がいいのよ」

「私も可愛いとおっしゃってくださったじゃないですか」

「チェリーは年上じゃない! 同い年の友達が欲しいのよ。私を怖がらない同い年の子が!」

「それは……」

 きつい目の印象と王女という立場のせいで、同い年の少女達は泣いてしまったり、怖気付いて近づいても来ないのだ。チェリーは思わず目線をそらしてしまった。

 王女が他の侍女達に目線を向ければ、侍女達もすっとその視線から逃げた。


「はぁ、ということで。エリー持ってきて」

「はい」

 王女様は悲しそうにしていたのにキリッと顔をあげて、侍女のエリーに何かを持って来させた。

 手のひらサイズの木箱を受け取ると、チェリーを手招きした。

「なんでしょうか」

「だから、可愛いは正義。癒しは正義っていうじゃない?」

「10歳の少女がいう言葉じゃないですね」

「だから、貴方を同い年にしようと思うわけ」

「おっと、どういうことです?」

「魔道塔の研究者にお願いしたらやっとできたのよ」

「初耳なんですが、何を作られたので? いえ、やっぱりいいです言わないで」

「チェリー、貴方は私の遊び相手でもあるわよね。だから友達の証にこれをあげるわ!!」

 そう言って、箱を開けて見せてきたのは、指輪だった。魔石がふんだんに使われた太めの指輪。控えめに言っても成金がつけそうなデザインである。


「ちょっと……これは……」

「王女のプレゼントよ。受け取れないなんて言わないでしょうね?ん?」

 こんな時だけ権力を笠に立ててきました。なんという王女でしょうか。チェリーは渋々受け取ろうとしたら手を叩かれ、指を掴まれはめられてしまいました。

「まるで結婚式」

「私はノーマルよ。ちゃんと異性愛者なの、侍女達の間で回し読みされている同性愛者じゃないわ」

「おぉうえい」

 思わず変な声が出てしまいました。なんと侍女達が回し読みしているBなラブをご存知だっとはなんたる失態。思わず侍女達を睨みつければ、目の前で手を合わせていました。


「ちょっと知るには早いと思いますが。個人の趣味にあまり突っ込まれてはいけません。王女様」

「はーい。でね、この指輪発動するわね」

「ちょっと人の話を聞きましょうかって、この指輪外れないんですが?!」

 会話をしながら抜こうとした指輪はなぜかぴったし指に張り付いて抜けません。

「だって魔法でそうしたんだものん。じゃー変身せよチェリー!!魔法少女になるのよ!!!」

「はいいぃぃぃいいい?!」

 まさかの発言に驚いていると、指輪が光り輝き全身を覆ってきました。なんか可愛らしいキラキラ音まで聞こえてきて、首がしまったり、腕に何か絡みついたりして急いで腕をふるってみるも外れずに、光が収まってみれば、自分の視線の低さに驚きました。

「お、王女様?」

 視線は王女様と同じです。同年代って退化させる魔法だったんですか?! しかも王女様はキラキラした表情でこちらをみているではないですか!!


「やったわ!成功したわ!エリー魔術塔の人たちに報告しといてね!」

 嬉しそうに王女様は私の手をとってくるくる回されます。回りながら部屋にある姿見をチラ見すると、なんと自分が幼い姿に戻っており、しかも綺麗に結い上げていた髪の毛はツインテールになっているではないですか。

 しかもなんか可愛らしいリボンやらフリルが付いているし、手袋をしているしともうツッコミどころが多いです。

 脚も絶対領域が作られてオーバニーソックスとブーツという出で立ち。スカートは後ろに向かって長くなっているしで……これは、こないだ王女様が読まれていた魔法少女世界の平和を守るという本に描かれていた女の子の衣装にそっくりです。


「王女様!?!!なんてことを!!元に戻してください!!」

「いやよ!これから遊ぶわよ!」

「いやいやいや、こんな技術の無駄遣い!叡智の無駄使いですよ! 指輪に何個魔法を仕込んだんですか」

「えっとー。退化とー洋服とー魔法の杖とー可愛い声になるようにしたのと、キラキラエフェクトとー」

「ちょっと?!」

「だって、魔術塔のへんた……おじさん達ができるっていうんですもの」

「あの変態ども……王女様のお願いに屈しやがって」

「チェリー、怖い顔しちゃだめよ。せっかく可愛い顔なのに!」

 こうなってしまったら王女様を止められる人はこの場にはもういません。完全に楽しいことに全力スイッチON状態です。

「はいはい、で何して遊ぶんですか」

「ふふふ」

 なぜでしょうか。とても楽しそうにしているのに、悪い笑みにしか見えません。


 連れて来られたのは城下町です。一応フードつきの上着を貸してくださったので、このキラキラ服を隠せましたが、王女様も楽しそうに馬車の中から外を眺めていらっしゃいます。

「城下に降りられてどうするんですか」

「友達と遊ぶといえば買い物でしょ!」

 魔法少女とか叫んでいた気がするのですが、気のせいでしょうか。やぶ蛇になるのでお友達として遊ぶだけで済むならそれで良いですが。

「いえいえ、何を買うというんですか?欲しいものは全て揃ってらっしゃるじゃないですか」

「こういうのは形から入るのよ」

「だったらこの変身解いてくださいよ。せめて服と髪型はまともにしてください」

「それは今はできないわ! ていうか無理ね!」

 自信満々に胸を張って言われましたが、どういうことですかね?!

「ぇ。戻せますよね?」

「それがね、魔獣とか倒して魔石を手に入れないと魔力が足りないのよ」

「ちょっとぉおおおおお?!」

「魔獣を倒せばいい話でしょ?」

 ニッコリ笑う姿は悪女のように妖艶すぎて何故かそれ以上詰め寄れないパワーを感じます。


「うぅぅうう」

 隣に座っていた侍女にポンと手を肩に置かれました、目の前には笑顔の王女……。

「大丈夫よ。ほら、あそこを見て」

 王女が指差した方向には門があります。そして何か起きているようで、人々が逃げ惑っているのが見えてます。えぇ、逃げ惑ってますね。

「魔獣よ! 大変ね! チェリー出番よ!!」

「いやいや、騎士達が倒しますよ」

「何を言っているの!貴方は私専属の魔法少女なのよ!貴方が戦うことで私の評価もあがる!さぁ!世界の平和を守るため!行きなさい!」

「えええ?!」

「大丈夫、魔法の杖が入ってるっていったでしょ。出現の言葉は ぴんぷるぱ「それはあかん! それはだめです!!」」

 それは何かに引っかかりそうなセリフです危なかったです。


「えー! しょうがないわね、じゃー ”ピュアハート イン スター スティック★” でも出てくるわ」

「うわー……うわー……なんですかその長さと痛さ」

「痛くない!可愛いでしょ!!」

 思わず、横に静かに控える侍女をみれば、流れるようにすっと顔ごと逸らされてしまった。絶対被害にあいたくないという意志を感じる。


「さぁ、セリフを言って」

「ぇ」

「早く!!」

「ピュ… ピュアハート イン スター スティック★」

 そう唱えると指輪が光って杖が出現しました。まー可愛いピンク色の杖にお花が散りばめられてハートとかリボンとか……。

「これでどう戦えと?」

「これは魔法のステッキなのよ! 素材は賢者が使う杖と同じ木でできてるの。ちょっとデコっただけよ!鈍器にもなるのよ」

 デコったというレベルではないですよね。魔改造ですね。そして賢者が使う杖と同レベルということは魔法強化がやばいということですね。

「これで魔獣を倒して世界を平和にしてね!」

「は?!」

 周りを見渡せば巻き添いを食いたくないと言わんばかりに顔をそらされ、扉は開かれ護衛騎士からは手が差し出されてしまった。

「うっそ……」

「どうぞお早く」

 しかも急かしてきやがりました!!それでも騎士か?!


「あ、あとね、チェリー」

「なんでしょう」

「指示は随時送るからね! それと、そのブーツと背中の羽見たいなリボンで軽く飛んで跳ねられるから一気にいけるからね」

「うそでしょ? うそですよね」

「我が王城の魔術研究所の叡智が詰まった指輪!魔法少女リング!!」

「そのまんまですね!!」

「愛と正義をつ「ちょっとそれ以上は言っちゃダメかな?!」

 ポーズつきで何かをやろうとした王女様に思わず両手で止めました。危ないところでした。

「えーーー!! アレみたいでしょー!あれやってよー!」

 駄駄を捏ねる王女様を可愛いですが。

「やらんわ!!やりません!」

「ちぇーじゃーとりあえず。魔獣はたおしてね★ じゃないと元の姿に戻れないから」

「……わかりましたよ」


 駆け出すと、ふわりと体が軽くなるのと同時に強く蹴った瞬間ふわりと体が浮いた。

「わわわ?!」

 どうやらこれが飛ぶってことらしいですね。なんとかバランスを持ち直して屋根の上に着地すると、門の方角を見れば、魔獣が数頭入り口で暴れていた。

 まぁ、普段だったら騎士達が倒すんですが、そうすると魔石は騎士達の手に行ってしまう。逆に市民が自分で倒せば自分の報酬になるんですよ。


「やるかー」

 杖を握り直して軽く炎魔法を唱えるとなんと、キラキラしたエフェクトがかかり魔獣に落ちました。

「ぁーキラキラエフェクトってこれのことかー」

 本当に無駄遣いですね。そして周りの視線が痛いです。


「なんだあの子」

「危ないじゃないか、屋根の上から降りなさい!」

「なんか変な格好をしてないか?」

「ぁ!ママ、あのお姉ちゃん魔法少女の格好してるよ!」

「見ちゃいけません!」


 まって、そこのお母さんそんな言い方しないでよ。屋根の上で仁王立ちしてた自分も悪いんですけどね?!マントが翻って中の服が丸見えだったのが悪いんですけどね!

「なきたーい」

[泣いてもいいわよ! 涙は星のエフェクトがかかるんですって]

 どういうことでしょうか耳元で王女の声が聞こえます。そして星って……恐ろしくて泣けないですね。


「と、とりあえず魔獣を倒しますね」

 少し走ってジャンプするだけで綺麗に弧を描いて着地できるなんてすごいです。体が軽く動くとか普段の自分では体験できないことだらけです。

 騎士達も私の登場に唖然としているのをいいことに、そのまま雷を落とし、魔獣の動きを封じ、鈍器ということで頭にステッキをぶつけてやりました。

 折れないかななんて思ってないですよ。ほんの少し折れちゃえよなんて思ってないです。はい。


[わーすごいわね。すぐ倒しちゃった! それじゃー決め台詞をー]

「やりません!」

  何より、さっさと魔石を回収せねば!また魔法を使うと今度はキャンディーやらリボンが出てきて驚く間も無く魔石が回収できました。


「……な、なにこれ」

 幻影なのでキャンディーとかリボンは消えましたが、後ろで見ていた人たちからはヒソヒソ声が。


「お、お嬢さん。君はーえーと」

 騎士の一人が引き気味で聞いてきましたが、彼の問いかけに答える気力はありません。ここは逃げるが万事!!


「それでは失礼します!!」

 急いで来た道を戻ります!屋根へジャンプして、王女様の馬車ではなくもうこのまま王城の魔導塔にいきます。これは製作者達に文句を言わなければ気が済みません。というかヤります


「貴様らーー!!なんてもの作ってんじゃー!!元に戻せや!!」

 乗り込めば、魔導等の奴らが驚きつつも何故か手を叩き合っています。


「すごい完璧だ!」

「やった!僕は天才だ見ろ!あのステッキの完成度」

「いやいや、俺の魔術の方がやばくね?少女の肌ツヤ感どうよ!!」

「あーもうちょっと魔法使った時のエフェクト効果こればよかったー!!」


「ちょっと!!この魔導オタクども話を聞け!」

「はいはい、なんですか?魔法少女さん」

「魔法少女とかいうな!!」

「だってねー。王女様が魔法少女を作って自慢するとおっしゃっていたので、魔導塔が全面バックアップいたしましたので!」

「はぁあああ?!」

「どうです?若返った感想は」

「よくないよくない!恥ずかしいから戻しなさい!魔石は手に入れたんだから!」

「あーでしたら、解除方法は杖を高く持ち上げて……」

「「キュア キュア スイーツ♪ チェリー アップル♪ レリース⭐︎」」

 何故かその場にいた魔導オタク達が同じポーズで同じセリフを唱えた。


「は?」

 

「ですから」


「「キュア キュア スイーツ♪ チェリー アップル♪ レリース⭐︎」」

 何故かその場にいた魔導オタク達が同じポーズで同じセリフを唱えた。はっ思わず同じ感想が出てしまった。


「え、まってそれを言わないとダメなの?」

「「はい」」

 力一杯答えるやつに、絶対嘘だと感じた。


「正解をちゃんといいなさい」

「ひどいですよー我々は嘘をついていないというのに」

「そうですぞ!」

 とりあえず最後から順番にいっていこう、そう思い杖を一様掲げて。

「レリース!」

 なにも起きなかった。


「ちゃんと全部言わないと解けないわよ! ひどいじゃない置いていくなんて!」

 なんともう王女が戻ってきてしまった。

「すぐに「王女特権! 声も魔法少女になれ!」」


「ぇえ?!☆」

 なにを馬鹿なことをとか思ったら、自分の声がおかしくなりました。

「おおぉおお成功したぞ!!」

「やっぱり魔法属性は別にして正解だったな」

 なにやら話し合っている魔導塔の奴らに思わずステッキを振るえば嬉しそうな悲鳴をあげてしまった。


「き、気持ちわるぃ〜やめてよぉ!(き、きもちわるいわ!)」

「「おぉお!かわいい!!」」

「うぅ、王女、元に戻してくださぁいぃ!(ひっ、王女元に戻してください!)」

「すごいわ。可愛い声ね!」

 グッジョブな笑顔を向けてきた王女に頭を抱えてしまいます。もうここはあの恥ずかしいセリフを言うしかないのか。背に腹は変えられないのか……。


「ど、どうしてぇ〜こんなのってないよぉ〜みんなひどいよ〜(どうしてこんなことに……クソひどいわ)」

 もう自分の言葉も変えられている……何より周りがキラキラして眩しいです。なんで声を発するだけでエフェクトがかかるのか……。


 これはもうこれ以上誰かに見られる前に解除の呪文を言わなければとステッキを掲げた瞬間。

「こら、イレイシスまた何か変なものをつくら……」

「「あ」」

 第一皇子が現れてしまいました。

「うっそぉー★」

 しまった声を出してしまいました。なんか星がとんだし最悪です。


「……もしかしてチェリー?」

 なんという失態。実は王子とは同い年なのですよ。王女様の遊び相手として過ごしていた時から知っていると言うかもう幼馴染みたいなもの……つまり自分の少女時代の姿も知っている。


「ど、どうしたんだいその格好……イレイシス、チェリーになにをしたんだい?」

 声が震えてますよめっちゃ震えてますよ王子としてどうなんでしょうかポーカーフェイスは必須なんですよ!


「あはははダメだ。睨まないでくれ、エフェクトがかかってるんだよチェリー!!」

 しかも等々腹を抱えて笑い始めました。

「すごいでしょ!お兄様! 魔法少女を作ったの!!私専属よ!」

「あははは、あーイレイシス……魔法少女か……なるほど、だからそんなキラキラな服なんだね。はぁ、とんでもないものを作ったねぇ、お前達」

 最後の言葉は魔導塔の人たちに向けられましたが目が鋭すぎて、ひぃっという小さい叫びと共に魔導塔のやつらはシュッと集まって縮こまっています。いい気味です。


「で、チェリーはいつまでその格好なんだい?」

「呪文を唱えれば元の姿に戻れるわよ。ねぇー」

「呪文ねーどんなのだい?」

 王子の問いに王女が嬉しそうにポーズを決めて何故か、魔導塔のやつらも元気よく王女のバックに周り……。

「「キュア キュア スイーツ♪ チェリー アップル♪ レリース⭐︎」」


「……あはははは!!!あ━━━━━それはなかなかやらないわけだ」

「王子ぃ、笑いすぎすぅひどいですぅ(王子、笑いすぎです)」

 ボソッと呟いたはずなのにすごいぶりっ子な声が出てきました。

「これ以上被害に遭わないために元に戻った方がいいと思うよチェリー」

 まともなことを言っているようですがこれは絶対見たいだけですよね。でも確かに一理あるので、諦めてため息をひとつついてから。


「キュア キュア スイーツ♪ チェリー アップル♪ レリース⭐︎」


 ちゃんとセリフをつぶやくとキラキラした星が降り注ぎ、元の姿に戻れました。


「はぁ、やっともどれたっ☆」

 自分の声がまだ可愛い声に変換されたままです。思わず口を押さえて王女様を見れば。

「いやよ!もどさないんだから!」

「王女!戻してください。戻してくれなかったら口聞いてあげないぞ☆」

「それはだめー……しょうがない」

 しょんぼりとしながら解除してくれましたが、指輪はやっぱり外れません。


 王子にはお詫びとしてお茶に誘われましたが嬉しくありませんね。どうやら城下町では魔法少女の存在が噂になっているとか。まぁなりますよね。あんな派手な服で飛び回れば。

「で、どうしてイレイシスは魔法少女を作りたかったんだい?」

「それは、同年代の友達が」

「違うだろ」

「……魔法少女の友達がいるって自慢した」

「「……」」

 思わず王子と顔を見合わせてしまいました。なるほど、いもしない友達を自慢し、見せろと言われて作ったと言う……。


「だから、お茶会にはチェリーを連れていくわ」

「ぇ”」

「だって王女である私を馬鹿にしたのよ!!!許せないでしょ?」

 思わず頭を抱えてしまいました。


「はぁ、それにしてもこんなに性能のいい魔導具を作れるんならどうして俺が発注した戦隊スーツはダメなんだ?この機能であれば作れるな」

 まってください、王子は王子でなにを作ろうと……。

「魔導塔ではいま魔法少女が流行ってるのよお兄様。ちゃんとリサーチしなきゃ」

「なるほど、つまりあいつらに戦隊スーツの良さをわからせれば作るんだな」


 これは二次被害が起きそうな予感。

 でも戦隊ものなら私には関係ないですね。



 この時、チェリーは戦隊には女性もいると言うことを知らなかったのである。



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